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224 全部の屋敷を回ろう

前回のお話:まず一軒魔法をかけ終わった。


一巻が大好評発売中です。コミカライズも決まりました。

「ひざに矢」3巻も発売されております。

 屋敷への魔法をかけ終わると、俺たちは次の屋敷へと向かうことにする。


「こんな時でなければ、ゆっくりしていっていただきたいのですが……」

「はい、また平和な時にでも遊びに来ますよ」

「ぜひ、お願いします」


 俺たちが全員背に乗ると、ケーテは上空へとゆっくり上がる。

 子供たちが一生懸命手を振ってくれている。


「ケーテさま、また来てね―」

「ロックさん、ありがとー」

「ぎゃっぎゃ! うむ。そのうち来るかもしれぬのである!」

「元気でな!」「がうがう!」


 そして、俺たちは次の屋敷に向かう。

 主要な族長の屋敷だけで、全部で十二あるのだ。

 ダントンと先ほどの屋敷は完了したので残りは十。急がなくてはならない。


「次はあっちであります」

「了解である!」


 シアの案内で次に向かう。またしてもあっという間に到着する。

 今回の部族からも大歓迎された。


 俺は全員に言う。


「前回と同じだから、テキパキやろう」

「了解であります!」「任せて欲しいわ」

 シアとセルリスは張り切っている。


「頑張ります!」「はい、お任せください」

「我は外で待っているのである」「がうがう!」

 ニアとルッチラもやる気充分だ。ケーテとガルヴはいつも通りに見えた。


 屋敷の中を探査して、魔道具を設置する。それが終わってから屋敷全体の強化だ。

 魔道具の設置が終わるまで、魔法干渉の都合上、屋敷の強化はできない。

 だから、今回もケーテは俺たちが設置している間、子供たちと遊んでいた。

 ケーテはこっちでも子供たちに大人気だった。竜の姿はかっこいいので当然と言える。


「さっきよりもだいぶ早くできましたね」

「みんな慣れて手際が良くなってきたからな」


 魔道具設置が終わると、ケーテと一緒に屋敷に強化魔法をかけていく。

 二回目だから強化魔法をかけるスピードも速くなっている。

 終わると、すぐに次の屋敷へと向かう。


「今日中に全部の屋敷を回りたいな」

「そうであるなー。だが、さすがに難しいのではないか?」

「だんだん早くなっているから、いけるかもしれない」

「ぼくもがんばります!」


 俺たちはどんどん屋敷に魔道具を設置して、魔法で強化していった。

 わずかな移動時間を有効活用して、シア、ニア、セルリスの剣に魔法をかけておく。

 ニアの剣はともかく、シアとセルリスの剣にはすでに魔法がかかっている。

 さらに魔法をかけるのは、難度が高いので、一日ぐらいしか持たない臨時の付与魔法だ。


「一時的な魔法だ。落ち着いたら、ケーテとモルスに協力してもらって本格的に強化しよう」

 これでシアたちの剣はレイスを斬ることができるようになったはずだ。


「ありがとうであります!」

「これで戦えるわ! すごくうれしい」

「がんばります!」


 シアたちもやる気充分だ。ダークレイスとの戦闘でも活躍してくれるに違いない。



 太陽が地平線の向こうに半分ぐらい隠れたころ。


「次で最後でありますよ!」

「なんとか今日中に全部終わらせられそうであるな」

「日没には間に合わなかったですけど、充分早いと思います」


 ルッチラは少し疲れた表情をしていた。

 俺の助手として、俺と一緒にずっと魔力探知マジック・サーチ魔力探査マジック・エクスプロレーションを行使してきたのだ。

 そのうえ、魔道具の設置と屋敷の強化も俺と一緒にやっている。疲れないわけがない。


「ルッチラ、疲れたか?」

「少しだけ、疲れました。でも大丈夫です!」「ここぅ!」


 ルッチラとその肩の上に乗っているゲルベルガさまもやる気充分だ。

 魔力は使えば使うほど伸びる。そのうえ俺とケーテが魔法を使うのを間近で見ている。

 ルッチラもきっと成長してくれるだろう。


 俺たちが会話している間にも、ケーテは移動し続けている。

 最後の部族の集落は、なぜか少し離れたところにあるようだった。


「最後の部族は少し離れているんだな」

「そうでありますね。十二部族の中では一番新しい部族でありますからね」


 集落を作るのに適した場所は限られている。いい場所かつ近い場所から使われるのが当然だ。

 だから、新しい部族は少し離れた場所にあるのだろう。


「見えてきたのである」


 それでもケーテの翼ならあっという間に到着する。ここでも大歓迎を受けた。

 日は沈んだので、どんどん暗くなっているが狼の獣人族はあまり気にしていないようだ。

 夜目が利くのだろう。


「ロックさん、ケーテさん、皆さんも、よくぞおいでくださいました」

 出迎えてくれたのは族長の中でも若い族長だった。


「遅くなってしまって申し訳ありません」

「いえいえ! こんなに早く駆けつけてくださるとは思いませんでした。真夜中になるものだとばかり」

「それならば、よかったです。時間も時間ですし、さっそく作業に入っても?」

「よろしくお願いいたします」


 そして俺はみんなに言う。


「これで最後だ。気を引き締めて行こう」

「「「はい!」」」

「任せるのである!」「がう!」「こここ」


 俺たちは作業に入る。もう十二回目ともあって慣れたものである。

 屋敷内の探査を終えてから、魔道具の設置を開始する。


 その途中、ダントンから通話の腕輪で連絡があった。


『ロック、忙しいところ済まない』

「どうした?」

『いやなに、日没後、ダークレイスの襲撃があったことを報告しておこうと思ってな』


 ダントンは落ち着いた口調で、そういった。

さっそく襲撃があったようです。

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