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コールセンター薄井①

携帯のハンズフリーイヤホンマイクを皆さんは使ってるだろうか?


営業で車の移動が多い方で、愛用しているのをたびたび見かける。


農家さんでも、作業をしながら、手を止めることなく電話できるため使用している人が多い。


そんなハンズフリーだが、前の支所でも導入を始めた同僚がいた。


山田と私と同じ同期に当たる薄井(仮)である。


薄井は新しいものに目がなく、山田のように空気が・・・ではなく天然が入っている野郎である。


そんな薄井が出社して来た際に耳にハンズフリーを搭載していたのである。


私も人間観察が好きであり、目ざとく気付き薄井に話しかけた


「おはよう~。耳につけてるやつハンズフリー?買ったんだ。」


すると、薄井はどや顔で


「そうなんだよね。コレ凄い便利だぜ。仕事の効率も上がるし、運転中も便利だよなぁ~。」


確かに便利であるのは違いないので「へぇ~、俺も買おうかな。」と返事をしてお互い席に着くのであった。


ちなみに当時の私の席は薄井と近くて奴の行動がよく見える。


薄井は席に着くと周りの同僚とも挨拶をかわし、ハンズフリーの良さを力説していた。


始業時間になり、雑談もそこそこに皆今日の仕事に取り掛かるべくパソコンに向かった。


ある程度の時間がたち、私は1つ目の案件を済ませると、少し体の伸びをして周りを眺めた。


何のけなしに薄井を眺めると、まだハンズフリーを付けてるのであった。


ハンズフリーを使用したことがないのでわからないが、室内のパソコン作業で使うのかな?と疑問に思いつつ眺めていると、薄井の携帯に着信があった。


「もしもし、薄井ですけど。はい、その件はですね~」(キーボードを叩きつつ)


電話しながらの、パソコン操作とは端からみると随分できる男になったものである。


奴もさながら、仕事のできる男のように、キーボードを叩いていた。


しかし、順調に会話していたと思ったら、何か質問されたのか薄井は悩み始めた。


「それはですねぇ~、う~ん?先ほどの・・・」(背もたれに深く座り込み両手を頭の後ろに抱え込んで)


するとどうだろうか、キーボードの手はとまり、ただリラックスした状態で電話をし始めた。


端から見てると、『それ、ハンズフリー使う必要あんの?』と思うと同時に、私と反対側の人には、薄井のハンズフリーが見えないため、ただリラックスした状態で独り言をつぶやいている男が誕生した。


それから、数分間電話をしていたが、奴がキーボードを叩くことはなかった。


お昼休憩になり、私は薄井と昼食を食べるときに質問をしてみた


「ずっと付けてるけど、室内で使う意味あんの?」


「はぁ~、手で電話を持つよりもかなり楽だし、やっぱ仕事には欠かせないぞ?」


何か、物わかりの悪い教え子を諭すような言い方に若干イラっとした。


午後の仕事が始まり、私も薄井も外に出る用事がなかったため、室内で書類仕事をしていた。


そして事務所には、休憩スペースがあるのだが、薄井は移動をして、書類を封筒に入れる作業を始めた。


手際よく、封筒に書類を入れていると、また薄井の携帯に連絡がはいった。


「もしもし、薄井ですけど。○○さんですが、先日はお世話になりました・・・。」(封筒と書類を持ったまま)


今度は、最初から作業の手が止まっていた。薄井は封筒と書類を握ったまま、電話をするのであった。


さらに、会話が進み、内容はわからないが盛り上がりを見せ始めると。


「あの件ですがぁ~。○○さんのおかげで現場でも・・・」(封筒をテーブルに卸し、背もたれに深く座り込み両手を頭の後ろに抱え込んで)


またもや、リラックスタイムに突入である。そして電話が終わるまで、薄井のテーブル上の封筒は片付くことはなかった。


私は『ハンズフリー意味なくね?』と思いながら仕事に戻るのであった。



就業時間が終わり、帰宅しようと荷物をまとめている薄井に思いきって話しかけてみた。


「お前、ハンズフリー使ってるとき、手止まってるから意味なくね?しかも独り言喋ってるみたいだし。」


すると、薄井は少し不機嫌そうに


「まだ慣れてないだけだよ。俺の知ってる人で使ってる人多いんだから。」


まぁ、確かに慣れれば効率がいいのかな?コールセンターの人たちの風景を思い出しつつ私は職場を後にした。




それから、数日後・・・薄井の耳にハンズフリーが付けられることは二度となく、職場では携帯を片手に電話する元気な彼の姿が確認された。

最近は、仕事が忙しく少しペースを落とします。


ただ、週一では投稿できます、宜しくお願い致します。


少し、バイオ7の3d酔いに耐性ができ、プレイ時間が長くなったので、うれしいです。

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