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戦火の時

ちょっと短いです。


若者の故郷で戦争が始まったらしい。


今は既に遠く離れた地に来ており、帰って大騎士を手伝うにも遠すぎる。

それに、若者はこの冒険者パーティーのリーダーでもある。

故に、戻らない決意をし、父を信じて己の仕事をするだけなのだろう。


戦争か、あれは惨いものだ。


---

剣豪のカップルは結婚し、夫婦は道場を立ち上げ数世代の時を経過する。


ただ、この時期何故か似たような事をする者が増えていた。

流行はやりというやつだろうか?


人間の世界は何が流行るか判らない、今の私の趣味はそれら人間の観察なので意見を言える立場にないのだが・・・・・・。


剣豪が群雄割拠することになり、魔物、魔獣は激減した。

そして、その事で安全圏が拡大し、商業流通が活性化したのだ。


剣豪の中でも名の知れた者達は、こぞって道場を立ち上げ、自らの流派を後世に残そうとしていた。


しかし、商業流通の活性化は大きな問題を発生させてしまう。

戦争の誘発だ。


情報伝達速度が早くなり、各国の特産や兵力等がある程度わかるようになり、街道が整備され行軍が容易になってしまったのだ。


この状況で、欲を滾らせた王族・貴族が目を付けないわけがない。


「しかしだ、もう一手ほしいところであるな。」

とある国の高官は呟く。

「それならば、彼等を雇ってはいかがでしょうか?

 金と名誉、それらをちらつかせればおのずと何人も釣り上げる事ができますぞ。」

高官の部下らしい男がさらに呟く。

そういったやり取りが多数交わされ、戦争が始まった。


剣豪達はこの戦争の傭兵として雇われることとなった。


---

「ですから、私には仕官する意思はないのでお引取り下さい。」

ウォーデン流現当主、ミモザは強くはないがはっきりした言葉で仕官する意思がないことを相手の男に伝える。


「しかし、この道場も大分さびれております。

 ここで貴方の力を世界に広めて、再び新しい道場をたてるのも夢ではありませんぞ?」

確かに、数世代経過したこの道場は大分寂れてしまった。

二代目辺りが道場を壊さんばかりに門下生を鍛えて、結果本当にいくつか穴が開いてしまっている。

どうせ壊れるからと、直さず穴を塞ぐだけにとどめて、世代を超えた時点で金子がなくなり修理もできなくなってしまっている。


道場がこの有様では、当主が有名にでもならないかぎり、今の世では確かに建て直しは難しい。


「いえ、今の生活で十分ですので。

 おそらく、当代でこの道場は終わりでしょう、しかし技は多くの弟子に残っております。

 別門派を名乗るものもおりますが、彼等は彼等の方法で技を広めてくれるでしょう。」

名は残らずとも実は残るという潔いが甘い考えで、しかしこの甘さを当時の私は気に入っていた。

気性はおだやかだが、意志は強く、やさしく甘く、そして強い。

ミモザ・ウォーデン、この時代、一対一で彼に敵うものは少ないであろう。


「そうですか、残念です。

 貴方の力には期待していたのですがね。

 本当に残念です。」

そして男は少し身じろぎをする。


-ヒュン-


風斬り音がしたかとおもうと、ミモザに向かって数本の矢が放たれる。

男が身じろぎしたのは何らかの合図を送っていたからであった。


しかし、無駄だ。


ミモザは私を朱鞘からひきぬき全ての矢を叩き落す。

普通の人間にはなかなか難しい芸当だ。

寧ろ、来ると判った時点で逃げるのが正解だろう。

しかし、ミモザは叩き落した。


「これはどういうことですかな?」

男の喉元にわたしを突き付けて質問をする。


「はは、貴方がほかに仕官されると困るのですよ。

 それなら、その可能性を無くしてしまえと、主からのお達しです。」

男も大した胆力で、少し震えながらも返事を返す。


「なるほど、それなら憂いを経つべきですね。

 まずは貴方達からいかせてもらいます。」

男の喉にあっさり剣を刺したかとおもうと、矢の放たれた方向に走り出す。


矢を放つ者、逃げ出す者それぞれだが、この場合逃げた方が正解だろう。

向かってきた矢を全て叩き落し、残っている弓兵を倒してしまう。


流石に逃げた奴等を全て斬りすてることは難しいのでそのまま放置して、男の雇い主のところに走っていくことにした。


---

ミモザはとある国の前にまではたどり着いた。


しかし、今は戦争を始める前で、兵力が充実しつつある現状を知らなかったのだ。


そして、ミモザは一対一では早々負けることはないし、多少の人数が増えたところでそれは変わらない。

なら・・・・・・。


「剣豪の一人が我等の隊に突っ込んでくる。

 これを挟撃して向かえうつ。

 Vの字の形に陣形を変えて、一個師団を相手にしているつもりで迎え撃て!」

この国の少将達は集団戦というものを見出しつつあり、個の力よりも陣をもって集団に当たる方法を覚えていた。


そして、ミモザはそういった戦い方は知らなかった。


ミモザは懸命に戦った。

一騎当千という言葉も相応しい程、獅子奮迅の戦いっぷりで、集団を押していた。


戦争の準備が整っていなかったら、王城まで一直線に進んだだろう。

しかし、時代は変わったのだ。

剣豪の時代は終わっていた。

戦争の時代に入っていったのだった。


---

それから私は色々な兵士に使われる事となった。

碌々手入もされず、酷使され、時には放置され拾われてと、これなら盗賊団のところにいた頃のがまだまだまともだった。


あくる日、久々にそこそこ腕のあるものに拾われた数日後、なんとこいつは砲弾に反応して私を盾にしようと、大砲の砲弾が来る方向に私を向けていた。


この時に無事であればきっと名のある将になったことであろう。

しかし、残念ながら現実は無残だった。


砲弾は私をへし折り、持ち主を蹂躙した。


私は二つにへし折れてしまったのだ。


---

若者の元に改めて戦争の結果が伝えられる。


大騎士のいた国が戦争に勝ったらしい。

細かい内容までは届かないが、余程のことがない限り大騎士も無事であろう。


若者は肩の力が抜けたのか、魔物を倒す勢いが増す。


ダンジョンの再奥まで進み、守護者を倒しお宝を手に入れる。


こうして、若者の名も一部では響く程になっていた。

ミモザサラダが何か頭から離れなかったとです。

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