29 フルーツパフェ
お昼ごはんは、朝の残りの玉ねぎスープに野菜を追加したものと、フライパンで作ったチーズトーストでした。チーズとパンは市場でゲットしたもの。
チーズは、コーネットのキッチンにあったものより野性味の強い濃厚な味でなかなか美味だった。
お昼ごはんのあとは、2時間ほどウィルの勉強をみてあげる。
「よくやるわねぇ。ウィルくんは顔が良いんだから、そんなに勉強できなくても上手く世間を渡っていけるわよぉ。わたしがあげた『真実の目』もあることだし」
イヴはげんなりとそんなことを言うけど、いくら顔が良くて『スキル』があったって、ある程度の教養がないと人として駄目だと思う。
たとえば、こんな簡単な計算もできないの? なんてウィルを馬鹿にされたくはない。
顔よし、能力よし、さらに教養もあって、はじめて素敵なオトナと言えると私は思うよ。
顔と体は、日々の栄養満点ごはんで養い、
能力は、遊びの中で鍛えてもらい、
教養は、私の前世知識を活かしたお勉強で身に着けさせる。
そうして可愛いステキイケメンを育て上げるのだ!
「剣士には先読みの思考が必要になる。頭が良くないとだめだ。勉強は頭を鍛えるために必要なことだぞ。将来のために、しっかり励め」
うんうん、ハティはいい事言うなぁ。
……て、え? ウィルは『剣士』になるつもりなの?
「ぼくね、けんしになって、姉さまをまもるんだ!」
うっ……なんていい子なの、ウィル!
「だけど、剣を振り回して戦うなんて、危ないよ。姉さまは反対だなぁ……」
「心配するな。時期が来れば、俺が剣の指導をする。ウィルは『剣聖』のスキル持ちだ。滅多な事では怪我をせず、戦えるようになる」
「でも……」
やっぱり、心配だよ。
「ウィルはいずれ独り立ちせねばならん。いつまでも、ララや、俺達が側にいてやることはできないんだ。その時のためにも、戦える力をつけさせるほうが安心だろう?」
たしかに。
独り立ちかぁ。ウィルはまだ6歳だし、ずいぶん先のことだろうけど、将来のことも視野に入れて計画を立てないとだめだよね。
「そういうことなら、お願いします。ハティ」
「任せておけ」
「ぼくはどこにもいかないよ! ずーっと、姉さまとハティとイヴといっしょにここにいるよ!」
ウィルの必死な主張に、私達は苦笑する。
そうは言ってもウィル、就職で家を出たり、好きな人ができて、そのひとと暮らすために出ていくこともあるかもしれない。
将来のことは誰にもわからないよ。
そう考えると、いまの幸せは『永遠』じゃないんだなぁ。
日々、幸せを噛み締めて暮らしていこう。
そうこうしているうちに、おやつの時間になったので、ハティに約束したフルーツパフェを作ることにする。
「さて、『フルーツパフェ』を作るよ! 今からお庭にたくさん果物を『創造』するから、好きなのを何種類かずつ収穫してね」
庭に出て、『植物創造』を行使して回ると、5分ほどで立派な果樹園の完成だ!
ウィルが選んだのは、
・パイナップル
・いちご
・スイカ
・バナナ
イヴが選んだのは、
・マンゴー
・メロン
・ぶどう
ハティが選んだのは、
・マンゴー
・桃
・オレンジ
・キウイ
私が選んだのは、いちごのみ! パフェはいちごに限るよ。福岡産の高級いちご『あまおう』だよ。
ウィルはお子さまが好きな果物のオンパレードだなぁってかんじで、イヴは高級志向、ハティは甘酸っぱ系かな?
渡された果物を切って、器に盛ってからそれぞれに返却。
それから、市場で手に入れた生クリームと砂糖を混ぜて泡立て、ホイップクリームを作る。
砕いたクッキーも用意。
『収納』から、コーネット産のガラスの器を4つ取り出してそれぞれに配って……
「はい。じゃあ、果物とクリームとクッキー、好きなだけ盛っちゃってください。パフェは見た目の美しさも重要だからね、頑張って! 開始!」
ということで、個人で作ってもらいます。
ウィルとイヴとハティは誰が上手に作れるか勝負するみたいで、バチバチやってる。
ハティは大きめのスプーンを前足で上手に操って作業してる。もはや、狼っていうのが信じられない。さすが神様(?)
それぞれ個性的ではあるけど、美味しそうなパフェが出来上がった。
優勝者の発表は私がするんだって。
「優勝は………ウィル!!」
「やったー!」
「勝者には、私からのハグをプレゼント!」
ぎゅーっと抱きしめると、ウィルはくすぐったそうに声を上げて笑う。はぁ、可愛い。髪の毛サラサラ。天使!
「ひいきだわ! こんな勝負、無効よ!」
ひいき? もちろんですとも。私の1番は常にウィルのものなのだ! 私に判定を任せるのが悪いよ。
ぷりぷりしながらも、イヴは楽しそうだ。ハティは早く食べたいみたいで、パフェを凝視しながら尻尾を高速で振ってる。あまり待たせるのは可哀想だ。
「クリームが溶けないうちに食べよう!」
「「「「いただきます!」」」」





