表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

レイチェルとオズの会話・コメディカルワールド物語~外伝短編

遠い未来の歴史における、戦役という舞台の主役を務める事に成る、二人の女傑と英雄、戦うヒロインと物語の主人公、その幼少期の思い出の記憶。

とある昼下がり、超高層複合マンションの一室、地上数百階で、今年中等部を迎えたばかりの、まだまだ幼さの色濃く残る少年少女が、ソファーで寛いでいた。

 一方は元気いっぱいで、黒茶の長髪を翻しながら、テレビで報道されている、というよりも、いつの時代も何処かで囁かれる、最近の若者を批判した、テレビの内容に憤慨していた。

 もう一方は、そんな事はどうでもいい様に、憤る彼女に多少引きながらゲンナリしている、黒髪黒眼で大人しそうな青年である。 


「全く最近の学生は腑抜けちゃって、私達まで貶められちゃっていい迷惑だわ!」

 「うるさいよ、レイチェル、すこしは静かにした方が、自らの品位を貶めなくて良いと思うんだけど」

 「あんたも、私に迎合してすこしは世の不満を吐き出したらどうなの!すこしはこの国の未来を憂える心が無いの?!」

 「そんなの、あるにはあるけど、レイチェルみたいに、喚き散らしたりしないだけだよ」

 「はあ。なら、喚き散らしなさい、私が許す。なんで喚き散らしても許される状況下で静かにする必要があるの?」

 「僕が迷惑するって考えたりは?」 「しない」 「そうだろうね」

 「てか、あんたー、迷惑してるの?してないでしょ、実際、すこし五月蝿いだけで過剰反応してぇーあんたこそ恥ずかしい奴だわ」

 「なんで、ただ静かにしてるだけの僕が、そんな事言われないといけないのさ」

 「ただ静かにしてるからよ、男の子なのに、静かにしてるなんて、なんて女々しい、どうせなら女の子に生まれれば良かったのにねー」

 「また意地悪言って、レイチェルの方こそ、もっと女の子らしくした方が、僕は良いと思うな、折角、なんだし」

 「うーん、折角なに?何がいいたいの?オズ?」

 「折角、せっかく、その女の子に生まれたんだしさ!」

 「はあー、男女差別だわー、全く性別で個人を型に嵌めようとするなんて、そんなんで面白いの?てか、あんたはそれだから男の子なのに女の子みたいに毎日振舞ってるって訳?だったりする?」

 「そんな事しないよ、だいたい、僕がいつ女の子みたいに振舞ったって言うんだよー」

 「毎日静かにして本読んで、話し方もなんだか女々しい、顔だってちょっと女装すれば女の子に見えるんじゃないの?」

 「そんなの全部違うよ、僕は女の子らしく振舞おうなんて思ったことは一度もないよ」

 「なら、もっと男の子らくし振舞いなさいよー」

 「レイチェルの方こそ、僕を性別の型に嵌めようとしてるじゃないかー、いつもいつも言ってるよね、そういえば」

 「ぐぅ、それは、それ、これはこれよ」

 「それはおかしいんじゃないの?」

 「うるさーい!私がこうって言ったらこうなの!なんか文句ある!」

 「大有りだよ、可笑しい事はおかしいって言わないと、僕の気がすまないし」

 「全く、細かい所を突いていい気になっちゃって、あー大人げないでちゅねーオズわぁー」

 「なんだよそれ、酷いなー、正論で言い返されたらいつもそれだ」

 「違うわよ、今回はめんど臭くなっただけよ、前は言い合いになって、最終的にあんたが負けてわたしに謝っていたじゃないのぉ」

 「あれはあれ、これはこれだよ」

 「すぐわたしの言葉を真似ようとする、オズは本当にかわいいわね」

 「その、かわいいってのはやめて欲しいんだけど」

 「可愛い者をかわいいって言って何が悪いの?いいじゃん、可愛いオズちゃま」

 「馬鹿にしないでよ、僕だって怒るよ?」

 「怒るの?怒っちゃうの?」

 「いや、別に、このくらいじゃ怒らないけどね」

 「じゃーどのくらいの事したら怒るの、怒らしてみたいから言ってみて」

 「やだよ、それ言ったら、それやるつもりじゃないの?」

 「其処まで言ってないわよ、ただの興味、あんたがどのくらいの事したら怒るか知っておきたいの、それでそのギリギリラインを攻めるの」

 「なんだよそれ、僕の嫌がる事はしないでよ」

 「いやよ、オズに嫌がる事をするのが私の生き甲斐なのに、それを奪うって酷いわ」

 「いや、僕の方が酷い事されてるんだけど」

 「せっかく、いつもいつもわたしが貴方に構ってあげてるんだから!すこしは感謝の気持ちとかないのぉ!」

 「うるさいなー、意味不明な論理だよーそれ、ちゃんと自分の言ってる事。ちゃんと理解しながら喋ってる?勢いだけで喋ってる気がするんだけど」

 「ちゃんと考えて喋ってるわよ、馬鹿にしないでくれる?あんたの三倍はもの考えてる自負があるわ」

 「僕はどんだけ頭悪いんだよ、それ」

 「まあ、ミジンコよりかはいいんじゃないの?」

 「適当言って、ミジンコなんてたいして脳みそないじゃないか」

 「ミジンコの脳みその容量知ってるの?」

 「知らないけど、限りなく少ないってことはわかるよ」

 「なら分かってる訳じゃないじゃない、知ったかー」

 「また、何かと隙を見つければ悪口ばかり、そんなんばっか言ってると口が曲がるよ、あとあえて言うなら容量は1g以下だよ」

 「馬鹿ね、脳の容量と知能は比例しないって知らないの?おっくれてるぅ~!複雑性が重用なのよ!私の勝ちね」

 「そのくらい知ってるよ、でもだ、だいたい1g以下の脳容量をどれだけ複雑にすればいいんだよ、可笑しくないかな?」

 「おかしか無いわよ、最新の電子部品は1gにどんだけの容量を詰め込めるか知ってるの?」

 「知らないけど、そんな最新のトンでも科学を生物学の世界に引っ張り込まれたらたまらないね、もっと常識的に話して欲しいだけど」

 「嫌よ、いつもいつも、自分の好きな土俵に引きずり込んで戦いを挑む、オズの好き勝手させてたまるものですか」

 「僕がいつそんなの事したの?それにそれを言うならレイチェルの方が」

 「私はいいのよ!レディーファーストって言葉を知らないの?」

 「その言葉ってそういう意味だったけかなー」

 「一歩譲りなさいって事、目上のものには一歩譲るんだから、あんたは二歩譲るべきね」

 「レイチェルと僕は同い年じゃないかな?」

 「あんたより、私のほうが早生まれでしょうが!最低限の礼儀も失してるようじゃ将来出世できないわね」

 「出世なんてできなくていいよ、別に」

 「あら、あんたは出世したくないの?偉くなりたくないの?」

 「レイチェルの方は偉くなりたいの?」

 「当たり前でしょうが、向上心の無い奴はクズよ、あんたもくずには成りたくないでしょう?どうなのかしら?」

 「そりゃ、ほどほどには成りたいよ」

 「そういうところ!、なんか一歩引いたところがイケテナイ、女の子なら謙譲で様になるのでしょうが、オズあんたはそれでいいの?!」

 「うぇ、べ別にいいよ、僕はそういう野望みたいなの?抱きたくないんだよ、何でもほどほどがいいと思ってるんだ」

 「それ、本音?ただ目立ちたくないだけなんじゃないのー、いつも皆の目線を集めるのを避けてるの、わたし知ってるんだよー」

 「いいじゃんかー今はまだ慣れてないだけ」

 「いつ慣れるのかしら、そんなんじゃ何時までたっても一人前になれないから。明日からなんか目立つ格好で学校行けば?」

 「やだよ、変に目立って苛められたらどうしてくれるんだよ」

 「大丈夫よ、そんときゃーわたしが守ってあげるから、さあそうと決まれば、明日はわたしの洋服で登校なんてどうかしら?」

 「勘弁してよ、そんな事するくらいなら、舌咬んで死んだほうがましだよ」

 「命を粗末にするんじゃないわよ、あんたが死ぬ時はわたしを庇って死ぬって決まってるんだから!」

 「人の命の使い方を勝手に決めないで欲しいな、まあ冗談って分かってるんだけど」

 「あら、冗談じゃないわよ、わたしは本気でオズのあがり症を治すにはいいと思ったんだけど?」

 「本気なら、尚たちが悪いって奴だよ、やめてよ、僕で遊ぶのは」

 「遊ばれるのが好きなくせにー」

 「遊ばれるのも、遊ぶのも、僕の趣味じゃないよ」

 「まあ、確かにあんたは遊び人って感じじゃないわね、悪い女に騙されて泣きをみる男って感じ、泣きボクロが無いのが不思議だわ」

 「今泣きを見てる感じ?」

 「なんでわたしに聞くのよ?わたしは知らないわよ、誰かあんたを泣かせてる女がいるの?」

 「いや、なんでもないよ、それより、レイチェルの方こそ、泣きを見た男の子なんていないの?」

 「いるわけないでしょう、わたしは天上天下唯我独尊才気煥発天下無敵のレイチェル様よ?泣きを見せてる男なら現在進行形で一人いるけどね」

 「はは、そうなんだ、可愛そうだね、その人」

 「そうね、可愛そうだわ、しかも、わたしに遊ばれてるのに気付いてないのが哀れで哀れで、もう捨てられた子犬みたいで手放せないの」

 「へえ、そうなんだ、興味ないけど、冥福を祈りたい気分だよ」

 「あんたのことだけどね」 

 「はあ、そうなんだ、そんな自覚なかったから知らなかったよ、僕は君をもっと良い人だと思っていたのに」

 「なんちゃってーうそだって、オズの事は憎らしく思ってるって!」

 「憎らしからぬじゃなくて?」

 「まあ、そんな辛気臭い話はどうでもいいじゃないの!オズあんたの彼女の話をしましょうよ!」

 「そんな話できないよ、というより、いないとわかってる人の話をさも居る様に話さないでよ」

 「またまたー、隠し子の一人や二人居るんでしょ!このプレイボーイがー」

 「だからいないってー、レイチェルの方こそ、いるなら聞かせてよ、僕はそういうのいないから参考にしたい」

 「あら、参考になるのかしらねー」

 「いいの、見聞を広める意味でだっていい、とにかくもし話せるなら聞かせて欲しいな」

 「まあ、いいわ、なら良く聞きなさい、わたしの彼氏はー金髪でー高身長でー家が帝国の財閥でーーーまあ!とにかくすごい人なのよ、私よりも何もかも優れてて、その上で私に絶対服従してくれる感じ?」

 「それってレイチェルの理想じゃなくて?」

 「そうよ、理想っていうのも変だけど、こういう人が居たら便利かなーって」

 「ふーん、全然参考にならないや、もっと堅実な理想を持ったほうがいいと思うな僕は」

 「堅実な理想って、夢がないわ、その歳で何もかも悟りきったような顔して可愛くないの、もっと可愛くなればいいのに」

 「それはレイチェルに言ってあげたいな、もっと可愛い子振ればモテるのに」

 「なによー、元が可愛くないみたいな言い草なんだけどー」

 「そんな事言ってないよ、ただ、そうすればいいのになーってはなし」

 「そう、可愛い子振ればあんたも惚れるってわけ?」

 「いや、僕は惚れないけどね、他の誰かは惚れるんじゃないかな?」

 「あんたすら惚れないようじゃ、駄目じゃないの、そういう耐性が無さそうで御しやすそうで丸め込みやすい、あんたくらいは最低限悩殺できないと駄目ね」

 「なんかすごい罵られたような。ところで悩殺って何だっけ?」

 「あたまグルグルにして駄目にする感じ」

 「なにそれ怖い、そんな事された日には駄目になる自信があるよ」

 「こころみに聞いてみたいんだけど、あんたどんな事されたら、そんな風になるの?」

 「そんなの知らないよ、というより知っていたとしても、君にだけは教えられないよ」

 「なによ!あんたが絶体絶命のピンチの時、何回助けてあげたと思ってるの!?」

 「助けられた覚えはないよ!いや確かに有る気がしないでもないけど、その何倍もピンチの方に陥れられた気がする!」

 「恩を忘れるなんて見損なったわ、あんたがそんな甲斐性の無い奴だったなんて、わたしはガッカリよホント」

 「いや、助けられた事はちゃんと感謝してるってレイチェル、、、」

 「やっぱりぃー!じゃーわたしに何か恩返しをしてよー!」

 「恩返し?」「そうよ!なんでもいいわ、わたしが今すぐ即物的に喜びそうな事をしなさい!今すぐ、3,2,1、ハイ!」

 「あ、あわぇ、そ、その、レイチェル、いつも有難う御座います、です、、はい?」

 「えぇーそれだけ、もっと他に無いのぉーほらほらもっとーオズのいいとこ見てみたいぃ」

 「そんなー、無茶振りやめてよー困るというか、僕にそんなスキル求められても困るというか」

 「無茶でもやるの!こういうアドリブに付いて来れないようじゃーわたしと一緒にお笑い界頂点なんて夢また夢よ」

 「僕それ初耳だし、目指す気もないんだけど」

 「とにかく、なんかあんた一発芸とかないの?」

 「ないよ、そんなの事前に準備してないし」

 「はぁーあー、だーかーら、アドリブ!あーどーりーぶ、わかる?アドリブよ!今考えて即実行、できる!?」

 「いや、できないよ、それの準備をしてないんだからさ」

 「もう、つまらないのねー」

 「なら、レイチェルの方こそ、できるの?そういうの?」

 「できるに決まってるじゃないの!」

 「へえ、そう、なら、今できるよね?」

 「ええ、できますとも、おおできまくるわよ!」

 「じゃ、振るけどいい」

 「ええ、いいわ」

 「えと、3、2、1、ハイ」

 「、、、、、まあ、こんな感じで、二人でお笑い界の頂点目指しましょう?オズ?」

 「ネタは?まだ僕見てないんだけど、やって欲しいなーレイチェルの渾身のネタ?一発芸っていうのかな?」 

 「無いわ」

 「え、さっきあるって胸張って威張ってたじゃないか」

 「無いものは無いわ、文句ある?」

 「あるに決まってるじゃないかー、無いもの有るって僕は言われて無茶なこと言われたんだよ?どう責任とってくれるの?」

 「あんたも五月蝿いわねー、わたしに謝って欲しいの?どうなの?そうなの?」

 「いや、別に、僕はそこまで大人気なくないよ、別にね、ただちょっと無茶振りが過ぎて仕返ししたくなっただけだよ」

 「ふふふーん♪やっぱりオズは優しいわね、わたしに対して」

 「なんで君に対してだけなのさー」

 「なぜってイケズーわたしに対して特別な感情を抱いてるくせにー」

 「それは転地がひっくり返って、ビックバンが起こってもありえないかなー」

 「そう、それは残念ね、まあわたしもオズに靡くほど安い女じゃないけどね」

 「うん、そうだね、僕じゃーレイチェルには不釣合いだよ」

 「どっちが重いの?」

 「え?そりゃ体重で言ったら僕じゃないの?」

 「はあ、まあいいわ、それで、オズは最近何か楽しい事はあった?」

 「まあない事もないね」

 「わたしは沢山あるわ、少なくともオズの3倍は保障できるわね」

 「なんでいつも変に競ってくるのさー」

 「わたしはオズの先を行ってないと気がすまないタイプの人間だからね」

 「だったら僕は君の後を行く人間でいいよ」

 「つまらないわー、そこは私に張り合って熱血モードぉーってところでしょうがぁ!」

 「僕にそういうノリを求められても」

 「求めすぎちゃ駄目?」

 「駄目、僕はあまりそういう許容範囲が広くないんだ、あと何か変に可愛い子振るのやめて」

 「えへ、ドキドキしちゃう?」

 「いや、、なんか怖いから」

 「、、、傷ついたわ、乙女の心を傷つけたわ」

 「、、いや、君の心がそんな簡単に傷つくはずが、」

 「いやー傷つきました!わたしはオズ君の無礼で不躾な発言で心が張り裂けそうぉ!うぇえーん」

 「すごい嘘っぽいんだけど」

 「そう見える?」「うんすごく」「即答ね」

 「じゃー私の心ってどのくらい頑丈に見える?」

 「そりゃーちょっとやそっとじゃ壊れないだろうし、軍用の特殊な素材くらいは頑丈なんじゃないかなー」

 「誰が宇宙艦隊の内部装甲より頑丈よ!!」

 「うーんごめん、僕そのネタ知らないんだけど」

 「あれ、あんた軍人の息子なのに、この程度の知識も知らないの?」

 「いや、僕は確かに軍人の息子だけど、そんな知識知らないよ、知ろうともしなかったしね」

 「へえ、そうなんだ、私はすこしそういう分野も興味あるから知ってたんだけどー」

 「でも、すこし興味あるかな、それってどれくらい硬いの?」

 「そうね、メロンパンのカリカリの部分くらいは硬いわ」

 「うーん、現実的な硬さを知りたいんだけどー」

 「そうねー、とにかく、この大地の中心点より百倍は硬度があるじゃないかしら?」

 「まじで!すごいねそれ、何でできてるの?」

 「わたしも深い知識は知らないけど、なんでも沢山の炭素を何度も圧縮したクリスタルだとか何とか」

 「へえ、オリハルコンとかミスリルって感じ?」

 「何それ?わたしはそっち方面の知識のほうが疎いんだけど?」

 「ええぇーレイチェルってこんな知識も知らないの!」

 「知らなくて悪かったわね、貴方みたいに一日中のんべんだらりとプー太郎な生活送ってないってだけよ、、、それで、それってなんなのよ」

 「え、、と、教えて欲しい?」

 「は?教えて欲しいって言ったじゃないの?」

 「それじゃ、お願いしますってちゃんと言うと、僕も教え涯があるなー」

 「あんた、根に持つタイプ?あの件は忘れなさいよ、仕返しなんて大人気ないわよ」

 「別に根に持ってないよ、ただレイチェルさんが大事な用件を拝み倒さないと教えてくれない悪癖をこれで直せないかなーなんて全然思っちゃないよ」

 「思ってるじゃないの、わかったわよ、オズ様!どうか不肖なわたくしめに!貴方様の天啓の様なお知恵をおく出され賜われたしぃ!」

 「ふっふぅっ」

 「笑うんじゃないわよ、それもなんか気持ち悪く」

 「ご、ごめんっ、なんか凄く素直にやってくれるから可笑しくて、ちょっとね、まあいいや、それなら教えてあげるー」

 「ほら、さっさと教えなさい」

 「もう、戻ってる、まあいいや、オリハルコンって言うのは、、、、って言うのは、、、、えーと」

 「はあ?もしかして知らないとか言わないでしょうね、私に此処まで拝ませておいて」

 「いや、知ってる確かに知識には有る、攻略本で概略をしっかり読んだし、でも定義が曖昧な上、世界観によっては多少色々異なったりしていて、、ちょっと待って」

 「いいわよ、一人でしりとりでもしてるから、気長に考えなさい、いか、かんづめ、めだか」「思い出した!」「そこはかからよ」

 「確かオリハルコンって言うのは、最も硬い世界最高の金属であるのが一般的でねー」「うんうん」

 「それで場合によっては半分霊的なモノで、もう半分は物質的なモノで構成されている。っていう設定で登場する事もある」

 「なんかクトゥルー神話みたいに、話によって定義や設定が曖昧な感じ?」「そうそう、その話に出てくるアイテムみたいな感じ?かな?」

 「他には?」 「他にはーなんかオリハルコンの牙とか、ドラゴンの素材として出てくる事もあるし、特殊能力が備わってる事もあるって感じかな?」

 「へえ、気になるわー興味が湧いたからwikiで調べてみるわね」「なんか面白い事わかったら教えてね」

 「まあ、考えておくわ、あともう一つ、何だったかしら?ミスリルってのはなんなの?」

 「あれ?こっちは何だったけ?確かある物語でとても貴重なモノで、銀の輝きと鋼をしのぐ強さを持つとかなんとか、白銀色に光り輝く剣や鎧の素材に使われるものだったような」 「へえ、それも後で調べてみるわ」

 「まあ、こういう知識も知ってたら知ってたで面白いよ、ある程度メジャーだしね」 

 「まあ無駄知識、トリビアね、それにそんな空想の物質より、より強固な物質とかが実際にある、現代科学の現実の情報を知っといたほうが将来性はあると思うけど、そういう空想が閃きの元になる事も儘あると聞くし、知らないより知っといた方が良さそう」

 「うんうん、そうそう、レイチェルもこういう事で語り合えるといいね」

 「あんた、そういうこと好きなの?気持ち悪いー」

 「いま、面白そうだって言ったのに」

 「いや、なんかね、あんたがいきなり生き生きしだして蠢き出したからビックリしただけよ」

 「変な言い方、まあいいけどね、それに僕だってそこまでコアなオタクじゃないよ」

 「そうかしら、実はそういう事一杯知ってて、日々ひけらかす機会を伺ってるんじゃないの?」

 「いやそんな事ないよ、それに一杯知ってる訳じゃないっていったじゃないか」

 「うん、そうなの、ならいいけどね」


昼もすっかり暮れ切った、国際連合本部のある、帝国の中心惑星、その地上数百階の、超の何個付いても足りない位の、高級住宅の中で、今年中等部を迎えたばかりの、まだまだ幼さの色濃く残る少年少女が、ソファーでまだ喋っている。

 一方は、いつもは元気いっぱいで、黒茶髪の長髪を翻しているはずのレイチェル、しかし今はなんだか眠たそう、というよりも、喋り疲れてしまったのだろうか。

 もう一方は、そんな事はどうでもいい様に、眠そうな彼女を多少引きながら、ゲンナリと眺めやる、黒髪黒眼で大人しそうな、オズと呼ばれる青年である。 

 その後、すこしお茶を飲んだり、和菓子を食べた、つまり、すこし休憩を取ったという事だ、時間が経過したのは30分くらいだろうか 


 「あ、レイチェルの方は、何かコアなオタクなモノ知らないの?」

 「知らないわよ!」

 「どうしたの、、」

 「べっつにぃー」

 「何か煽られてるみたいなんだけど」

 「あんたの方こそ、いっつもいっつも、煽ってるじゃないの、私に喧嘩売ってるでしょう!」

 「いや、売ってない売ってない、圧倒的に僕の方が煽られてるよ」

 「そりゃ、私は煽るわよ」

 「なんでー」

 「あんたが馬鹿だからよ」

 「そんなハッキリ言わなくても、、というより、機嫌でも悪いの?やな事思い出したとか?」

 「いや、そんな事ないわよ、ただ何となく喚いてヒステリックになってスッキリしたかっただけ、有難うオズ」

 「あ、いや、こちらこそ、どういたしましてだよ」

 「それより、あんたは何がしたいの?」

 「何がしたいと言いますと?」

 「とにかく、この人生で何がしたいの、何でも言ってみせなさい、聞いてあげるから」

 「そんな事急に言われても、そうだなー、こ後悔の無い人生を送りたいかな?」

 「甘いわぁー、後悔の無い人生なんて送る発想が駄目駄目だわ」

 「なんでさー」

 「後悔の無い人生ってのは無気力な人生って事よ、生きてる内にやりたい事も生き甲斐も、沢山日々見つけてたら、死ぬ頃には後悔が一杯に成ってる筈よ」

 「うーん、そんなものかなー」

 「そんなものよ、たった百年そこらしか生きられないんだもの」

 「僕にとっては百年もって気がするけどね」

 「あー不老不死に成りたいわーオズもそう思うわよね、永遠の命が恋しいわよね?」

 「僕は有限の命でいいかな、ずっと生きるってなると色々面倒そうだし」

 「欲がないわね、ずっと生きて、この大宇宙の神秘や謎を解き明かしてやるぅーっとか究極的な欲望はないの?つまらないわ」

 「うーん、そういうのは僕じゃなくて、後世の人が知ってくれればいいかな、僕はその礎に成れればって感じ」

 「そうねー、そういうのも、ありっちゃ有りかもしれないわ、私もあんたを見習ってそういう風に生きることにするわ」

 「うん、それがいいよ、欲が深すぎると破滅しそうだし、特にレイチェルの場合は」

 「何か言った」「気にするほどのことじゃないよ」「ふーん、それで、貴方にとっての究極的な欲望は?」

 「その究極的って意味が曖昧なんだけど?」

 「つまり、その欲望が叶えば、後はどうでもいいってレベルの欲って事よ」

 「レイチェルは大宇宙の神秘や謎が分かれば、後はどうでもいいって言うの?」

 「そうよ、もちろん。ただ宇宙はホニャラカホニャラカだ!って一行で表現されても納得できないから、私が納得できるまで、この大宇宙の神秘や謎やら、そういう事を解明できるなら、死んでも、、、まあいいかなーって思えるってこと」

 「そうかなーなんだか割りに合わない様な気もするけど」

 「それで、オズのは何?わたしを庇って悪の秘密結社の手下Bから守り通す事が究極の欲望?」

 「違うよ、そうだね、真剣に考えたんだけど、とくにこれといった物が思いつかないや、次くらいに思いついたら伝えるよ」

 「まあ、あまり期待しないで待っとくわ、しかし期待を裏切ったら罰ゲーム」

 「眠いの?レイチェル」

 「眠かないわよ、あんたの方こそ、とろんとした目してるわよ」

 「そんな馬鹿な、僕の目は自分で見てないから分からないけど、シャキッとしてる筈」

 「はっは片腹痛いわ、あなたの眼光じゃ核シェルターは貫けないわ」

 「目からビームって奴?本当に眠いんだねレイチェル、今日はもう寝た方がいいよ」

 「寒いネタを流すような感じであしらわないでくれる?」

 「だって実際そうだったんじゃ」

 「馬鹿だわあんた」

 「なんで?」「わたしがちょっと眠くても、頑張って足りない思考力で捻り出したネタなのに」

 「頑張って変なこと言おうとしなくていいよ」

 「薄情モノ!いっつも私の最高の面白トークで元気貰ってる分際で小生意気な!」

 「僕だって君に元気を与えてるんだから、お互い様さ」

 「ふん、私が与える光量に比べれば、あんたのなんて太陽から反射で返ってくる月の反射光レベルよ」

 「はは、そうかもしれないね、実際」

 「しんみりトークで、私の眠気さらに倍増だわ」

 「別に、そんな空気は感じられなかったけど、それよりもレイチェル、早く寝なよ」

 「そんなにあんたは私に寝て欲しいのか!」

 「いやだって、眠気に耐えてるレイチェルの相手って疲れるし」

 「はい、禁句、女の子に対して疲れるって言葉はNGワード、オズ君には前回注意したはずですが?」

 「レイチェル相手なら、まあいいかなって」

 「わたしを蔑ろにして、もっとわたしを敬いなさい、そしたらなんか、偶にはアメもあげるから」

 「いらないよ、おまけにその対極の何かもいらないし」

 「はーあ、あんたも眠い?寝てもいいけど?」

 「僕は昼に眠たくなるような生活送ってないしなー、そもそもレイチェルは何で眠たそうにしてるの?」

 「女の子にはいろいろあるのよ」

 「なるほど、便利な言葉だね、男の子にはいろいろあるって言っても納得してもらえ無さそうなのに」

 「女性は慈しまれるモノなんだから、よく覚えておくように、ぐーぐー」

 「そういえば、なんで寝息ってぐーぐーなんだろうね」

 「知らない、鼾の音がそう聞こえたんじゃないの」

 「なるほど、正解っぽい仮説だ、ところでレイチェル、眠くないよね?」

 「眠いわよ、死ぬほど眠くて泥になりそうだわ」

 「うそだー、本当に眠い時はもっと弱ったレイチェルが見れるはずだよ、今のレイチェルは眠い振りをしてるだけだね」

 「なんでわたしがそんな事しなくちゃいけないのよ」

 「、、、可愛い子アピール?」

 「それこそ、あんたにゃする必要がないわね、はい次の推理は?」

 「他にあるとすれば、僕を困らせたいからとか?」

 「全部はずれ、本当に眠いわよ、幼馴染レベルが低すぎるわ、最高値ならアイコンタクトで全て伝わるというのに」

 「なにそれ、今のレベルなら、どういう事ができるの?」

 「そりゃ、何もできないわ、長年やってきても、所詮はあんたとわたしじゃ最低値をプラスマイナスで漂ってるのよ」

 「マイナスになったら逆にマイナス効果があったり、縁が切れたりしないの?」

 「ゼロ以下にはならないわ、腐った縁って奴、知恵の輪みたいに解けなくなってる感じ、あんまりマイナスを溜め込むと切れるかもしれないから気を付ける様に」

 「僕はそれなりにレイチェルの相手をしてると思うんだけどなー」

 「わ、た、し、が相手してるんでしょうが、私のほうが早生まれなの忘れた?」

 「その話ずっと引っ張り続けて耳にタコができるくらいなんだけど、学年が違わなければ年上って感じはしないよ」

 「それはあんたの主観、私の主観ではそれは決定的なモノなの」

 「なんだか理不尽だなー」

 「まあ、あんたも、傅くのが好きなタイプで、わたしは、傅かれるのが好きなタイプ、持ちつ持たれつって奴よ」

 「僕はさ、実は傅かれるのが好きって言ったらどうする?」

 「引くわ、他人に媚び諂われるのが好きとか、人間として終わっているわね、生まれ変わって人生やり直しなさい」

 「そうか、君は人生をやり直さないといけないのか、がんばって」

 「君って言うな、お前なんてもっと駄目、私の事はレイチェルと呼びなさい、貴方に君って言われるとそわそわするわ」

 「レイチェルは僕の事、貴方とか色々な呼び方するじゃないか、僕だけ強制されるのは可笑しくないかな?」

 「別に強制してない、ただ君って他人行儀がするでしょうが、それになんかインテリっぽくてムカつく、それが理由」

 「そうなんだ、そうして欲しいとお望みなら、そうするけどね」

 「何だか偉そう、やっぱ男っていうのは定期的に調教してやらないと、すぐに調子に乗る、女を手玉に取れると好い気になるんだ」

 「そんな事思わないし、僕は誰も手玉に取ろうとなんて考えないよ、付き合いも長いんだし多少は信用してくれてもいいと思うんだけどね」

 「誰が信用するものですか、信用して背中を預けた瞬間刺されるなんて、ハリウッドじゃ当たり前なのよ、常識知らず」

 「殺伐としてるんだねレイチェルの世界は、まあ僕も取り立てて信用されたいとは思わないけどさ」

 「へー素面を気取っちゃって、内心わたしに信用されたくて居てもたってもいられないくせにー」

 「うん、本音は信用されたいけどさ、でもそれって自然にされるものだと思うし、無理強いみたいな事はしないってこと」

 「またまた、押して駄目なら引いてみるって事?オズの手練手管にはわたしも感心するわよ」

 「そんな僕が海千山千の人間に見える?」「見えないわね、贔屓目に見ても海十山十くらいのアマチュワだわ」

 「まあ、それくらいなら実際に潜ったし登ったかな」

 「あんた、海になんて潜るの?」「潜らないし、潜りたくないなーなんか怖そうだし、海に行ったって事だね」

 「そう、私も海には潜りたくないわ、深海魚とか気色悪いし」

 「どんだけ潜るつもり」「まあだいたい海の底くらいには、ね、」

 「水圧でちっちゃくなるよ」「女の子はちょっと小さいくらいが丁度良いと聞くし、私も縮んでくるかな」

 「うん、、いってらっしゃい」「そこは止めなさいよ」

 「ところでさーレイチェルは休日とか何してるんだい?」

 「そうねー、一日中詩を書き綴ったり、白馬の王子様が迎えに来ないか夢を見る感じかしらね」

 「本当に?」「嘘、実際は勉強したり訓練したり、他にもスポーツとか?まあだいたいあんたと同じなんじゃないの」

 「そうかー僕も最近はバスケの練習や水泳とか色々、勉強もやる内容が増えて忙しい感じで、趣味と言えばゲーセンくらいかな」

 「へえ、あんたゲーセンなんて行くんだ、何やるのー?」

 「ゲーセンと言えばやる事は一つしかないかな」「ナンパ?」「したことないなー」

 「レイチェルはゲーセンにはナンパされに行くの?」「そもそもあまり行った事なかったわ」

 「なるほど、僕は宇宙の機動兵器のコックピットを再現した系の、固体に入ってやるオンラインゲームが好きかな、あれ以外は正直特にゲーセンに行ってまでやるものはないかな、家でもできるし」

 「ああ、例のアレね、あれくらいなら、私も何度かやったことあるわ、初心者でも取っ付き易いわよね、あれ」

 「うんそうそう、もちろん熟練者も楽しめる要素があるけど、初心者が楽しめる環境が整ってるのはいいよね」

 「オズは強いの?そのゲーム、わたしはあんまやったことないって、さっき言ったけど」

 「うーん、そこそこ強いんじゃないかな、キルレシオ、撃墜比は大抵どんな機体でも3対1だし」

 「それ凄いじゃないの、わたしはイチイチくらいだったのに」

 「慣れれば、誰でもそこまでは行けるんじゃないかな、プレイ人口の7割はライトユーザーって聞くし」

 「と言う事は、貴方はヘビーユーザーってこと?」「そうなるね、休日や、平日も偶に足を運ぶし」

 「へー、お金は掛からないの?どうなの」

 「そうだねー撃墜されなければ一ドルで遊べる事もあれば、もっと掛かる事もあるし、まあ5ドル以上は掛からないかな」

 「それなりにリーズナブルなのねー」

 「なんかメディアミックスやプラモとかグッズとか、あと家庭用で、なんだか凄い収入を得ているって聞くなー、更に調べると、軍用の訓練固体としても売り出されてて、そこで莫大な収入を、とかって夢のような話も聞くよ」

 「なら、上位プレイヤーは軍隊にスカウトされたりするんじゃないの?」

 「さあ、そんな話は聞かないけど、まあ情報統制もされてるはずないし、規模がでか過ぎて出来ないだろうし、ないんじゃないかな」

 「そうなの、わたしは上位プレイヤーに成って、オズにはエースパイロットで活躍してもらうのも、面白いと思ったんだけど」

 「僕は軍人の息子ではあるけど、軍隊に入るつもりはないって言わなかったけ?」

 「軍人になるのは嫌なの?」「別に嫌って訳じゃないけど、わざわざ好き好んでなる気はないかなって感じ」

 「そう、まあ今の時代に私たちの国で、軍隊に入ろうなんて、余程の変りダネだものね、あんたにはお似合いって思ったんだけど、戦地で儚くなられても後味悪いし、オズはそれでも良いと、わたしは思うわ」

 「そうかな、それだといいんだけど、でもやっぱり母さんも父さんも、それなりに薦めてくるんだよなー、僕としてはそんな気なんて更々ないのに」

 「大変ね、でもそこはズバっと我を通すべきよ、流されるままに流される様な人生は、わたしの好みじゃないわ、オズにも、自分の生きたい道を自分で選び取って生きて欲しいわ」

 「もちろんそのつもり、レイチェルの方こそ、流れで将来の話に成ったけど、どうするとか、展望はあるの?」

 「もちろんあるわ」「へえ、できれば聞かせて欲しいな」

 「聞いて驚くなかれ、わたしが将来なるのは天才科学者、これ一本よ」

 「すこし表現が曖昧かな、具体的には」

 「具体的も何も、社会に役立つ天才な科学者よ、これ以上に世界に他人に貢献できる天職がある?ないでしょ、医者って考えもあったんだけど、やっぱ科学者よ、未来を切り開くのは人の英知、わたしはそれに貢献できる様な生き方を、生涯貫き通すつもりよ」

 「わあ、レイチェルは凄いな、僕はまだ将来なんて曖昧な感じなのに、そこまで具体的で壮大で立派な考えを持ってるとは思わなかったよ、正直見直した」

 「本当?見直した?まあわたしもまだ志一本で、まだまだあんたと同じようなもんよ、お互いほど程に頑張っていけば、それなりに叶う望みだとも思うし、これから頑張らないとねって所よ」

 「僕も、もうすこし、レイチェルを見習おうかな」

 「なになに、オズはわたしに触発された?ならもっと頑張りなさい、気張りなさい、わたしと並び立つのは簡単じゃないわよ」

 「いや、別に並び立つつもりはないんだけど」「張り合いがないわね、わたしを追い越すくらいの気概は見せてほしいものだわ」

 「僕じゃー、ちょっとレイチェルを追い越すのには荷が重いかな、でも自分の出来る限りで頑張っていくつもりだよ」

 「まあ、最初は自分自身を敵として励むのがいいわ、最初から大きなモノを目標にすると挫折しそうだし、トレーニングだって、最初は自重を使ったモノでしょ」

 「そうかどうかはともかく、レイチェルは自信がある感じがすごくして、僕にとってはちょっと眩しいくらいだよ」

 「こんなの空元気に、付け焼刃、わたしだってまだまだなんだから、意気込みだけは一人前にしようとしてるだけよ」

 「いや、それだけでも凄いよ、僕は自信を付ける所から始めて行かないといけないわけだしね」

 「自信くらい、今この瞬間から付けれるわ、オズ、わたしは貴方を信じている、私が信じる貴方を信じろ、こんな感じだったかしら?」

 「慰めだとしても有難う、まあ自信くらいは自分でコツコツ付けていくよ、そんなの一朝一夕で付けれるとは思ってないし」

 「それはそうだけどね、だからこそ、そのコツコツにわたしも少し貢献してやろうと思ったのだけれど、あまり効果はなかったようね」

 「いや、すこしはあったよ、なんか元気出たし、こういう積み重ねが大事なんだって気もしたしね」

 「そう。なら良かった。それにしても、オズはなんでも素直に聞くのね、もうすこし捻くれても、斜めにわたしを見ても、良い感じがするんだけど」

 「そうかもしれない、正直もう少し、ヤサグレたり、捻くれた、蛇の様な視線を学びたい気持ちもあるよ、、だからレイチェルには実は感謝してたり」

 「わたしの試みもやっぱり成功してたか、ふだんあんたにそういう風に接するのはそういう意図があるんだから、すこしは感謝しなさいよ!」

 「はいはい、感謝いたしますよ、決してただ勝って気ままに振舞ったら、結果的にそういう風に成ったとは思いませんとも、ええ」

 「感謝されてる気がしないわ、それに、わかってるんじゃないの、まあいいけどね」

 

 「僕はレイチェルに憧れているな、どうしたらそんなに完璧になれるの?」

 「別に完璧なんかじゃないわよ、それなりに抜けてる所もあるものよ、あんたも分かってるんじゃないの?」

 「確かにそうかもしれないけどね、でも基本的な所っていうか根本的なところが人並み外れて完璧に、僕には見えるな」

 「そうかしら、はは、まあ自慢になっちゃうけどね、勉強とか、そういう事は割りと自信あるのよ、あんたはどうなの?」

 「僕は、そこそこを抜け切らないなー、学問秀才と言えるかいえないかって微妙なラインだし」

 「そう?傍から見てて、あんたは私よりも真面目にやってる感じに見えるんだけど」

 「真面目にやってるだけじゃ無駄だよ、もっとレイチェルみたいに、圧倒的な効率でやらないと駄目って最近思うし」

 「まあ確かに真面目にやるってのも大事だけど、やってる事の根本を見直すって事も大事ね」

 「僕じゃー一生かかってもレイチェルに追いつけない気がするよ」

 「別に、追いつけなくてもいいわよ、頑張ってる過程をちゃんとわたしが評価してあげるから、頑張りなさい」

 「そんな子供に言いつける様に言わないでよ、それに僕だって常にどんな時も頑張ってる自負だってあるのに」

 「それはまあわかるわ、私だってあんただって、その時その時の最善を尽くすタイプでしょ、根が頑張りやさんって言うのかしら」

 「頑張りたいって思うよ、辛い事でも、それが最終的に自分にとってプラスになるなら、全部一つ残らずやり尽くしたいって思う」

 「思うだけじゃ駄目だけどね。方向性が正しくても、やっぱり体力気力とかが続かないと脱落してしまうだろうし」

 「体力と気力なら、レイチェルはいつも元気一杯だし、とても充実してる感じ?」

 「当たり前よ、前提条件が揃わないと、何も大きな事は成せないわ、あんたはどう?結構いつも涼しい顔してるけど」

 「まあ悪くないよ、まだまだ若いしね」

 「その割には年寄り臭いセリフね、頭の中はとっくにお爺ちゃんなんじゃないの?」

 「頭が固い、頑固って意味ではそうかも、でもまだまだ若造だって」

 「若造にもなってないわ、まだ坊ちゃんって感じでしょ?」

 「そうかな、そこまで精神的に幼いつもりは無かったんだけど」

 「まあ、わたしが老成してるからねー、私からしてみれば、貴方はまだまだ子供、わたしの事お母さんって読んでもいいわよ」

 「お母さんって、、やだよ、まるでレイチェルが僕のお嫁さんで子供がいるみたいじゃないか、嫌過ぎるよ」

 「そんな妄想しなくてもいいのに、わたしもあんたじゃちょっと欲求不満だわ、正直ね」

 「それは良かった、僕もちょっとレイチェルじゃ、色々と欲求不満というか、頭痛が酷くなりそうだしね」

 「いつも毎日刺激が不足していそうなあんたに、適度な刺激を与えて痴呆防止に苦慮してるわたしになんて言い草」

 「痴呆を心配するほど歳食っちゃいないよ」

 「若年性ってのも囁かれる現代、超若年性痴呆の第一人者になったらどうするのよ」

 「そんな心配するくらいなら、車とかに轢かれないかとかに気を配ったほうが堅実的だよ」

 「それもそうね、あんたはいつもぼんやりしてるから、ダンプとかに轢かれてそれっきりなんて後味悪すぎだから、ホント気をつけてね」

 「本気で心配されるとなんか心外なんだけど、レイチェルの方こそ、お転婆が過ぎて、何か事故らないように気をつけたほうがいいんじゃない?」

 「お転婆って淑女でしょうが、そのあんた。わたしを気が狂ったようなキャラにするのやめてくれない?こっちこそ心外だわ」

 「偶に気が狂ってるんじゃないかって、その場のノリとテンションと勢いだけで行動して、雰囲気も空気も読まない事するからなー」

 「唯我独尊でカッコいいじゃない、わたしに惚れると火傷するわよ」

 「火傷したくないから惚れないよ、レイチェルの場合、爆発炎上に巻き込まれて灰になる未来だって想像出来るし」

 「わたしはどんだけ破天荒なのよ、そこまで常軌を逸した事したかしら?」

 「偶にね、常軌を逸した言動するよ、レイチェルは自覚ないの?」

 「ないわ。わたしの主観とあなたの主観では、そうね刺激の閾値が違いすぎるのよ、もっと何事にも動じない心を持つべきね」

 「鋼の心ってしなやかじゃないから、案外折れ易そうってイメージがあるんだよね、僕は日本刀の様にしなやかでいたいな」

 「それは無理ね、日本刀みたいに鋭利な印象はとてもじゃないけど受けれないし」

 「外見じゃなくて中身ね、僕は日本刀の様な人物目指して頑張っていく事にするよ」

 「適当言ってんじゃないわよ、何が日本刀よ。渋いお茶とかどうせ飲めない甘いもの大好きな、甘党員のくせにー」

 「お茶くらい飲めるよ、それに甘いものも和菓子ならいいんじゃないの?」

 「とにかく、日本刀に成りたいなら、実剣術でも鍛えてから、悟りを開くまでの過程は欠かせないわね」

 「何かのキャラの話?」「それに近い何かよ、諸索はしちゃ駄目」

 「はいはい、レイチェルはどんな人間になりたい?」

 「そりゃ、誰に対しても優しい、無限大の慈悲を持ち、目に映る全ての人間に100%感情移入して救いたいと思うような、聖女とか?」

 「現実味にかけるなー、そんなの身が持たないと思うんだけど」

 「そんなの分からないじゃないのー強靭な肉体と精神があったらどう?」

 「それでも無理だね、合う人合う人みんな救えたらそりゃ良いんだろうけど、ある程度線引きをしないと」

 「線引きしたくないわ、みんなを愛し救いたいと思える様な人が、わたしの理想の人間像、わたしは理想になるのよ、いや、わたしが理想だ!」

 「それなら現実的にはどうするのさー」

 「完全に理想に生きたいけど、現実という壁に涙しながら線引きし、無限大の痛みと悲しみ、苦痛を感じる悲観的理想主義者、うん、こういうのがそれっぽいわ」

 「それって何さ、英雄録とかの読みすぎだと思うよ、そういう人、何か歴史上の偉人に沢山いた気がする」

 「それよそれ、歴史上の偉人がする様な思想とかを積極的に自分のモノにすれば、わたしも偉人に近づくんじゃないかしら?」

 「そんな単純なものかな?いろいろとその前に積み重ねるべき実体験とか必要な気がするけど」


 昼の間に成された会話全てに意味があった訳ではない、しかしどれも一つ一つが二人の関係性を高めていく為に役立ったのかもしれない。

  これからの厳しい未来を生き抜く運命にある、この時の二人は、恐らくこの様にして戦いに耐えうる心を、頑強成る精神と意志を、育てていったのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] うーん、やっぱり最初っから文章が楽しい。たまに読ませてもらってますが、ほんと文章が楽しいです。これからも頑張ってくださいな。いや、頑張れっていうのもおかしいのだろうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ