両思いの2人が付き合うまでの物語
連載している小説より書きたくなったから書いた謎の小説です。
「た、助けてくれて、ありがと…」
座り込んだ少女は俺と同じ制服を着ている。しかも、襟章を見る限り同級生…というか、同じクラスだ。
夜の公園。ここは子供が1人で泣いたり(妄想)酔った大人の寝場所(我が父)となっている。
そんな場所に2人の高校生がベンチに座っている。
相手は少し顔を赤くして目をそらしている。
気まずい。めっちゃ気まずい。
やっぱり思ってしまう。
なぜこうなった。
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夜の川崎。それは薄暗く、治安が悪い。俺、春川壮太はこんな町に住んでいる。
と言っても俺は不良とか悪ガキとかではない。書類選考である程度頭の良い私立に通うただの高校二年生だ。
好きなことはゲーム。過疎ったゲームでランキング上位のクソゲーマーだ。我ながら微課金でよくあそこまでやれてると思うよ。
あ、微課金は諭吉さんまでのことだと俺は思ってるぞ。10万は微課金とかいうやつではないからな?
そんなことを思いながら暗くなった川崎の街を歩く。
川崎駅周辺は明るい中でフェンスに座るガラの悪そうな男たち。路地裏にはヤクザ座りの不良。そしてすれ違うただのサラリーマン。
川崎はそんなもんだ。しかし、少し駅から住宅街に足を運ぶと色々と変わってくる。
何と無く空気が美味しく感じ、ガラの悪い連中もいなくなる。ただの普通の町だ。
いつも通り、駅から家に帰る。何と無く始めたボルタニングに意外とはまり込んでいるから、帰りは遅い。学校近くのトレーニングセンターに毎日通ってるから帰りはいつも8時半すぎだ。
俺の家は川崎駅から15分くらいの近いのか遠いのかわからない場所だ。と言っても、欲しいものは何でも買えるし、遊びに行くのにも困らないから不満はない。
不満…というか、欲望ならば彼女が欲しいことだが、こればっかりはしょうがない。
身長169.5、決してマッチョでは無く、ヒョロイ訳でもない。
顔は悪くないと思う。だが、俺には大きなマイナス点がある。それは帰宅部ということだ。中学はサッカーをやっていたが、引退した後に始めたボルタニングにハマったから高校でもそれを続けるために帰宅部なのだ。
しかも、学校では授業以外ではスマホOKなことを理由に休み時間はひたすらゲームである。こりゃ全くモテないわ。
「……今日は近道しようかな。」
冬は寒い。しかも今日はミスってボルタニング後に肌着を着忘れている。
嘘つくなよぉ…春に近づいて着て寒くなくなって着たって言ったニュースぅ…
そんなことを思いながら俺は森の中を通って行く。
この森…というか、林は住宅街の近くに時々ある里山的なものだ。木でできた階段が中にあり、登るのがめんどくさいので遠回りしていつもは帰っている。
けど、今日は寒いから身体動かしたいし、早く家に帰りたいからもってこいだ。
俺は里山の中を歩いて行く。
…なんだろう。声が聞こえる。男性と…女性の声か?喧嘩をしてるっぽいな。まぁ、どうせ関わらないだろう。
………そんなことを思っている時期もありました。
大きな広場に出るとそこの見えにくい場所で男が嫌がる女を掴んで引っ張ってるではありませんか。
見えなければよかった。この場所は広場とつながる大きな道では無く、獣道のような子供が通るようの道だ。だから、大通りから見えにくいが、この道からはしっかりと見えてしまった。
残念なことに。本当に残念なことに男にも女にも見覚えがあった。
男は中学の同級生。中卒で仕事を始めるとかほざいていた不良である。
こっそり酒は飲むし、タバコを学校で吸うし…という絶対に関わりたくない人種である。
とりあえずあいつを追っ払ったほうがいいと思ったから行動に出る。
「何やってんだ?檜山。」
目の前にいる2人の体がビクッと跳ねる。
「ああ?誰だお前?」
檜山は俺が誰か気付かず喧嘩を売ってくる。
「誰だろうな?とりあえず、お前が今参加しているゲームのグループ全てに本当の姿を送ってやろうか?」
その言葉を聞いた瞬間女の方を向いていた体がしっかりとこちらを向いた。
そして、暗いのにわかるほど目が見開かれる。
「そ、そうた?!?!な、何でここに?!?!」
「それは俺が聞きたい。とりあえず俺の同級生を襲うのをやめてもらえるか?」
「ど、同級生…す、す、す、すみませんでした!!!!」
今まで自分のことを襲っていた相手に思いっきり土下座されてうろたえている女子。
彼女はたしか、黒田恵だったはず…家近かったのか?
「事情は後で聞くから今は帰れ。」
「お、おう…ほ、本当にごめんな。許してくれるとは思わないが…す、すまん!」
檜山はもう一度黒田に謝ってから家の方に駆け出した。
それに相変わらず目をパチクリさせておる黒田。
とりあえず話しかけるべき…だよな。
「大丈夫か?黒田。知り合いが迷惑かけた。」
「えっと、その…ありがと…けど、その…春川くんは何でここに?」
「帰り道だ。いつもスポーツジムでトレーニングしてるから。」
「あ、そうだったんだ…だから……」
だから、の後に何かつぶやいていたが、聞こえなかったのでスルーしよう。
「えと…あと、ふ、不良なの?」
…それは俺のことだろうか?それとも檜山のことだろうか?まぁいいや。
「俺は不良じゃない。って言っても信じられないかもしれないけどね。あいつとの関わりを見せちゃったから。ちなみにあいつとの関わりはゲームだ。信憑性皆無なのは理解してるけど、それ以外に理由がないからな…」
どう思うだろうか?そんなやつと関わっているからって見下されるだろうか。まぁそれならそれで問題ないけど。
「そうだったんだ…疑っちゃってごめんね?というか、真面目な春川くんが不良なんて絶対ありえないよ。助けてくれてありがと。」
今まで尻餅ついた状態で話していたが、黒田は よいしょ と腰を上げる。
「…少し落ち着きたいから、付き合ってくれない?」
「ああ。」
こんなことがあるのだろうか。
まさかの愛の告白…なんてことはなく、公園デートに誘われた。
………だめだ。色々と頭がいかれたかもしれない。
改めて現状態の黒田を見ると、制服が土で少し汚れていて、服が乱されている。
と言っても女性を守る大事なものが見えているわけでもないので安心だ。
とりあえず広場にあるベンチへ向かった。
そして、今に至る。
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部活が終わっていつも通り私は家への帰り道を歩いていた。
小学校からやっているバトミントンのおかげで結構高レベルなこの高校に来ることができている。
なぜなら書類選考だと成績が足りなかったけど、バトミントンの成績で評価が追加されてギリギリ行けたのだ。
我ながら運が良いと思っている。なぜなら…
「春川くん、やっぱりかっこいいな…」
そう。恋をしてしまったからだ。この歳での初恋なんて笑われると思うけど別にいいもん。
いつもは気さくな感じで普通なのに、2人っきりとか、怪我した時とかは変わる。
自分のことなんかよりも相手のことをすごく思ってくれていることが身にしみるほどわかるった。何かやらないといけないことは積極的に取り組んでくれるし、頼りになる。そんな彼にいつのまにか私は惚れちゃっていた。
「ああ〜今でも先週のことが忘れられないよ〜!」
帰り道、道路でつぶやく。周りに人はいないから独り言したって誰にも聞かれないもん!
先週は新二年生のクラス発表の日。春川くんと一緒になりたかった私はいつもよりもっと早く学校についていた。そして、クラスが発表されている紙を見たときに飛び跳ねるほど嬉しかった。春川くんと同じクラスだったのだ。
そして、それだけでは終わらない。横を見たらそこにはちょうど春川くんがいた。
春川くんはこっちを向いて
「今年も一緒だな黒田。また一年間よろしくな!」
と、笑いかけてくれた。
この時は心がぴょんぴょんしちゃって鼻血が出そうだったな…
というわけで現在絶賛片思い中の女子高校生黒田恵は家の近くの里山公園を通って家に向かう。
ちょうど広場に着いた時、男性の声が聞こえた。
「おい檜山!テメェまだ童貞なのかぁ?ざっねぇなぁ!おい!」
「ま、まだ自分は女に恵まれないんですよ…」
「そうだな。………わかったか?俺は帰るから明日ちゃんと聞かせろよ?」
「う、ういっす。」
「じゃあなー!」
男2人の会話のようだけど、なんだろう。最後、1人の男性が立ち去るときにこっちを舐め回すように見てたような…
ちょっと身震いしながらも広場を通る。
すると、後ろから肩を掴まれた。
咄嗟に大声を出そうとしたらもう片手で口を塞がれた。
「お嬢ちゃん。ちょっと、俺の初体験をもらってくれや。」
ここから先はほとんど何も覚えていない。服が脱がされそうになるけど、必死に体を動かして脱がされないようにする。
それでもやっぱり少しずつ脱がされていく。ブレザーとカーディガンを着ていたのにそれは脱がされた。
それでも必死にこれ以上脱がされないように暴れる。
そして、近くから声が聞こえた。
その声は聞いたことがある…というか、常に聞いていたいと思うほど好きでたまらない声だった。
【え!?!?けど、なんで!?!?なんで春川くんの声が!?!?】
声が聞こえた方を向くとやはりそこにいたのは春川くんで、目の前の男は少し震えていた。
いや、さっきから私の服を脱がすたびに手がすごく震えていた。冷静になって考えてみれば、胸とかも触られていない。は、初めては春川くんにあげることができる…よかったぁ…!!
そんなことを思っていると春川くんと男の会話が終わったようだった。
男は私に謝ってから走り去った。
は、は、春川くんと2人っきり…しかも夜の公園で…ど、ドキドキする…
春川くんになぜここにいるかとか、なんでこんなに遅いのかとか聞いていたら重要な情報が何個も手に入った。
1つ!なんと春川くんの家は私と近いみたい!
2つ!春川くんは毎日ジムに行ってボルタニングをやっている!
今度絶対に連れて行ってもらお!
3つ!不良ではない!
うん!当然!
ある程度話を聞き終わると、話が続かなくなってしまった。
【せっかくなんだから春川くんに色々聞きたい…!】
と思って私は気づけばこう声をかけていた。
「…少し落ち着きたいから、付き合ってくれない?」
きゃー!!!!愛の告白!素直に言っちゃった!
…うん。男性に襲われて、好きな人に救われたせいで心が壊れちゃったみたい。
そして今、私は春川くんとベンチに隣り合って座っている。
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ベンチで無言で座っていると、スマホからピコンと音が聞こえる。
その音に黒田はビクッと震える。
「今めっちゃビビってなかった?」
「えっと…その…うん…」
顔を赤くしながら黒田が頷く。
その様子に少し笑いながらスマホを確認する。
すると、檜山から連絡が来ていた。
この黒田を襲った事件は仕事の先輩による差し金だったらしい。
童貞だから広場を通ろうとしている女子高生を襲え、と。
しっかりとビデオを撮って明日送れと言われたそうだ。
なんとその方法でその先輩は何回かやってるらしい。川崎こえええ
檜山が送って来た文を黒田にも見せる。それで色々納得したようだ。
「やっぱり彼の意思じゃなかったんだね。」
「ん?なんで?」
「えっと、胸を触ろうとしたりとか、キスしようとしてこなかったから。」
「あーあいつそういうことするやつじゃないからな。」
あいつはタバコを吸っている。しかし、タバコではない。
最近タバコ依存症から抜け出すためにタバコのような無害のものが発明されているらしい。それはタバコの形をしているが、水蒸気しか出ないので全く体に害がない。
あいつは酒を飲んでいる。もちろんノンアルコールだ。
ちなみに暴力を振るったことはない。空手の道場の掟を今でも守っているようだ。
……うん。全く不良じゃないね。まぁ、だから関わっているんだけど。
そのことも黒田に話したら納得したようで、
「本当に良かったよ…檜山くん?出会ってるよね?」
「ああ。」
「その先輩だったら私本当に初めてを奪われてたよ。」
「…そういうことは男子にいってはいけないと思うんだ。」
「うーん。たしかに好きでもない男子にはいっちゃダメだけど…」
な、なんだこのためは…!
「あ!やっぱりなんでもない!今の言葉忘れて!!!!」
「お、おう。」
今の言葉というのはどちらのことだろうか。まぁ、どっちも忘れればいいだろう。
「えっと、春川くんは毎日この時間に帰ってるの?」
「まぁ、一応こんなもんだよ。」
「なら、これから毎日一緒に帰らない?少し怖くて…」
…たしかに。女子同士だと2人とも襲われて終わりだし、今日実際に助けたらそりゃまた頼りにしたくなるよな。
「まぁ、うん。時間が合う時ならいいよ。」
「なら私が時間を合わせるよ。毎日近くのジムに行ってるなら私がそこに毎日行って一緒に帰ればいいんだよね?今日は友達の買い物を手伝ってたから遅くなったから、いつもはもっと早いよ。」
「あーそれでいいならいいよ。」
「本当?!やった!」
…そんなに喜ぶことだろうか。
「それじゃあ、明日から一緒に登下校だね!」
「おう。そう……ん?いつのまにか登校時も一緒ということになってる?」
「え、ダメかな?家近いから一緒に行けるかなーって。」
「えっと。うん、まぁいいけど。」
「やった!それじゃあ、とりあえず今日は一緒に帰ろ?」
「おう。」
そのあと、里山を超えたら家は逆方向だったのでそこで集合場所を里山前と決めて、連絡先を交換してから分かれた。
そのあとは特に変わったこともなく、風呂に入って飯を食ってゲームして寝た。
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どうしよう。すごくどうしよう。
明日から春川くんとデートで登校?!?!
毎日手を繋いで登下校して、2人で会話しながら笑いあって、一緒に同じゲームをして、ランキング上位まで食い込んで…!
前に春川くんがやってるゲームを聞いてから、同じゲームの同じギルドに入って一緒にランキングを目指してるんだよね!
実際には会えないし、私がやってることも知らないみたいだけど、2人で一緒にやっているってだけで気分が高揚するよ!
他にもpcとか最新ゲームとか全部持ってるから春川くんがやっていることを全部やることもできる!
もともとそんなにゲーマーじゃなかったのに、高校に入って1年間で部活と勉強とゲームを両立させたからな〜。高校で一番自慢できることはそれかもしれないっていうレベルだよ!
とりあえず明日から春川くんと毎日一緒に行き帰り…!
私は明日会う春川くんのことを思いながら眠りについた。
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朝早く…と言っても7時半ごろに俺は里山公園前の昨日別れた場所についた。
そこにはもう黒田の姿があった。
「ごめん。待たせた?」
「ううん、私が早く来すぎただけだから大丈夫だよ!さ、いこ!」
黒田はそう言ってさりげなく俺とぶつかるギリギリまで近づいてくる。
【ち、近いな…少し揺れれば当たるくらいの距離だぞ?】
俺がそんなことを思っているのにもかかわらず、黒田は鼻歌を歌いながら隣を歩いている。
「…機嫌がいいのか?」
「ん?まぁそうだね〜春川くんと一緒に学校に行けるから嬉しいんだよ。」
黒田はそうニヤリと笑いながら返してくる。
その表情に俺はドキッとするのを感じた。
黒田は普通に可愛いし、スタイルも普通の高校生くらいだろう。しかし、何よりも、声が俺の好みなのがドキッとする1番の理由だ。
特にイタズラが成功した時のような笑みを浮かべながら話しかけてくる時が心臓に悪い。
あ、俺って黒田のこと好きなのかな?
一度自覚すると無意識に動いていたことを思い出す。
普通の女子ならもっときつい口調で話すのに、黒田にはなるべく優しく話しかけてたりとか…
おそらく別の女子なら檜山に襲われてたのを見なかったことにしてたと思ったりとか…
昨日のお風呂で体を念入りに洗って、髭を剃ったりとか…
やばい。思い当たることしかない。まぁ、暫定俺は黒田のことが好きとして、黒田が俺のことを好きな可能性はゼロだから片思いということで。
え?なぜ付き合わないかって?
ヘタレな俺が告白できるわけないだろう。理由はそれだけだ。
「春川くんどうしたの?」
色々考え事をしていたせいで変な心配をさせたようだ。
「いや、ゲームのことを考えてただけだよ。俺がやってるゲームの次のイベントの攻略方法を考えてたんだよ。」
「あーあれね〜私だったら火属性耐性の指輪をつけて、相手の攻撃を半減させて、水属性のモンスターを連れて行くかな。」
「あーまぁそれでもいいんだけど、水でごり押しって言う手も……ん?」
ちょっとまて。なにか、何かおかしい。
「ん?どうかしたの?」
黒田が首を傾げている。いや、おかしいだろ。
「まて。なぜ次のイベントを黒田が知っている?」
そう。俺がやっているゲームは有名ですらない過疎ったゲームなのだ。それをなぜ黒田が知っている…?
すると黒田がスマホの画面を見せて来た。
「ん?え、え?クロームさん、が黒田?え、その垢ほんとの?」
「うん。そうだよ。偶然同じゲームをやっているのを気づいたからそれからやり込んで、春川くんがいつ気づくかな〜って楽しんでたんだよ!」
そのイタズラ成功!と言う笑顔に俺は釘付けとなってしまう。
いや、めっちゃ可愛い。やばい。理性が崩壊しそうだわ。
それでもどうにか言葉を絞り出す。
「今まで頼りにしてたのが黒田だったとは…今までありがとな。」
「ふぇ!?!?い、いきなり謝らないでよ!恥ずかしくなっちゃうよ。」
「助かってたのは事実だからな。サンキューな。これからも。」
「うん。このゲーム意外と楽しいからやり続けるよ。春川くんもでしょ?」
「まぁな。というか、さ。」
「ん?」
黒田はとぼけている。なぜだ。なぜこの状況でとぼける?
「なぜ、俺の手を握っている?」
「握りたかったから?」
「即答!?!?しかも疑問形!」
つい突っ込んでしまう。
いや、それより
「そんなことしたら勘違いされるぞ?」
「誰にどんな?」
えぇ〜言わないとダメ?
「周りの人に黒田が俺のことを好きだって思われるぞ?」
「じゃあ春川くんはそう思わないの?」
…どういうことだ?だめだ。色々ありすぎて頭が回らない。
「だって、黒田みたいな可愛い女子が俺みたいな奴を好きになることなんてないって理解してるからな。」
「そんなことないよ。私はこんなに春川くんのことが好きだよ?」
……何を言っているのでしょうか?
「好きって友達としてだろ?」
「ううん。違う。異性として。男の人としてだよ。」
うん?聞き間違え?
「あーそうか。男友達で仲が良い部類ってことだね。」
「もう。違うって言ってるじゃん!愛の告白してるんだから返事くらいしてよ!」
……もうわからない。これ、現実っすか?
「しょうがないなあ……あなたのことが好きです。私と付き合ってください。」
なんとなく告白された気がする。気のせいかな?気のせいじゃないよな。うん、とりあえず
「はい喜んで。」
ん?あれ?理由を聞くつもりだったのに、何言ってんだ俺?
【冗談だよね?】
っていうつもりだったのに何言ってるんだろ?
「本当?やった!そうたくん大好き!」
すると俺の腕に抱きついてくる黒田。
「ここは…夢?」
「違うよ!現実だよ!やっとそうたくんと恋人になれた!」
黒田…いや、恵にそう言われた瞬間、頭が冷えた。
ああ。恵と付き合うことになったんだな…と。
「俺も好きだったよ。これからもよろしくな。」
「うん!当然!」
恵は俺の好きな笑顔でそう返してくれた。
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「恵〜起きてるかー?」
大好きな人から呼ばれる声がする。
「うん!起きてるよ!少し待ってて!」
私は被っていた布団をはねのけて階段を駆け下りていく。
リビングに入ると朝食のご飯と味噌汁を台所から持ってきたそうたくんがいた。
「はい。朝ごはん。康太はまだ寝てるかな?」
「うん。まだ少し早いからもう少ししたら起こしに行くよ。」
「任せた。俺は仕事の準備をしないと。」
そうたくんは仕事の関係で普通の人より朝が早い。
だから朝ごはんとかはそうたくんに任せっきりだ。
「もう起きてるよ!パパ!ママ!」
「あ、康太起きてたのか。おはよ。」
「起きてたのね。おはよー!ぎゅー!!!!」
「ぎゅー!!!」
「俺も入ろうかな。ぎゅー!!」
春川康太。この子は私とそうたくんの間に生まれた子供だ。
高校を卒業して、同じ大学に進学。そうたくんは国家資格をとって良い仕事について、私も個人営業のプログラミングをやっている。
私の名前は『春川 恵』
夫の名前は『春川 壮太』
私たちは結婚して幸せに暮らしています。
読んでくれてありがとうございます。
自分は現代ラブコメより異世界ファンタジーの方が書くのが上手いって言われるんですよね…
けど時々書きたくなるじゃないですか!
ならば書くべきだと思うんです!
改めて。
読んでくださった皆様。ありがとうございます。
また、自分の他の作品もよろしくお願いします。