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161 水竜との連絡手段を手に入れよう

前話のあらすじ:水竜の集落には強いものを弾く結界が張ってありました。


『最強の魔導士。ひざに矢をうけてしまったので田舎の衛兵になる』の2巻が発売中です。

 それから俺たちは集落を案内してもらった。

 五十頭の水竜たちがついて来るので、大移動と言った感じだ。


 水竜の集落は巨大な湖と広大な森が接しているところにあった。

 それゆえ、集落の南側は巨大な湖に接している。


「湖にも結界が張られているのですか?」

「結界が張られているのは湖の中ほどまでですね」


 エリックの問いに侍従長モーリスが答えてくれた。

 外から集落の方に来ようと思っても、近づけないらしい。

 湖には深い魔法の霧が立ち込めており、方向がわからなくなってしまう。

 それで、まっすぐ進んでいるつもりでも、対岸に戻ってしまうのだ。

 仮に何らかの手段で、まっすぐ進んだとしても、結界を突破するのは難しい。


「森側より強固ですね」

「そうなっています」


 シアが尋ねる。


「あの、水竜の皆さんは、水の中で生活されているわけではないでありますか?」

「基本的には、地上で暮らしています」

「泳ぐのも好きなの」


 リーアは楽しそうに言う。

 水竜は泳ぐのが好きだし、水中でも息ができる。

 そして、水の魔法やブレスが強力だ。

 だからといって、水の中で暮らしているわけではないらしい。


「とても広くてきれいな集落ですね」

「そうなの!」


 俺が褒めると、リーアは自慢げに胸を張る。

 五十頭の水竜が暮らしているのだ。狭いわけがない。

 竜が住むのに充分な大きさの家が五十近くある。

 家と家との間隔も広い。


「がうがう!」


 ガルヴも嬉しそうに、リーアを乗せて走り回っていた。

 水竜の集落は、ガルヴの散歩ができそうなぐらい広い。

 これからは王都の外ではなく、ここで散歩してもいいかもしれない。


 その後、俺たちは水竜の宮殿に戻った。

 五十頭の水竜たちとは宮殿の前で一旦別れる。


「ラック! お茶とお菓子があるの! ガルヴ走って」

 リーアははしゃいでいる。ガルヴの背に乗ったまま、俺の手を取って走り出した。


「がうがう!」

 ガルヴは嬉しそうだ。尻尾を振って走っている。


 全員で宮殿の応接室へと移動する。

 さっき宮殿に入ったときは、自室にまっすぐ向かったので応接室は初めてだ。

 宮殿自体が広いので、移動も少し時間がかかる。


 応接室には巨大な机と椅子がある。

 そして、その横に人族サイズの机と椅子があった。


「あっちが竜用の、こっちが人用のなの!」

「両方あるんですね」

「ラックたちが遊びに来るから、新しくご用意したのよ」

「それはありがとうございます」


 よく見ると遠くに四人ぐらい用の人族サイズの机があった。

 あれが王族用なのだろう。王族は数が少ないから座席数も少ないのだ。


 俺たちが椅子に座ると、侍従長がお茶とお菓子を持ってきてくれる。


「ガルヴちゃんは、これを食べるの」

 ガルヴ用のおやつも用意されていた。


「がう!」

 嬉しそうにガルヴが食べる。


 お茶を飲んでお菓子を食べてほっとしていると、ドルゴが言う。

「さてさて、皆様に水竜の集落を見ていただいたところで、本題に入りましょう」

 ドルゴは鞄から腕輪を出した。

 一つは人族サイズのもの。もう一つは竜族サイズのものだ。


「これは通話の腕輪ですか?」

「いえ、ただのオリハルコンの腕輪です。これから魔法をかけて、通話の腕輪にした後、先日エリック陛下からいただいた通話の腕輪とつなげようと思っているのですが、問題ないでしょうか?」


 俺たちはエリックから渡された通話の腕輪を持っている。

 俺、エリック、ゴラン、ケーテ、ドルゴの間で通話できるものだ。

 それに、リーアと侍従長の通話の腕輪をつなげたいらしい。


「確かにそのほうが便利ですね。お願いします」

「ありがとうございます」

「通話の腕輪! リーアも欲しいのよ」


 リーアは嬉しそうだ。

 俺たちから腕輪を受け取ると、机に並べる。

 そしてドルゴは俺たちの目の前で魔法をかけていく。

 ただの腕輪を通話の腕輪にして、俺たちの通話の腕輪とつなげるのだ。


 ドルゴは魔導士としても凄腕だった。

 非常に勉強になる。


 食らった魔法ではないのでラーニングは出来ない。

 だが、観察すれば真似することは出来そうだ。

 一応、断りを入れるのが礼儀だろう。


「あの、ドルゴさん」

「なんでしょう」

「この魔法って私が見ても良いのでしょうか?」

「といいますと?」

「いえ、魔法を見せていただくことで真似ができるようになりますから」

「え?」


 ドルゴが手を止めて、真顔になった。

 俺以外は魔導士ではないので、真似は出来まい。

 だが、俺は魔導士なのだ。


「やはりまずかったでしょうか? もう遅いかもしれませんが、私は席を外しましょうか……」

「いえ、まずくはないのですが……。本当に再現できるのですか?」

「再現というほど精度が高いわけではなく、真似に過ぎないのですが……」


 それでも、竜の魔法で魔道具を作っているのだ。

 竜の秘儀なのだとしたら、真似されたら困るかもしれない。


「やはり、席を外しましょう」

 そういうと、慌てた様子でドルゴは首を振った。


「いえいえ! 真似されて困るようなものでもないので! 真似ができるとは思わなかったもので、驚いただけです」

「ロックすごいのである。我など手取り足取り教わってもわからないのである」

「……ケーテはもう少し真面目にやりなさい」


 ドルゴはケーテに小言を言う。

 一方、リーアは目を輝かせた。


「リーアもわからないのよ。すごいわ!」

「ロックは、魔法ラーニングが出来るからな」

「ああ、魔法を即座に習得するのが得意なんだ」


 エリックとゴランが、なぜか自慢げにしていた。

ラックは、通話の腕輪の製作魔法を習得した。

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