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初めてのクエスト4

一方そのころのリズ達は。

押し寄せてくる魔物たちの相手をしていて完全にユリカを見失っていた。

「あ”あ”あ”ぁぁぁぁ!!!邪魔!!退け!!そこ退け!ユリカぁぁぁ!!!」

「うるさいよリズ。ユリカにばれたらどうするのさ。」

とびかかってくるジャックウルフを盾で押しのけながら冷静に突っ込意を入れるタロー。

それを聞いてリズははっとしたような表情になる。

「そうであった、ユリカは大丈夫か?心配。」

そしてタローが押しのけたジャックウルフに雷の矢をぶつけて戦闘不能にする。

雷魔法はリズの得意分野の一つだった。

他にも火魔法が得意だったりする。

この二つは詠唱なしでも発動することが可能だった。

「うーん、一概には言えないなあ。もしかしたらウルフがまだ奥にいるかもしれないし。でもウルフくらいならたぶん対処できると思うよ。もし数が多くても俺たちが向かうまで倒されることはないと思う。」

リズはムムウと考え込む。

「でも心配。もしなんかあったら、早くこいつら片づける。」

「うん、そうだね。その方がいい。しっかし、すごく強くなったと思わないか?ユリカ。」

「当たり前、魔法はリズが先生だし。剣はジェド、Aランク。すごい強い。」

しゃべりながらでも二人の連携が崩れることはなく、あっという間に数は半分になってしまった。

「うーん、確かにそうなんだけどさあ。あの子だぶん5、6歳くらいだろ?その年で魔法を使えるのもすごいのに剣まで魔物と戦えるレベルでたぶんCランク簡単に超えるんじゃないか?」

「確かに、ユリカすごい。妖精にも好かれてる。でもそれはいつもユリカが頑張ってるから。」

「それもすごいんだよ。あのくらいの子供って普通遊びが生活の中心みたいな感じだろう。1、2時間ならまだしも一日中鍛錬、勉強だ。俺があのくらいなら3日もせずにやめるよ。元もいいし、このままいけば絶対Aランクになれる。」

タローは微妙な顔になる。

それに反面、リズは興奮したようだった。

「考えてみたらすごかった。ずっと近くにいるからわからなかったけど、確かに伸び具合半端ないかも。」

タローは「だろ?」と相槌をする。

「まぁ、負けられないわな。俺たちも一応冒険者だし、剣士としてもな。…まさか子供相手にライバル宣言する日が来るとは思わなかったよ。」

「ははは、でも強い。頑張らないと負ける相手、燃え…。」

とリズがしゃべりかけた途中で奥から叫び声が聞こえてくる。

「ぎゃゃゃあ”あぁぁぁ!!!!」

「今の、ユリカ!?大変!急ぐ!」

最後の一匹をようやく倒したタローは剣に付いた血糊を振り払う。

「あぁ、そうだな。急ごう!」

二人は駆けるぬけるようにユリカのところへと走った。


近づいてくるものは敵。

私は視界にとらえてすらいないものを確実に感じ取っていた。

これは毎日の修行の賜物なのだろうが、前からかなりのスピードでやってくるものが敵であると迷わずにいうことができる。

やがて足音が大きくなってきて、少し驚いた。

足音は地を轟かすがごとく、揺れを伴ってやってくるのだから。

――――かなり大きい?

足音だけなら象が走ってやってくるのではないかと思ってしまうほどだ。

象ほどの大きさであればこの森の中という状況は極めていいものだった。

草木が生い茂る森ならば大きな相手は身動きがとりづらいだろうから。

だがしかし、ここは異世界。

私が持っている知識などあてにはできない自然環境であるので期待はできない。

しばらくもしないうちに足音の主が姿を現す。

それは、馬に乗った鎧の騎士だった。

「え?人間!?」

そう思ったのも無理はなく、明らかに人間のフォルムをしたものであった。

なんだか大きさ的にタローに似ているので既視感を覚えて仕方ない。

しかし、騎士は止まることなく猛スピードで突進してくるつもりのようだ。

「これ、戦っていいんだよね?てか、戦わないといけないんだよね?」

何が何だかわからないがとりあえず、このままではひき殺されるだけなのでタイミングを見計らって横に飛び、木の陰に隠れる。

「禍々しい魔力…、間違いなく魔物なんだろうけど。人型の魔物なんていたのか…。なんか戦いにくいな…。」

騎士は当たっていないことを確認したのか急に馬を止めてこちら側に方向転換する。

「うーん、隠れても無駄っぽいな。目か鼻がいいのか、それとも魔力でばれているのか。どちらにせよ、あの突進から避ける方法考えないとな。」

火魔法―――は森の中じゃ使えないし、水魔法だと鎧があるので威力が足りる気がしない。

「もう、素直に正面突破が一番かな?」

私は全身と剣に強化魔法と、結界を張って剣を構えた。

馬の目は異常なほどまでに狂気したものになっており、馬が動くたびにカタカタと動く鎧。

その鎧は頭と銅が離れているタイプの鎧だった。

だったら生物として、狙うところは一つ。

しばらく似たら見合っていたが、時が満ちたのかはたまたその時に魔物が耐えられなくなったのか魔物がまた突進してきた。

私はそれがチャンスに見えてまっすぐ突進してくる馬に向かって、わざわざぶつかりに行くように走った。

そのままぶつからないように大きくジャンプし、

「やぁ!!!」

掛け声とともに騎士の魔物の首を切った。

私はピタリと止まった魔物に対して「倒した?」と錯覚して思わず後ろを振り返った。

そしてこれまでの人生の中で一番大きな声で叫んでしまった。

「ぎゃゃゃあ”あぁぁぁ!!!!な……生首がぁ!!!う、動いて…?!」

それはぴょんぴょことリズムよく弾むさっき切ったばかりの生首だった。

「え、なに、トカゲみたいな感じなの!?そういう分類!?切り離し可能なんですか!」

などと驚きのあまり意味の分からない言葉が口からあふれてくる。

その間にも離れ離れにされた鎧たちは、無事再会を果たせたようで、よいしょという風に銅と頭をぐりぐりとくっつけている。

ユリカははっとした。

自分が驚いている合間にさっきの攻撃がなかったことにされたのだから。

「あ、と。驚いている暇はないんだった…。とりあえず、さっきみたいに銅と生首切り離せばいいよね…?」

人間は一回で学習ができるので同じ手を続けざま2回使うことなんでしないが、魔物は普通の動物よりちょっと頭がいい程度なので2回くらいなら大丈夫だろと思い、同じように切り落とすことにした。

本当に学習していないらしくさっきと同じように突進してきて同じように切られたのにはちょっと驚いたけど。

「うーん、ここまでやってどうしたらいいんだろう…。とりあえずこの生首を捕まえておけばいいのかな?」

初めての敵でよくわからないし、見たことない魔物で対処の仕方に困ったユリカは、なんとなく逃げる生首を捕まえた。

この生首、跳ねることしかできないらしくじたばたともがきながらも手の中から逃れることはなかった。

この生首を持っていると銅の方はなんだかあたふたしだして突進してこなくなった。

「なんか、かわいそうなんだけど。どうしたらいいのこれ…。」

その様子に思わずあきれるような声が出る。

生首を持ちながら悩んでいると後方から聞きなれた声が聞こえてきた。

「ユリカーーーー!!!」

それは紛れもなくジャックウルフを倒し終え、追いついたリズとタローだった。

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