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ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→  作者: ぱちぱち


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第79話 タフな交渉になりそうだな

『おお、アキラ! お久しぶりですね! バーチャルの姿もお美しかったが……本物は、まるで天使のようだ』


『お久しぶり~! イロくん相変わらずでっぷりだね!』


『HAHAHA! デブって言って良いんだよ?』



 超音速仕様のプライベートジェットは半日も経たずに太平洋を横断し、俺たちは無事に米国へとたどり着くことが出来た。のは、良いんだけど。何故か到着した空港には多数の黒服がひしめき合い、窓口を出てすぐの所に何故か世界有数の大富豪が待ち構えているのは、ちょっとサプライズにしてもやりすぎじゃなかろうか。


 イロリー・マックス氏は世界最高の夢と金を手に入れたデブとして世界的に有名な人物だ。デブというのはもちろん嘲笑なんだが、彼はその嘲笑を全て自身のバイタリティーにしているらしく、多数のビジネスを手掛けて一代で世界トップレベルの資産を築き上げた正に立志伝中の人である。


 そのイロリー・マックス氏が脂ぎった顔を『あきら』に向けて満面の笑顔を浮かべて目の前に立っている。テレビの中でしか見る事が出来なかった人物が目の前に居るっていうのは不思議な感覚だな。


 さて、プライベートジェットの手配をしてくれたりと向こうが『あきら』に好意的なのは分かっていたが、流石にそろそろ場所を移動した方が良いだろう。明らかに空港を利用する他のお客さんに迷惑になってるしね。



「あー、ごほん。『あきら、再会を喜ぶのはそれくらいにして、そろそろ場所を変えよう。初めましてミスター・マックス。私はVVVで実務を――』」


『ホールドアップ! マックス氏に近づくな!』



 失礼にならないよう注意しながら『あきら』とマックス氏の会話に割り込んだんだが、マックス氏の傍に控えていた筋骨隆々のガードマンがすぐさま銃を抜き放ってこちらに付きつけてくる。いや、初手銃はハエーよ。流石はアメリカって事か?


 俺に銃を突きつけたガードマンは額に汗を流しながらマックス氏と何故か『あきら』を後ろに庇い、油断なくこちらに銃を向けている。ちょっと待って。その子うちの子なんでその子を庇うのはちょっとおかしいんじゃないか? うん?



『ク、クラウザー。どうしたんだ急に? そちらはお招きしたVVVの社員さんだろう?』


『申し訳ありませんボス! しかし、この男は危険です! 半径1m以内に入ればボスは1秒も生きていられません!』


「この人の目には俺はどう映ってるんだ???」


『見たままじゃねぇか?』



 今日は元の『セシル・ファラウェイ』の姿をしている『ドッペルゲンガー』は、俺とクラウザーと呼ばれた男とのにらみ合い(笑)を見ながらそう答えを返した。見たままってどういう意味だ。どっからどう見てもビジネススーツ着た一般日本人だろ、多分。






 最終的に複数人に銃を向けられて囲まれる羽目になったが『あきら』が『その人、私のお兄ちゃんだから撃たないでね?』と言った瞬間に解放されたため、無事にアメリカの土を踏むことが出来た。お兄ちゃんじゃないんだけどな。一応設定では同じ里の兄貴分だ。



『申し訳ない。クラウザーは非常に職務に忠実で……普段はもっと冷静なんだが』


『気にするな、とは言いません。その分、わが社に利益のある条件を提示させて頂きますね』


『ああ。法外な物でなければ喜んで受け入れよう!』



 招いた客人をいきなり銃で囲むとは思わなかったが、そこは米国に来る前にちゃんと予習していたため対応できた。米国では警官とかに脅威とみなされるとその場で取り押さえられる事があり、その際に少しでも抵抗すると本当に発砲してくるのだ。反論は現場ではなく法廷で。それが米国の鉄則である。警官じゃないって? 米国有数の金持ちのガードマンなんてほとんど警察みたいなもんだろ。この国は財産=権力と言っても過言じゃない国だぞ。


 まぁ、流石に法廷に連れていかれたらビザの関係で裁判中に帰国しなきゃいけなくなり、高確率で敗訴するらしいからその時点で契約もお流れになる。『あきら』に契約云々の話が出来る訳ないからね。という訳で間違いなくその前に止められると思ってたから大人しくしてたんだが、渡米した初日どころか初対面で大事になりかけるとは読めなかったな。強化された俺のずのう()を持ってしても!


 ……原因はやっぱり、日華との険しく苦しい学びの日々のせいだろうな。あれ以降雰囲気がヤバいと一緒に風俗に行った時に田井中さんも言ってたし。でもあの人はあの人で「死線越えました?」とかいつものニタァっとした笑顔で普通に聞いてくるからやっぱおかしい。


 まぁ、あのクラウザーってガードマンは多分相当な腕利きなんだろうな。不興を買う覚悟であのタイミングでマックス氏と『あきら』を庇いに行くというのは、そこらのガードマンじゃ出来ない動きだ。ビジネスの話しだからその点は突かせてもらうけど、ある程度の所で切り上げてあの人は切らないようにマックス氏に言っておこう。『あきら』を庇おうとしてくれてたしね。


 さて、一先ず謝罪を受けた後はマックス氏ではなく向こうの実務担当者とのすり合わせだ。マックス氏は謝罪をした後、ちょっと申し訳なさそうな顔を浮かべて『あきら』とのお話し中である。あんまり引け目を感じさせ過ぎても良くないからね。『あきら』ならこの程度の事に頓着しないし、すぐにマックス氏の調子も元に戻るだろう。


 先方の実務担当者はクラリス・ケイブマンという名前の女性で、年齢は俺よりちょっと上って所だろうか。かなり若い人なのにこんな交渉に抜擢されるなんて相当なエリートさんなんだろう。



『弊社としましては、関連する企業全てで御社の自動翻訳機を導入したいと考えています。SNSだけではなく社員が利用するノートPC、スマートフォンに至るすべてに』


『それは……随分と思い切ったご決断ですね』


『思い切った? いいえ、あの配信を見た事のある人間で目端の利くものなら全てのものが、許されるならあの自動翻訳機能を使いたいと思うでしょう。多国籍企業であるならば猶更です。これでどれほどの業務効率化が起こせるか考えれば当然です。そして私はマックス氏にその権限を頂き、この場にVVVの実務担当者が居る。であるなら私がやる事は伏してお願いしてでもあの自動翻訳機能を弊社で利用できるようにする事こそ私がするべき事でしょう』



 そう言って本当に地面に座りそうになるクラリス氏を慌てて止めて、俺と彼女の話し合いは始まった。立場的にはかなりこっちが優位なのに、少し押されてる感覚はなんだろうか。これが米国のビジネス界で揉まれた一流のビジネスマンの交渉術か……今日の話し合いは、タフな交渉になりそうだな。



山里一也(男)26歳



視聴履歴

『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)

『煉獄列島』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人』(料金1000円)

『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー』(料金30000円)

『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『天災科学者』(料金:ひなちゃん家のご飯)

『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『未来を知る者』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)

『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『もう一人の俺』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)

『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生』(料金:組織)

『魂羽織』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『至高の人形師』(料金:人形作成・開発費)

『拳創成期』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『無双女帝』(料金:気持ちよく昼寝できる環境)

『テレポーター三沢ひばりは平穏に過ごしたい』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『ハードラックテレポーター』を獲得しました(料金:休日)



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― 新着の感想 ―
密かにレンタル履歴増えている……。 今度は不憫とか不幸属性の子、なのかな?能力はともかくがんばれー
この自動翻訳機能の名前はバベルとかどうだろう。 失った統一言語を取り戻した!的な。
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