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冒険者

アイリーンたちと両親だった人たちを埋葬して、これからのことを話し合った。

「えっ、連れて行ってくれるの?」

以外にもジェイがそう提案した。

「もちろんよ。行くあてないんでしょ?だったら私たちと旅しましょう。幸いしばらくは安全な旅だから。」

リズとタローはうんうんとうなずいてくれる。

「………!!!ありがとう!!!これからよろしくお願いします!」

こうして私はアイリーンたちと共に旅を始めた。




それはアイリーンたちと旅を始めた日の夕方のことだった。

今日はいろいろあったからと日も暮れぬうちに早々に拠点づくりが始まって、今はみんなで火を囲みながら夕食タイムだ。

晩御飯はシチューらしきスープで、牛乳らしきもので煮込まれている。

具もいっぱい入っていてトロトロでとてもおいしい。

「ねえ、私たちと旅をするからにはユリカちゃんも冒険者にならない?」

それまではジェイと話し込んでいたアイリーンが唐突に話しかけてきた。

「冒険者?」

「うん。冒険者は誰でもなれる。冒険者ギルドに登録したら冒険者。仕事ができる。登録したてはFランクからはじまる。私たちはCランクからAランクの冒険者のチーム。こうやってチームを作って強い魔物なんかを倒したりする。」

Aランクってかなり強いってことだよね?

「Aランクが一番すごいのですか?」

すると今度はタローが食べ終わったシチューを置いて説明してくれる。

「違うよ。Aランクの上にはSランクがあるね。でもそれは王様が認めた人にしか与えられないランクなんだ。功績を積んでいってある一定のところまで活躍する、またはすごく強い敵…例えばドラゴンを倒すとかかな?まぁそんなの早々に現れないんだけど。」

ドラゴン!?そんなものまで!!

でも、味方じゃなくて敵なんだよなぁ…。

そう考えると会いたくなくなった。

「今のところSランクの冒険者は3人。賢者 オルキリアス、剣豪 ドルティア、聖者 アルテミス。」

かっこいいな~。

でも私は一生会うことのない3人なんだろうな…。

なんてのんきに話を聞きながら考えていた。

「そうねぇ、冒険者になるんだったら戦うすべがなくちゃ、ね。Fランクは薬草採取とか掃除とかからだろうけど、私たちと一緒だから討伐もできるようにならなくちゃだし。ねぇ、ユリカちゃんは何か得意なこととかある?」

得意なこと…。

前世での私は得意なことといえば間違えなく寝ることと答えたに違いない。

ずっとベットにいる状態でも、どれだけお昼寝しても、夜には間違いなく眠りについてた私は母から眠り姫と呼ばれていた。

しかし今は健康体な体を持っている。

寝ることが得意です、なんて口が裂けても言えない。

第一、この体でも同じだとは限らない。

「うーん、とくにはないです?でも剣とか魔法とか使ってみたいな。」

「本当!魔法やる気ある!?」

なぜかリズが興奮気味でつかみかかってきた。

メンバーは驚くでもなく、ただあきれた表情をしている。

「こら、リズちゃん。ユリカちゃん驚いてるじゃない。ごめんね、ユリカちゃん。リズちゃんはね、極度の魔法馬鹿なの。」

「馬鹿とは失礼な。探究者と言ってほしい。」

なるほど、リズさんはマホウスキーなのか。

「魔法を使いたいのなら、私が師匠になる。」

それを聞いたジェドは意外そうな声を出す。

「珍しいな、面倒ごとなんて嫌いだと思っていたが。」

「もちろん、嫌い。でもユリカに魔法を教えるのは楽しそう。なんたってユリカ、妖精にすごい好かれてる。」

そうなのか?

「妖精?」

「妖精はね、魔力が大好きな魔物なのよ。彼ら自身、魔力の固まりみたいな魔物なんだけどね、知性が高くて時には人間と会話することもあるのよ。だからね、彼らは私たち人間と友好的な関係にあるの。私たちが魔力を彼らに上げる代わりに魔法を使ってくれるのよ。妖精たちの魔法はとても強力なの。もっともその分魔力の消費がだいぶ大きいわ。妖精魔法はここぞって時に使うのよ。」

「妖精は魔力が好き。だから魔力量が多い人に良く懐く。ユリカの周りにはいつも妖精がいっぱい。」

つまり私は魔力量が多いということだ。

神様は特別に少し強くしてあげるといっていたのでそのためだろう。

魔力とは生きるための力でもある。

それが多いに越したことはない。

「だから、師匠やりたい。魔法教えたい。」

魔法…中二心がくすぐられる響きだ。

「よろしくお願いします、リズ師匠。」

リズは「うむ」と偉そうにうなずいている。

「魔法もいいですけど、剣も教えてほしいです。」

「それなら俺が引き受けよう。」

これまた予想外にジェドが提案する。

「あら、あなたこそ面倒ごとはごめんだといいそうだけれど?」

アイリーンはくすくすと笑っている。

「このチームで剣は俺が一番使えるだろうが。それに最近魔物の数が少なくて体がなまりそうなんだ。こいつを鍛えるついでに俺も修行する。」

「確かに、最近魔物の数が減っているなあ。体がなまっている。」

ぐるぐると肩を回して準備運動を始めるタロー。

「しかし剣と魔法、両方をやるとなるとかなり大変だぞ?覚悟はあるのか?」

覚悟かぁ…。

覚悟といえば手術後の痛みが残ってて寝返りするときとか立ち上がる時にぴしりときて痛みがするときに覚悟してた覚えがある。

そんな覚悟なんて大したものでもないんだろうけど、同じものな気がする。

要は身体的、精神的痛みと立ち向かえるか?と聞いているのだ。

そういうものは日常の中に常にあったものだったのだ。

今更迷うわけがない。

「はい!頑張ります、よろしくお願いします!」

メンバーはにこやかにほほ笑んだ。

「あっ、シチュー冷めちゃったわ。さぁ早く食べて寝ましょう。明日も早いわよ。」

と、アイリーンがせかした。

ってこれやっぱりシチューなのか!

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