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71 魔鼠大群退治

前話のあらすじ:魔鼠の発生源をつぶすことにした。

 下水道を奥に進むと、魔鼠がどんどん襲いかかってくる。

 俺は剣で斬り捨てていく。

 ジョッシュも元狩人らしい優れた技術で、的確に射貫いていく。


「こいつ!」

 セルリスも、魔鼠を斬り捨てている。


 魔鼠が襲い掛かってくるのは、前方からだけではない。

 後方からも襲い掛かってくる。

 下水を泳いで後ろに回り、飛びかかってくるのだ。


「セルリス。油断はするなよ」

「了解よ!」


 俺は胸あてのところに入っているゲルベルガを見た。

 ゲルベルガは大人しい。


「ゲルベルガさま。大丈夫か?」

「ココッ!」


 大丈夫なようだ。

 魔導士のアリオが言う。


「こう散発的に襲ってくると、魔法を使うタイミングが難しいな」

「そうだな。火球ファイアーボールはどちらかというと大きな魔法だから仕方ないぞ」


 アリオが使える攻撃魔法はいまのところ火球のみだ。

 ゴブリン退治の時に見た限りでは、一日に使える数は十発といったところだろう。

 Fランク魔導士とは思えない魔力量だ。


 とはいえ、十発は適当に使っていい数ではない。使いどころは厳選すべきだ。

 そしてファイアーボールの効果的な使用法とは、まとまったところにぶちかますことだ。


魔法の矢(マジックアロー)とか覚えてもいいかもな」

「そうだな。ロックの言うとおりだ」


 そんなことを話しながら、奥へ奥へと進んでいく。


「だんだん増えてる気がします!」

「そうね、そんな気がするわ」

 ジョッシュとセルリスが叫ぶ。


「ジョッシュ。矢はあとどのくらいある?」

「まだ、五十はあります」

「お、おう。そうか随分持ってきたんだな」

「はい! 長期戦を覚悟してましたから!」


 ジョッシュは嬉しそうに微笑んだ。

 いま五十本あるということは、最初は百本ぐらい持っていたのだろう。

 矢だけでも結構重いはずだ。そして重さ以上にかさばる。


「ジョッシュ、節約気味で頼む」

「了解です!」


 それから俺は加速する。

 数が増えているということは、さらに奥に魔鼠大発生の原因があるに違いない。

 発生原因をとりあえず確認すべきだ。


 魔鼠を斬り捨て続けてさらに進み、少し開けた場所にでる。

 下水が合流するところのようだ。


 セルリスがその中心を指さしながら、つぶやく。


「水が盛り上がってるのかしら?」

「いや、違うぞ」

 セルリスが指さしたものは魔鼠の大群だった。

 水底から積み上がるような形で、ネズミの山を形成している。


「アリオ! 火球を頼む!」

「任せろ!」


 アリオはそれまでの鬱憤を晴らすかのように、火球を叩き込んだ。

 アリオ渾身の火球だ。


「「「KiiiiiKiiiiikiiii」」」


 魔鼠の嫌な絶叫が下水道に反響する。

 同時に、魔鼠の焦げる臭いと蒸発する下水の混ざった嫌な臭いが漂ってきた。


「お、ご、ごえ、ごえええ」

 鼻のいいガルヴがえずいていた。可哀そうだ。

 背中をさすってやりたいが、その時間はない。

 激怒した魔鼠が一斉にとびかかってくる。


「「「KKIIIIKIIIII」」」

「はぁっ!」


 俺はとびかかってくる魔鼠の群れを薙ぎ払う。

 一撃で数匹の魔鼠が切断されつつ吹き飛んだ。

 セルリスも前に出て、見事な剣捌きで魔鼠を斬りはらっていく。

 ジョッシュも的確に矢を放っている。


「ガガウガウガッガウ!」

 えずいていたガルヴもすぐに立ち直る。

 張り切ったようすで、牙で爪で、魔鼠を狩っている。


 ガルヴは霊獣狼だ。

 ネズミなら姿を見ただけで、逃げるのが普通である。その性質は魔鼠でも変わらない。

 だが、逃げずに向かってくる。異常だ。


 いくら斬り払っても、減る気配がない。


「何匹いるのかしら!」

「アリオ! 適宜火球を使ってくれ!」

「了解だ!」


 魔鼠が密集すると、すかさずアリオが火球を撃ち込んでいく。


「セルリスはここで食い止めてくれ。俺は突っ込む!」

「任せて!」


 俺は一気に、魔鼠の群れを仕留めるために下水に入る。

 下水は思ったより深い。腰の下あたりまであった。


 とても不潔だが、気にしてはいられない。

 魔神王の剣をふるい、魔鼠を倒していく。一振りで十匹近い魔鼠を仕留めていく。


 何度も何度も剣をふるい、数百匹の魔鼠を倒していく。

 全身が下水まみれになるが仕方がない。


 胸当ての下のゲルベルガが汚れないようにだけ気を付ける。

 転んだりしたら、ゲルベルガごと下水まみれだ。


「ゲルベルガさま、臭くてすまない」

「ココゥ!」


 ゲルベルガは「気にするな。思う存分戦え」と言ってくれているように思う。


「ゲルベルガさま。ありがとうな」

「コウ!」


 後方では漏れた魔鼠をセルリスが的確に倒している。頼りになる戦士だ。

 ジョッシュの弓もアリオの魔法も強力だ。


 数分の激闘の末、魔鼠の群れを退治することができた。


「みんな無事か?」

「ああ、ロックのおかげでなんとかな」

「無事です。ありがとうございます」

「いくら魔鼠でもこれだけ大量だときついわね」

「がぼうっが! がぼっ!」


 ガルヴが下水にはまって、バチャバチャしていた。


「ガルヴ?」 

「がぶがっ! ぶぶががぶっ!」

「まさか、おぼれているのか?」


 慌てて、俺はガルヴに駆け寄った。数匹の魔鼠にたかられている。

 魔鼠を仕留めて、ガルヴを助ける。下水から引き揚げた。

 ガルヴはとても大きいので苦労した。

ガルヴがおぼれていました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 此処までの大群だと無属性の魔法障壁で閉じ込めて減圧の魔法で空気を抜いて窒息させた方が早くない?魔鼠でも生物で酸素吸って生きてるから窒息には弱いでしょう?水魔法で覆って水流を作って溺れさせると…
[一言] ガルヴ泳げないんだ(笑)
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