表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/303

68 屋敷の点検

前話のあらすじ:シアとセルリスが色々調べてくれるようです。

 シアとセルリスは張り切っているようだ。


「頼む。気を付けてな」

「任せるでありますよ!」

 シアは尻尾をぶんぶんと振っていた。


「私も頑張るわ!」

 セルリスは大丈夫だろうか。少し不安だ。


「セルリス。本当に気を付けてな」

「わかってるわ!」


 シアとセルリスは、二人で屋敷を出て行った。

 それを見送りながら、ルッチラが言う。


「不安ですね」

「こぅ」

「そうだな。だがシアがいるから大丈夫だろう」


 ゲルベルガも不安そうだ。

 俺はひざの上で小さな声で鳴く、ゲルベルガの背を撫でた。

 翼と翼の間が、ふわふわである。


「こここ」

 ゲルベルガは気持ちよさそうにしていた。


 それから、俺たちは応接室を出た。


「じゃあ、俺は今日の分の食糧を買ってくるかな」

「ぼくが行ってきますよ」

「そうか。じゃあ。頼む」

「はい!」

「適当でいいぞ。食糧は適当に多めに買ってきてくれ」


 そういって、お金を渡す。


「お任せください!」

 ルッチラがおつかいに駆け出していった。


「ココゥ」

 ゲルベルガはルッチラの背を見送りながら、小さく鳴いた。

 ゲルベルガは狙われる可能性があるので、なるべく俺と同行するようにしているのだ。


「ゲルベルガさま。台所に行くぞー」

「コッコ!」

 俺が台所に向かうと、ゲルベルガは楽しそうについてくる。


「ここここ」

 小さく鳴きながら、たまに羽をばたばたさせている。


 台所には、ミルカとガルヴがいた。


「あ。ロックさん。どうしたんだい?」

「がう」


 ミルカは先程の服から着替えていた。

 先程の貴族の令嬢っぽい服じゃなく、普通の動きやすそうな服だ。

 それでも、美少女なのは変わりない。

 髪の毛がきれいになっているし、顔の汚れなども取れている。

 元がいいので、清潔にしていれば、とても可愛らしい。


「ちょっと、食糧保存庫でも作ろうと思ってな」

「そうかい! 手伝うことはあるかい?」

「いや、大丈夫だ。それより、着替えたのか?」

「うん。汚したらもったいないからな!」

「その服も似合っているぞ」

「えへへ。ありがとう」


 ミルカは照れている。

 今着ている服も、これまでのボロボロの服ではない。

 上等そうな生地で作られた仕立ての良い服だ。


「セルリスから貰ったのか?」

「そうなんだよ。セルリスねーさん、服を沢山くれたんだ」

「気前のいいやつだな」


 あとで俺からもお礼を言わねばなるまい。


「セルリスねーさんには、頭が上がらないぜ!」

 そういいながら、ミルカは掃除をしていた。


「掃除は明日からでもいいのに」

「台所ぐらいは綺麗にしとかないと、お腹を壊すからな!」

「そうか。すまない」


 掃除をするために着替えたのだろう。

 一方ガルヴはというと、台所の匂いを嗅ぎまくっていた。


「ガルヴわかっていると思うが、縄張りの主張は許さないからな」

「! ガウッ!」


 ガルヴはびくりとした。

 ちょっとぐらい主張してもいいのでは? そんなことを思っていそうだ。

 油断も隙も無いとはこのことである。


「いいか。ガルヴ。縄張りの主張というのはだな……」

「がぅ」

「俺の屋敷でも、王宮でも絶対したら駄目だぞ」

「がう」

「ゴランの家でもだめだ。というか室内では基本禁止だ」

「! がう!」


 え、だめなの? そんな感じの鳴き声だ。失敗する前に、教えられてよかった。

 それから駄目な理由を説明する。

 ガルヴはちゃんと、わふわふ聞いていたので、理解してくれただろう。


「普段はトイレでしなさい」

「がう」

「どうしても縄張りを主張したくなったら、散歩に連れて行ってやるから、その時にな」

「がう!」

「とはいえ、王都の中だと迷惑になるよな……。王都の外に散歩に行ったときにでも頼むぞ」

「がう!」


 ガルヴは子供だが、小さな馬ぐらい大きい。

 当然量も多いのだ。迷惑になる。

 ガルヴは賢いので、縄張りを主張しないで散歩も出来るだろう。


 そんなことを話している間に、ゲルベルガはガルヴの背に乗っている。

 お気に入りの場所らしい。

 ガルヴも特に嫌がらない。


「さて、食糧保存庫だが、ルッチラが帰ってくるまでには作りたいな」

「これじゃダメなのかい?」

 ミルカが台所に元から付属していた大きな戸棚を指でさししめす。


「普通の戸棚だからな。外に置いておくのと変わらないし」

「じゃあ、こっちはどうだい?」

 ミルカは床を指さす。床下にも収納スペースがあるようだ。


「こっちは冷暗所って感じでいいな」

「だろ」

 ミルカは自慢げだ。掃除しながら、どこに何かあるか調べていたのだろう。


「両方使おう」

 俺は両方に保存プリザベーションの魔法をかける。

 それから容積拡大エクスパンションの魔法もかけておいた。

 いわば、固定式の魔法の鞄のようなものだ。


「どんな魔法をかけたんだい?」

「それはだな」

 俺はミルカに説明しておいた。


「ロックさん、すげー」

「一応、秘密だが、俺は魔法使いでもあるのだ」

「そうなのかー」


 それから、俺は改めて屋敷の中を見回った。

 隠し通路や隠し部屋が他にもあったら把握しておきたい。

 ミルカ、ゲルベルガ、ガルヴもついてくる。


 残念ながら、新たな隠し通路や隠し部屋は見つからなかった。

 ついでに、俺は屋敷に防御魔法をかけて回った。

秘密通路が増えなくて助かりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >どうしても縄張りを主張したくなったら、 >散歩に連れて行ってやるから、その時にな 人間と同じトイレを使うほど気を使えるのかと思いきや、 部屋に小便ひっかけることに抵抗ないんだなw …
[一言] ミルカの服にも保存と防護の付与が要るでしょう? 防刃とか魔力防護・状態異常解消とか?防塵も要るよね! 家に来た敵に真っ先に狙われるのがメイドの ミルカでしょう?防護系はペンダントやブレスレッ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ