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192 獣たちと夕食

前話のあらすじ:夕食を食べています。


GAノベルから2月発売決定です。コミカライズも決まりました。

「ひざに矢」3巻も同日発売です。

 俺は自分の夜ご飯を食べながら、ご飯を食べるタマとガルヴの様子を見る。


「わふかふかふ」

「がふががふがふがふ」

 結構勢いよく食べていた。タマとガルヴは俺の足元の床で食べている。

 一方、ゲルベルガさまはテーブルの上で食べている。

 神ということもあって、床で食べさせるのは気が引けるのだ。

 体が小さいからテーブルのうえでも邪魔にならないというのもある。


「こっこっこ」

 ゲルベルガさまも機嫌よく食べていた。

 ゲルベルガさまのご飯は、葉菜類やとうもろこし、肉などである。

 ガルヴのご飯は肉中心だ。タマはそれに加えて、イモを混ぜてある。


 ちなみに、今日もゲルベルガさま、タマ、ガルヴの順番で食べ始めていた。


 俺は食事中のタマの背中と肋骨辺りを撫でた。

「わふがふがふ」

 タマはうなることもなく、食べつづけている。


「だいぶ肉ついたかな?」

「タマも少し太ってきたので安心なのだ」


 フィリーが嬉しそうに言う。

 タマは痩せていたからみんなが心配していたのだ。


「タマ、足りなかったらおかわりもあるぞ」

「わふ」


 タマが物足りなそうにしていると、ガルヴが自分の餌を分けてしまうのだ。

 ガルヴもまだ子狼なので、いっぱい食べる必要がある。


「ガルヴもご飯いっぱい食べろよ。おかわりもあるぞ」

 食事中のガルヴのことも撫でておいた。


 少ししてタマとガルヴは食べ終わる。

 タマとガルヴは最初に与えた量で、満足したようだ。


「水を入れてあげよう」

 俺が立ち上がろうとすると、ミルカが立ち上がる。


「ロックさんは座っていてほしいんだ! 水はおれが入れてくるぞ!」

 ミルカは水入れからタマとガルヴの器に水を入れる。

 タマもガルヴも美味しそうに水を飲んでいた。


「こっここ」

 食べ終わったゲルベルガさまは、テーブルの上を歩いて俺のひざの上にぴょんと乗る。


「ゲルベルガさまは、おかわりしなくていいのか?」

「こぅ」

 大丈夫らしい。

 ゲルベルガさまは、もぞもぞと俺の服の中に潜り込んできた。


「ゲルベルガさま、どうしたんだ?」

「ゲルベルガさまは、ロックさんに甘えたいんですよ」

 ルッチラがそんなことを言う。


「そうなのか」

 俺はゲルベルガさまをそっと撫でる。


「こここ」

 ゲルベルガさまは、気持ちよさそうに鳴いていた。


 俺たちが夜ご飯を食べ終わり後片付けを終えたころ、エリックとゴランがやってきた。


「エリックもゴランも、夜ご飯食べたか? まだだったら用意するぞ」

「おお、ありがたい。もらおう!」

「まかせておくれ!」


 ゴランがそういうと、俺が立ち上がる前にミルカが走っていった。


「エリックはどうする?」

「気持ちはありがたいが、やめておこう。レフィがな。怒るからな」

「あぁ。そういえば、そうだな」


 エリックの妻、王妃レフィはエリックの健康を心配しているのだ。

 王宮と、俺の屋敷で夕ご飯を二回食べるのはさすがに食べすぎである。

 俺も、レフィからエリックにやめさせるように言われていた。


「では、エリックさんにはお茶を入れますね。皆さんの分も」

 ニアとルッチラが立ち上がってお茶を入れに行く。


「ニア、ルッチラ、ありがとう」

「いえいえー」

「お気になさらず」

「ここぅ」


 俺の懐に入ったままのゲルベルガさまが顔だけ出した。

 それをみてエリックが笑顔になる。


「ゲルベルガさま、楽しそうなところにいますね」

「こ」


 ゲルベルガさまは心なしかどや顔をしていた。


「エリック、王都の後始末はどうなった?」

「ああ、王都各所の点検を近衛騎士団総出で今日の午後済ませておいた」

「仕事が早いな」

「ゆっくりはできないことだからな」


 実は俺たちが昏き者どもの本拠地をつぶした日。王都にも襲撃があったのだ。

 水竜の集落への襲撃の規模に比べたら、小規模なものだ。

 一体のヴァンパイアロードに率いられたレッサーとアークの群れだ。

 総数四十匹ほどだったという。


 ゴランが言う。

「狼の獣人族を騎士として召し抱えていなかったら、被害がどれだけ出たかわからねーな」

「ああ、エリックの施策が功を奏したな。さすがだ」


 俺が褒めるとエリックは首をゆっくりと振った。

「むしろ近衛にロックとフィリーの作ってくれた魔道具を配っておいたのが大きいだろう」

 そして、エリックは俺とフィリーに頭を下げる。


「ロック。フィリー。非常に助かった。王国を代表してお礼を言う」

「俺は大したことはしていない。大体フィリーの手柄だ」

「と、とんでもないことでございます」

「わふ」


 とても恐縮していた。フィリーは上級貴族としての教育を受けているので仕方がない。

 タマも主であるフィリーの緊張が伝わったのか緊張している。


 俺はエリックに尋ねた。

「アークとロードは王都の神の加護を魔道具で突破したんだよな」

「そのとおりだ」

「数を揃えてきやがったか。面倒だな」

「もちろん、それも看過できない。だが俺が最も危惧しているのは、それとは別のことだ」


 そう言ったエリックは険しい表情をしていた。

王都にも襲撃があったようです。

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