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186 水竜集落の防衛その2

前話のあらすじ:ラックさんはヴァンパイアからかすり傷を負った。


GAノベルから2月発売決定です。コミカライズも決まりました。

「ひざに矢」3巻も同日発売です。

 俺の腹から流れる血を見て、

「ふっ」

 ヴァンパイア、恐らくハイロードがにやりと笑う。

 その剣には黒い液体が付着している。恐らく毒だ。

 時間がない。毒で動けなくなるまでに敵を殺しきるしかないだろう。


「敵は毒を使っている! 気をつけろ!」

 全員に呼びかける。


「わかりました!」

 水竜たちが返事をしてくれる。


 水竜たちとの会話を隙と思ったのだろう。


「死ねっ!」

 ヴァンパイアハイロードが襲い掛かってくる。

 大きな昏竜も息を合わせて攻撃してくる。


「いいコンビネーションだ。だが甘い」

 俺は大きな昏竜とヴァンパイアにまとめて重力魔法をぶつける。


「ぐがっ!」

「GYAAAAA……」


 突進中のハイロードと昏竜は立っていられなくなり転倒する。

 地面に転がり、抑えつけられる。

 そこに魔法の槍をそれぞれ十本ずつ撃ち込む。昏竜の全身に魔法の槍が刺さった。

 だが、ハイロードは跳びはねて避けた。俺の重力魔法を振り切ったのだ。

 ただのハイロードではなさそうだ。

 エリックとゴランが戦っているのと同じ階級だろうか。


 ハイロードは毒のついた剣で襲いかかってくる。

 俺は大きめに避けて間合いを広げる。


「ガルヴ、剣に毒が塗ってある。気をつけろ!」

「ガウガウ!」


 ガルヴは俺の言葉を理解してくれた。少し距離をとり、油断なく姿勢を低くしている。

 左右に素早く移動しながら、隙をうかがっていた。


「劣等種族の人間風情が!」


 ハイロードが叫びとともに、常人には目にもとまらぬ速さで突っ込んでくる。

 俺との間合いが一気に縮まる。そして鋭い斬撃。

 俺は紙一重でかわすと、そのままハイロードの首を左手でつかむ。


「なっ、なぜ、動ける。毒を食らったはずだ」

「ああ、だいぶ動きが鈍くなってる。劣等種族だから毒ごときで体力が足りなくなるんだよ。すまないが、体力をもらうぞ」

 俺はドレインタッチを発動する。


「ぎゃああああああああ」

 ハイロードは絶叫を上げ、一気に老人のような容姿に変わっていく。

 逃げようというのだろう。剣を落とし、手の先から霧に変化しかける。

 そこにガルヴが素早く突っ込む。ハイロードの胴体に噛みついた。


「ひぎぎいいい」


 ハイロードは聞いたことのないような絶叫を上げた。変化できなくなったのだ。

 すでに霧になっていた部分は、俺がドレインタッチで吸収しておく。

 そして、魔神王の剣で、ハイロードの首を斬り落とした。

 魔神王の剣で斬り裂いても、生命力は吸収できる。

 このようなとき、非常に便利だ。


「ラックさん、動かないでください。すぐに治癒魔法を……」

 水竜の一頭が、慌てた様子で駆け寄ってきた。


「ありがとう。だが、大丈夫だ」

「いえ、大丈夫な顔色では……」

「慣れているから」


 そういって笑っておいた。

 魔神との十年間の戦いの最中、何度も毒を食らっている。

 対処法はいくらでもある。回復魔法をかけてもらうその時間が惜しい。

 回復魔法が使えなくても、俺にはドレインタッチがあるのだ。


 俺の体内に入った毒は強力なものらしい。たしかに意識が少し朦朧とする。

 だが、まだ敵はいる。休むわけにはいかない。

 俺は次に大きい昏竜に狙いを定めた。


 俺は魔装機械に雷撃系の魔法を撃ち込みながら、昏竜に襲いかかる。


「GYAAAAA!」

 昏竜は咆哮して魔法を撃って、爪をふるう。

 昏竜の腕を魔神王の剣で斬り落とし、直接触れて、ドレインタッチを発動する。

 そうすることで、一気に体力が回復するのだ。

 毒で失った体力を回復しながら戦った。


 水竜やケーテの奮戦もあり、しばらくたって魔装機械と昏竜の討伐が完了した。


「ラックさん、今度こそ止まってください! 解毒の魔法をかけさせてください」

「ありがとうございます」

「それにしても、あの毒をうけて戦い続けられるとは……。竜以上の体力ですね」


 水竜たちにも毒をうけたものがいたのだ。

 竜の身であっても、動けなくなったらしい。

 速やかに解毒しなければ、命が危ない。そんな毒だったようだ。


 リーアが慌てた様子で駆けてくる。

「ラック、大丈夫? 毒に侵されてしまったの?」

 リーアが竜の姿のまま心配してくれた。大きな鼻先を俺の顔にくっつける。


「大丈夫だよ。顔色の割に平気だ」

 俺はリーアの顎の下を優しく撫でた。


「がーう……」

 ガルヴも心配そうに俺の匂いを嗅いでいる。ガルヴのことも撫でておいた。


「ガルヴも心配してくれるのか。ありがとう」

 そんなことをしていると、あっという間に楽になる。


「ありがとうございます。もう楽になりました」

「もう、大丈夫なのですか?」

「はい。さすがは水竜の魔法ですね」


 ほめると、水竜は照れていた。

 水竜は回復系の魔法が得意なようだ。解毒の効果が非常に高い。

 回復魔法のエキスパートであるエリックの妻レフィを連れてきたら喜ぶかもしれない。

 そんなことを思った。

水竜の回復魔法の水準はとても高いようです。

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