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191 夕食

前話のあらすじ:ガルヴと遊んだ。


GAノベルから2月発売決定です。コミカライズも決まりました。

「ひざに矢」3巻も同日発売です。

 ガルヴとしばらく遊んだ後、俺は立ち上がる。


「がう?」

 ガルヴはまだ遊び足りなさそうにも見える。


「そろそろ夜ご飯の時間だからな。準備しないと」

「がう!」


 ガルヴは興奮気味だ。尻尾もものすごく揺れている。

 ご飯という言葉に反応したのだろう。


「ミルカはフィリーの助手で忙しいからな」

「がーう」


 ガルヴと一緒に外にでて、適当に食材を買ってくる。

 そして、調理するのだ。


 とはいっても、肉を焼いたり適当にスープを作ったりと簡単なものだ。

 ガルヴは俺が料理している間、周囲をぐるぐる回っていた。


「がうー」

「ガルヴの分も作ってるから安心しなさい」


 だいたい料理が終わったころ、台所に風呂上りのセルリスが入ってきた。

 肩にゲルベルガさまを乗せたニアも一緒だ。


「手伝うわ!」

「ありがとう、でも大体もう終わったからな」


 徒弟のニアは申し訳なさそうに頭を下げた。


「本来は私がやるべきでしたのに、気づかずに申し訳ありません」

「それは気にしなくていい。手の空いているものがやるべきだからな」


 夕ご飯の匂いに気づいたのか、ミルカとルッチラもやってくる。


「夕食の準備してもらって、ありがとうだぞ!」

「ロックさん、ありがとうございます」

「フィリーの手伝いはうまくできたか?」

「うん。色々教えてもらいながらだけどね!」

「魔法とは違ったところがあって、興味深いです」


 ミルカとルッチラは錬金術に興味を持ったようだ。

 色々学べばいいと思う。


「じゃあ。食堂に運ぶのを手伝ってくれ」

「まかせておくれ」


 みんなで手分けして食事を運ぶと、食堂にはシアとフィリーとタマがいた。


「タマの分もあるからなー」

「わふ」


 タマは元気に尻尾を振った。

 そしてみんなで夕ご飯を食べる。


「そういえば、シアたちは昨日何もらったんだ?」

「勲章と褒賞金であります」


 昨日は王宮に狼の獣人族の族長が集まり、エリックから褒美をもらったようだ。

 ちなみに俺は欠席している。目立つのは良くないからだ。


陞爵しょうしゃくはさせてもらえないのか」

「爵位を上げるとなると、他の貴族との関係もあるし、そう簡単にはいかないのだろうな」

 フィリーが真面目な顔でそう言った。確かにフィリーの言う通りかもしれない。


 半分ぐらいご飯を食べたころ、

「あ、ご飯を食べているのであるな! 失礼失礼! また、夕食時に遊びに来てしまったのである!」

 元気いっぱいなケーテがやってきた。ケーテは大体夕食時にはやってくるのだ。


「ケーテも食べるか?」

「よ、よいのか?」

 いつも食べていくのに、遠慮して聞く。だから、俺もいつものように言う。


「いいぞ」

「嬉しいのである!」


 ケーテに食事を出すと、お礼を言って食べ始める。


「うまい、うまいのである!」

 作った俺が言うのもなんだが、それほどうまくはない。


「そんなでもないだろう」

「いや、うまいのである!」


 たとえお世辞でもうれしいものだ。

 それにケーテは食べっぷりがいいので、気持ちがよい。


「そういえば、ケーテは今日何してたんだ?」

「昏き者どもの動きがないか、水竜の集落の周囲を巡回していたのである」


 本拠地をつぶした日、水竜の集落の結界は破られた。

 壊された結界は俺と水竜の精鋭総出で修復し、さらに強化しておいた。

 隕石を落とされても大丈夫なように、物理防御も強化してある。


 とはいえ、まだ警戒が必要なのは確かだ。

 ケーテの見回りはとてもありがたい。


「なにか動きはあったか?」

「レッサーヴァンパイアとかゴブリンはいたが、それだけであるな」

「……大丈夫か?」

「なにがである?」

「ゴブリンと人族を間違えたりしてないよな?」

「それは大丈夫である」


 堂々とケーテは胸を張る。


「我は人族とゴブリンを見分けることが出来るようになったのだ」

「おお、それはすごい」

「ふふん。ロックたち人族と毎日会っているのである。そのぐらいは出来るようになって当然である」


 それはとても良いことだ。

 お肉を食べていたセルリスが言う。


「どうして、水竜の結界は破られたのかしら?」

「基本は従来の方法だ。起動前の魔装機械を中に持ち込んでってやつだな」


 敵の侵入を察知する魔法陣もある。

 水竜たちは当然気づき、持ち込まれまいと抵抗を開始する

 それと同時に門からも急襲をかけ、戦力を集落の中心から外周へとおびき出した。

 その隙に結界のコアを破壊したのだ。


「毎日襲撃をかけてきてたのは、結界のコアの位置を探るためだったんだろうな」

 昏き者どもの本拠地を守る結界は、強力だが隠蔽は不十分だった。

 強力ゆえに、コアを隠す必要性を感じなかったのだろう。


 だから、すぐにコアの場所が分かったし、隕石を落とすことも出来た。

 だが、水竜の集落の結界のコアはうまく隠蔽されていた。

 それを探るために何度も何度も襲撃が必要だったのだ。


「水竜の結界のコアの隠蔽はさらに強化して、場所も変更した。そう簡単に破られることはないだろう」

「ロックさんでも難しいでありますか?」

「何の情報も無ければ、俺でも難しいな。相当時間がかかる」

「それなら大丈夫でありますね」


 シアは安心したようだった。

水竜の集落の防備はしっかりしているようです。

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