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【web版】ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。  作者: えぞぎんぎつね
五章

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223/303

223 屋敷に魔法をかけよう

前話のおはなし:族長屋敷を順番にまわることになった。


一巻が大好評発売中です。コミカライズも決まりました。

「ひざに矢」3巻も発売されております。

 さすがにケーテはとても速い。あっという間に到着した。

 ケーテがゆっくりと降りていくと、数十人の獣人族に出迎えられた。

 おそらくダントンが事前に連絡してくれたのだろう。

 狼の獣人族の族長たちの間には、連絡できるよう通話の腕輪が配られているのだ。


 昨夜別れたばかりの族長が駆け寄ってくる。


「ロックさん、みなさん、よくぞおいでくださいました」

「魔道具ができたので設置しに来ました」

「なんと。早いですね」 


 そして、俺はケーテに言う。


「ケーテ。竜形態のまま待っていてくれ」

「わかったのである」

「屋敷の中央はどのあたりになりますか?」

「こちらになります」


 俺はケーテを置いて、屋敷の中を案内してもらう。

 設置する前に屋敷中をルッチラと一緒に魔法で探査しておく。


「不審な魔道具などは見つからなかったです。ロックさんはどうですか?」

「俺も見つけられなかった」

「なら、安心ですね!」


 それから魔道具を設置する。設置には少し人手がいるので、シアたちにも手伝ってもらう。

 魔道具の設置を手伝うことで、魔道具への知識も深まるだろう。

 それは、戦士であっても、冒険者をする以上、マイナスにはなるまい。


「ロックさん、こんな感じでいいでありますか?」

「ああ、シアのやつはそれでいい。助かる」

「こうすればいいのね?」

「うむ、セルリスもそんな感じだ」

「ロックさん、できました」

「ニアは手際がいいな」


 やはり、ニアはルッチラと一緒にフィリーの手助けをしているだけのことはある。

 シアたちに手伝ってもらって設置を終わらせると、魔道具を起動する。


「これで、屋敷に昏き者が近づけば音が鳴ります。鳴る音は、ダントンの屋敷で聞いたあの音です」

「ありがとうございます」


 それから族長へ効果範囲や、侵入を防げる昏き者の強さなどの細かい説明などを済ませた。

 そして、俺たちはケーテの元に戻る。


「ぎゃっぎゃっぎゃ! もっと角度をつけてやるのである!」

「わーいわーい」


 ケーテと子供たちが遊んでいた。この部族でもケーテは子供に人気者のようだ。

 ケーテは頭を下げて、尻尾を緩やかに上げている。

 そんなケーテを子供たちは頭から尻尾の方へとよじよじ登っていた。


「こ、こら、お前たち、風竜王陛下になんてことを……」


 族長は慌てているので、とりなすことにする。

 後で子供たちが怒られたら可哀そうだ。


「ケーテも喜んでいるみたいですし、大丈夫ですよ」

「そうなのでしょうか」

「うむ、気にしなくていいのである! ぎゃっぎゃっぎゃ」


 そういって、ケーテは笑う。そして、子供たちをまとわりつかせながらこっちに来た。


「もう終わったのであるか?」

「設置は終わった。後は屋敷の壁の強化だな」

「それは我も手伝えるな。天井は任せるがよい」

「頼む。俺とルッチラは床に魔法をかけて回ろう。外壁は先に終わったほうがやることにしよう」

「わかったのである!」


 俺たちはそれぞれ作業に入る。俺はルッチラと一緒に床に強化魔法をかけていった。

 それが終わって、屋敷を出ると、

「子供たち、見ておくがよいのである」

「うん!」

「こうやって、こうじゃ!」

「すげー光った!」

 ケーテが、子供を背にのせて、屋根に魔法をかけていた。

 子供たちも大喜びしている。

 魔法はしっかりかけているようだが、子供たちに説明しているせいでゆっくりだ。


「……ルッチラ。壁は俺たちの方でやっておこう」

「そうですね。ぼくもそれがいいと思います」


 そして、俺とルッチラは壁にも魔法をかけていく。

 その間もケーテは大人気だ。子供たちの歓声が聞こえてくる。


「がうがう!」

 ガルヴも興奮気味に、空飛ぶケーテの下を走りまわる。

 子供たちとケーテの楽しそうな声を聞いて、楽しい気分になったのだろう。


「ガルヴも乗りたいのであるか?」

「ガウ!」

 ケーテはガルヴをつかんで背にのせた。

 少し前にケーテに怯えていたのが、嘘のようだ。


 楽しそうなケーテたちの様子を見ながら、俺とルッチラは淡々と魔法をかけていく。


「屋根に魔法をかけ終わったのである! ロック、確認して欲しい!」

「ちょうど、こっちも終わったところだ。ケーテのかけた魔法だから大丈夫だろうが……」


 俺とルッチラは一緒にケーテに手でつかんでもらって屋根にあげてもらった。


「ルッチラ、どう思う?」


 俺は徒弟への魔法教育も兼ねて、あえてルッチラに尋ねる。

 ルッチラは真剣な表情でケーテのかけた魔法を調べて言った。


「しっかりかけられていると思います。ロックさんはどう思いますか?」

「そうだな。素晴らしい出来だ」

「そうであるかー。安心したのである」


 ケーテがほっとした声を出すと、その背中に乗っている子供たちが歓声を上げる。


「さすが、ケーテさまだね!」「うん! すごいよ!」

「がうがう!」

「そうであろうそうであろう!」


 ケーテは嬉しそうだ。尻尾もゆっくり揺れていた。

相変わらずケーテは大人気です。

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