告白日和
午前六時 起床
「うーん…」朝のけだるさを込めた唸り声をこぼす。今日から新年度、俺も晴れて高校三年生になったわけだ。それと、エイプリルフール。今日の午前は嘘をつき放題なんだ。まぁ、ついた嘘は午後にはネタばらし、ついた嘘は今後一年間、現実にならないという逸話もある。それにしても、桜がきれいだな。窓から見える景色に感嘆の声を上げる。大嫌いなお隣さんでも誘って、花見に行こうか。
午前七時 朝食等々
牛乳とアンパン、どこかの刑事みたいな食事をとる。なぜ刑事か探偵かはしらんが、牛乳とアンパンなんだ。理解できない。いや、俺が無知なのか。歯磨して、着替えて……今日はおしゃれしていこうか。
午前八時 お隣さんを誘う
「おーい、はる~!花見行こうぜー」
「蓮くん?」
ひょこっとでてきた、小さい子がお隣さんの春。馬鹿、天然、ドジ、小さい。
「失礼なこと考えてない?」
「そんなこたぁない」
「花見?今から行く?」
「パジャマで行く気じゃないだろう?」
「……!着替えてくる。ちょっと待ってて!!」
三十分くらいだろうな……
午前九時 花見会場
三十分ぐらい待ったところで出てきた。服のセンスが良いのか悪いのかわからない。全体的に完成しているのにカメレオンのネックレスをしてくるあたりがずれているとしか言えない。絶対にかわいいとは言ってあげない。桜は満開だった。自然が芽吹き爛漫な春は綺麗だと思う。
午前十時 満喫中
花より団子とはこのことだな、隣を見る。どこかの戦国ゲームに出てくるキャラクターみたいにみたらし団子で「六爪流!」とやっているくらいだからご機嫌なのだろう。店主が気前のいい人でよかった。それより、俺にタイムリミットが近づいてきていることに気が付く。「ふむ……」
午前十一時 一度目の告白
一番大きな桜の木の下で、二人で座って桜を見ていた。
「あのさ、春」
「なんだね、蓮くん」
「少し前からなんだけどさ、春といても楽しくない、ってさ。ぶっちゃけると嫌いなんだよね」
「そうなのかね、」
団子持った手を止め、かすかな声でつぶやいた。
そして、韋駄天のようなすさまじい速度でその場から駆け出した。
なにかのしずくが俺の顔に触れた。
「そういえば、春は疑うことを知らないやつだったな。ははっ、普通に告白すればよかったんだよな。エイプリルフールに賢く告白する俺ってかっけぇみたいなバカなこと考えたから。春のこと傷つけちゃったかな。バカだなぁ、俺。」
風に舞った桜の花びらを掴み、俺は走り出した。
正午 捜索
学校?公園?春はどこにいる?俺にわからないはずがない。いや、わかんないかもな……
……うーん、保育園かも。
案の定、保育園に春はいた。保育園にある飼育小屋でカメレオンと遊んでいた。
だけど、どう声をかけたら言いかわからなかったんだ。
午後一時 二度目の告白
震え声で、「ごめん」ってつぶやいた。
「やだ。だってさ、私のこと嫌いなんでしょう?」
「嫌いじゃない。」
「嫌いって言ったじゃん!!」
俺は春の怒りのこもった声を初めて聞いた。
「嘘なんだ、エイプリルフールだから、嘘つこうと思った。素直に言えないから、伝えられないから。でも、傷つけてしまった。今度はちゃんと伝える」
「ずーっと前からなんだけどさ、春といると楽しいって。大好きなんだよ。」
「一日に二回も泣かせるとかひどくない?ひどいよ……」
彼女もまた震えた声で言った。
「団子屋さんまだやってるかな。食べたりないんだけど」
「やってると思うよ」
「団子、食べたい」
「行く?」
「うん、行く」
「行こうか」
「はつでーと?」
「そうなるんだろうね」
「そっか……えへへ」
きっと、この春は終わらない。
最後、急いでしまいましたm(-_-)m
初投稿ですので至らない点もあると思いますが読んでいただけると嬉しいです。
普段は恋愛小説など書かないものですから、いろいろと疑問に思うところなどがあると思います。そのような点があった場合はご指摘を頂けると嬉しいです。