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シャイレンドル、闇に捕まる

 目を開けるとそこは闇一色だった。

「いってぇ……」

 頭が痛い。くらくらする。落ちた時のショックだろう。

 体を起こすと周りを見回してみる。が光が全くない場所のようで、何一つ見えない。

 手を伸ばして探ってみても、何も触れない。床を触ってみるとごつごつした石床ではなく、つるっとした感触がある。大理石か何かで覆われているのだろう。

 もう少し手を伸ばしてみるとなにか柔らかいものにあたった。布……いや、人の体だ。

「ユレイオン? おい!」

 揺り動かしてみるが反応はない。

 触ってみたところ、うつ伏せになっているのがわかった。血の匂いはしないところから、怪我はしていないようだ。

 口元に手をかざしてみると呼吸はしてる。だが体はこわばったままだ。

「なんじゃそなた、もう起きたのか」

 不意に闇の中で声がした。ユレイオンではない、もっとしわがれた声だ。

「そなたには闇魔法が効きにくいのう。本当ならそこに転がっとるもう一人と同じように身動きが取れんようになっとるはずじゃったが」

「てめぇが首謀者かっ!」

 声の方角に向かって瞳をきらめかせる。が、光もなく相手の目が見えない状態ではいくら邪眼を閃かせてもあまり効果はない。

「邪眼は効かんぞ。まあ、この闇からは抜けだせまいよ。せいぜい頑張るがいい」

 声の方角に力を溜めて放る。が、当たる前に闇の気配は消えた。

「ちくしょう……好き勝手やりやがって。おい! 爺ぃ! ファローン返せよっ!」

 くくく、と笑う声のみが響くだけだ。闇の気配はもうない。

「おい、ユレイオン! 聞こえるか?」

 ユレイオンの体をごろりと起こす。だが体は硬直したまま動かない。

「まじぃな……おい、聞こえるか。聞こえたら瞬きしろ!」

 目の前に手をかざす。意図してかどうかわからないが、確かに瞼は動いた。

「聞こえてんだな……ユレイオン、よぉ聞けや。全部まやかしや! 目ぇ覚ませっ! ボケぇっ!」


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