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【web版】ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。  作者: えぞぎんぎつね
五章

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205/303

205 幻術を使った稽古

前話のあらすじ:ラックさんは訓練に幻術を取り入れることを思いついた。


GAノベルからついに発売開始です。コミカライズも決まりました。

「ひざに矢」3巻も同日発売です。

 幻術を使うことは、ルッチラの訓練にもなるはずだ。

 俺は肩で息をしている子供たちに向けて言う。


「ニア、子供たち。今から強敵の幻を呼び出すので、とりあえず集団で戦いなさい」

「はい。がんばります!」

「はい!」


 ニアと子供たちは元気よく返事をするが、よくわかっていなさそうだ。

 ニア以外は幻術というものになじみがないのだろう。


 俺は子供たちから離れて、見物している族長たちの近くに行く。


「じゃあ、いきます!」

 そうルッチラが言った瞬間、ルッチラの気配が急激に薄くなる。

 姿隠しの魔法を使ったのだ。


 そして子供たちの目の前にレッサーヴァンパイアの幻が出現した。


 のんびり見物していた族長たちも一瞬で身構える。剣を抜いているものまでいた。

 ルッチラの幻術の精度はそれほど高いのだ。


 だから俺は族長たちに言う。


「安心してください。訓練用の幻術ですから」

「なんと! 幻術ですか? これほどはっきり見えるとは……」

「私の徒弟、ルッチラの特技ですよ」

「そうだったのですか……。まるで本当にレッサーヴァンパイアがいるように感じられます」

「さすがはロックさんの徒弟の方ですね」


 族長たちは心底驚いているようだった。

 ダントンがつぶやく。


「幻術と聞いて、改めて見直してみても、本物のレッサーヴァンパイアにしか見えんぞ」

「だろう? 俺が使う幻術もルッチラに教えてもらったんだ」

「ロックが教えてもらうほどとは……」


 俺が族長たちと会話している間に子供たちに幻のレッサーが攻撃を仕掛けた。

 子供たちは驚きつつも、すぐに反撃を開始する。


「さすが、子供とは言え、狼の獣人族の戦士だな。見事な動きだ」

「お世辞でもうれしい」

「お世辞ではないさ。さて、子供たちの訓練が終わり次第、シアたちにも幻術で訓練するか」

「シアたちにもレッサーを呼び出すのか」

「いや、シアとセルリスは強いからな。ロードの幻を呼び出す」

「なんと!」


 俺とダントンの会話は一応族長たちにも聞こえただろう。

 これで急にロードが現れても驚くまい。

 だが、念のために族長たち全員に改めて言う。


「この訓練が終わり次第、私がヴァンパイアロードの幻を出すことにします」

「ロードですか。それは……すごい」

「さすがはロックさんです」

「今後も幻を出すときはあらかじめご報告しますね」

「ありがとうございます」


 俺が事前に報告するのは、稽古中に本物のヴァンパイアが現れたときのためだ。

 その時、幻かもしれないと思われれば、どうしても初動が遅くなってしまう。

 だから、幻を出すときはあらかじめ報告することにしたのだ。


 俺は族長連中に伝え終わると、ゆっくりとシアたちの元へと歩く。


「シア、セルリス。子供たちの訓練が終わり次第、稽古の続きだ」

「はい! よろしくお願いするであります!」「がんばるわ!」

「二人で協力して対応してみなさい」

「はい!」「任せておいて!」


 二人はとても張り切っているようだ。

 一方、ガルヴは俺の後ろをついて歩く。俺が止まるとお行儀よくお座りした。

 いつもはしゃぎまくっているガルヴにしては珍しい。


「ガルヴも訓練したいのか?」

「がう?」

 そういうわけでもないらしい。


 そうこうしている間に、子供たちの訓練が終わる。

 子供たちは見事幻術を退治できたようだ。

 とはいえ、幻術は普通にやっても倒せない。

 ルッチラが慎重に子供たちが与えたダメージを判断して倒させたのだ。


 俺はルッチラと子供たちに駆け寄った。

 まずニアと子供たちに尋ねる。


「どうだった?」

「強かったですけど、何とかなりました。本物もこんな感じですか?」

「そうだな。ルッチラの幻はかなりの再現度だった」

「ルッチラさん、ありがとうございます!」


 子供たちが頭を下げて、お礼を言い、ルッチラは照れていた。

 そんなルッチラに俺は言う。


「ルッチラ。見事だ」

「ありがとうございます」

「次はアークヴァンパイアを頼むかもしれない。可能か?」

「アークまでなら、かなりの精度で再現できます。ロード以上はぼくには戦闘経験があまりないので」

「そうか、素晴らしい」「がうがう」


 ガルヴはルッチラに甘えていた。ルッチラもガルヴを撫でている。

 そんなガルヴをルッチラに任せると、子供たちにささやく。


「いまからロードの幻を出す。シアとセルリスがどう戦うのか見てなさい」

「「はいっ!」」


 期待のこもった目で子供たちが見つめてくる。

 俺はちらりとシアとセルリスを見る。談笑していた。

 まだ、訓練が始まるとは思っていなさそうだ。


 俺はシアたちの油断をつくようにして、ヴァンパイアロードの幻を出す。

 俺の全力に近い幻術である。

 幻だとわかっていても、本物としか感じられないだろう。


「ぬ……」「なんと……」


 族長たちのうめくような声が聞こえる。

 あらかじめ報告していたにもかかわらず、族長たちは全員剣を抜いている。

 それほど真に迫る幻を出せたのだと、俺は満足した。


「ひっ」

 子供たちは悲鳴に近い声を上げていた。あまりの威圧感に驚いたのだろう。


 一方シアとセルリスは

「りゃああああああ」

「とりゃ!」

 出現したヴァンパイアロードが動き出す前にシアとセルリスは躍りかかった。

ラックさんのほうがルッチラより再現度が高いようです。

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[気になる点] 残念ながら評価落とす。 この話はこれまで。 また次回に期待。
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