結婚式の友人代表挨拶における教訓①
20代後半に差し掛かると、周りの友人達の結婚報告が多くなり、金欠が心配されるシーズンである。
それは、数ある結婚式のなかで、大学の友達である加藤(仮)から頼まれた一言から始まった。
「お前、友人代表のあいさつしてくんない?」
その時は、軽い気持ちで答えたが、後に私は、ひどく後悔することになる。
大学での私のポジションは、自分で言うのも恥ずかしいが、ムードメーカーであり、よくボケをする人間である。
そんな訳で、大学の集まりの飲み会時に、挨拶を頼まれたのだが、周りの友人からは
「お前がやるのなら、面白いんだろうな~。」
「ギャグは本番までとっとけよ。」
などなど、感動のスピーチではなく、爆笑が期待されているのであった。
その時は、「おう、任せとけよ。やりすぎて怒られちゃうかな。」とおちゃらけて返事をしたのだった。
本番も近づき、挨拶を考え始めた時に、加藤にどれくらいの人がくるのかと軽く聞いてみたのだが、なんと100人に届かないぐらいであった。
私は、大学の友人であるが、加藤は、大学のほかに、職場、地元の小中高の友人も呼んでおり、地元メンバーが多数なのである。
大学の友人はせいぜい片手で数えるほどであり、圧倒的なアウェイではないかと驚愕した。
あまり、身内ネタは受けないのではないか等々万人受けするのは何か・・・試行錯誤の日々がはじまった。
私は、ムードメーカーなどど言ったが、芸人のホリケンみたいに精神が強いわけでもなく、ただひたすらに臆病なのである。
私は、youtube、いろんな人のblogを読み漁り入念な準備をして、いざ本番を迎えるのであった。
本番当日、会場の前に立ち、気合いを入れ会場入りすると、大勢の人でにぎわっていた。
いつもの結婚式ならここで、友人のところで気軽に会話をするのだが、この大勢の前ですると考えた途端、急に足が震え始めた。
私は、仕事の場で大勢の前で話す機会もあるのだが、最近では慣れたもので緊張も全然しなくなっていたのにこれには驚愕だった。
そんな私の緊張はよそに、本番がはじまるのであった。
そして、些細なミスからどんどん私は、窮地に立たされるのであった。
最初に、テーブルに着くと、大学の友人のほかに彼の地元の友人も座っており、軽く挨拶をした。
これは、お酒の力が必要だと、陽気に乾杯をしがてら飲もうと思った瞬間、ビールをこぼした。
最初から、目立ってしまったこと、こぼしたことに恐縮しきりの間に本番が始まり、プログラムが進行するのであった。
ここで、私のあいさつ文の構成を軽く紹介しておくが、
①大学のサークルの話(サークルが加藤と一緒だったので)
②大学では私と加藤は知らない人からもコブクロと言われていたこと(歌のうまさではなく身長差が原因である。どちらが低いかは気にしないでほしい)
③あまり、面識はないが奥さんの話で、昔地元新聞にのったこと
の3本の矢で、多少のユーモアを交えつつ、挑もうとした。3本の矢は、1本に比べて折れにくく強いと昔の偉い武将は言っていたはず。
プログラムが挨拶にさしかかると、まずは、職場の上司からの話になった。
ちなみに、職場恋愛なので上司のあいさつは一人である(長くなくて非常にありがたい)。
上司「加藤君は職場では非常に優秀であり・・・(中略)でした」
無難なあいさつを行い、次に奥さんの話になった。
上司「奥さんも職場では・・・(中略)でした。」
奥さんの職場での話が終わり、さて俺の出番かなと準備をはじめると、まだ話があるらしかった
上司「ところで、奥さんはですね数年前に地元の新聞に載ったことがありまして・・・(中略)。」
私は茫然と『あれっ?それ私の話すエピソードじゃね?』矢が1本砕けた音がしたのであった。
そんな私の焦りを知らずに、司会の方から、次のあいさつである私の名前が呼ばれた。
私のエピソードはまだ、2本あるし、奥さんの話はおまけみたいなものなので大丈夫と心を落ち着かせ、マイク台にむかった。
司会の方は、私の名前を呼んだあと、私の自己紹介をするのであった。
司会「私さんは、加藤さんの大学時代の友人でして、二人で行動することが多かったそうです。大学時代にはお二人のあだ名がありまして・・・。」
私の背筋に悪寒が走った『やめてくれ!それ以上は私のライフはゼロよっ』
司会「知らない人たちからもコブクロと呼ばれていそうで・・・(中略)。」
2本目の矢が砕ける音が聞こえた。
3本の矢のうち2本が砕けた。果たして1本の矢は丈夫なのだろうか?
とゆうか、話す内容の3分の2が削られたのだがどうすればよいのだろうか?
重い足取りのまま、マイク台(処刑台)に赴くのであった・・・。
後半に続く。
今回は、少し長いので2話にしました。
後半は、仕事の都合で25日までには上げたいと思います。