表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→  作者: ぱちぱち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
65/125

第65話 『拳創成期』

『要するに自警団を作りたい。こちらの統制が取れる形で、多少御法に触れるような事も厭わないようなタフな男たちを組織するんだ』


「それこそ雨宮セキュリティーがあるじゃないか」


『雨宮セキュリティーには別の役割がある。あれはもっと表向きの役どころだ』



 『かすが』はそう言って俺の部屋から出ていった。どの作品が良さそうかという意見は出してくれたが一緒にアニメを見る気はないらしい。少しだけ、残念に思う。今回選んだ作品は全24話の2クール作品だ。長丁場になるのは分かっていたし、せっかくだから誰かと一緒に見たかったんだけどね。



『しっかたないわねぇ。一人でアニメも見れない駄目な弟を持ってお姉ちゃんは大変よ! 大変!』


「やかましい」



 そう考えてると『さやか』が魂羽織を纏って出てきたので、一緒に並んでポップコーンを食べながらアニメを見る。年齢的にどう見ても俺が兄なんだが、まぁ背伸びしたい年頃なんだろう、魔女様も。あ、こら。俺のポップコーンからとっていくな。自分のを食べろ自分のを。


 『さやか』と一緒にアニメを見ていると、話数が大体半分を超えた辺りで明らかに視線が高くなったのが分かる。元々の新調が180前後だったのに対して、今は明らかに頭一つ分くらい高い場所からテレビを見ているからだ。



『全部見ないとちゃんと借りれないわよ』


「分かってるって」



 どう考えても『NEET NOW』の仕様について詳しそうな『さやか』の言葉に少し高くなった声で頷いて、残りの話を視聴する。今回見ているアニメは『拳創成期』という格闘アニメだ。核戦争が起きた架空の日本を舞台に、達人と呼ばれる拳士たちが天下を求めて戦い合うという内容の作品である。


 この作品に登場する架空の格闘技は多岐にわたるのだが、主人公である日華(ひばな)は女の身でありながら中国拳法と日本の空手をルーツとする空拳を駆使してライバルたちを打ち倒し、最終的には荒廃した日本を統一する王となる。彼女の特徴は作中でも屈指の戦闘能力もそうだが、こういった作品にありがちな脳筋主人公ではなく手下に収めた荒くれ者どもを統率する魅力と荒廃した世界に国家と呼べるものを築き上げた知性を持っている点だろう。


 『かすが』が要求したカリスマを持ち、頭が回り、そしてなによりも“暴”の扱いに長けている人物という指定を完全にクリアする人材だ。



『カリスマがあるかって言われるとあーしも困るけどねぇ。自分じゃ判断つかねーし。だが、腕っぷしとごんたくれ共を従わせるのは慣れてるぜ』



 俺から体の操作権を手に入れた『日華(ひばな)』がゆさっと大きな胸を揺すって腕を組むと、隣に座っていた『さやか』が唖然とした表情で俺の胸部に視線を固定した。気持ちはわかる。下が見えないくらいデッカイんだよ。


 こんなデッカイものをぶら下げてて格闘戦なんてやって邪魔にならないのかと心配になるくらい『日華(ひばな)』のスタイルは良いんだが、実際に達人同士の戦闘では『日華(ひばな)』のこのデッカイのはむしろ格闘戦に役に立つ描写が多かったりする。下が見えない状況が多いから足元の気配に敏感で、足下の仕掛けにすぐに気づくとか、相手のむっつりスケベが視線を胸部に吸い寄せられて隙をつかれるとか。


 そのむっつりスケベには作中三回結婚を申し込まれ作中三回ボコして断ったのだが。一応あれが公式カップリングなんだろうか。『日華(ひばな)』は他の達人にも結婚を申し込まれてるからその辺が分かりづらいんだよな。王様になった以上は子孫を残すために結婚とかもしないといけないはずなんだが。



『あーしは女だからね。力で天下を取った以上、結婚はともかく妊娠とかは難しいかなぁ。隙になっちゃうから』


――なるほど。好き放題出来るってイメージだけど王様も大変なんだなぁ


『大変だよ。権力ってなぁ予想よりも自分の自由が無くなるんだ。まぁ、あーしがやらなきゃ日本は地獄のままだったから、後悔はないがねぇ』



 そう言ってケラケラ笑う『日華(ひばな)』とアニメじゃなく『日華(ひばな)』の胸部を凝視する『さやか』と並んで座って『拳創成期』を見終わり、正式に自分の中で『日華(ひばな)』のレンタルが始まったのを確認する。



『よっし』



 パンっと体の調子を確認するように拳を軽く振るうと、空気と拳がぶつかり合う音が響く。うん、快調快調。『日華(ひばな)』は少し狭くなった椅子から立ち上がりグルんと肩を軽く回す。違和感は一切ない。借りものとは思えない体の調子だ。



『デカい』


『ん? おお、色気の代わりにタッパに栄養がいったみたいでなぁ』


『嘘つけぇぇぇ!!! ちくしょおおおぉぉぉ!!!』



 立ち上がった『日華(ひばな)』からは胸が邪魔で見えないが、『さやか』が座ったまま地団駄を踏むのが感覚と振動で分かる。『日華(ひばな)』が率いた軍の一部がこういう感じで叫んでいた事を思い出し、ゲラゲラと笑いながら『日華(ひばな)』はのそのそと歩いて一也の部屋を出る。


 さて、まずは『かすが』に会ってサポートを受けなければ動けない。ここは『日華(ひばな)』が己の腕一本でのし上がった文明崩壊後の日本ではないからだ。情報、移動手段、欲しいものは幾らでもあるが、まずは『かすが』との意識合わせが必要だろう。どこまでやっていいのか、どこまでやれば良いのか。それを確認しなければいらぬ騒動を起こすことになるかもしれない。



「とはいえ、まぁ」



 恐らく最初にやる事自体は、決まってる。一也の持つ印象ではあるが、『日華(ひばな)』と『かすが』はかなり近しい感性の持ち主だと思われるからだ。だったら、まぁ、この状況でやる事なんて一つっきゃない。


 襲撃だ。




山里一也(男)26歳



視聴履歴

『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)

『煉獄列島』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人』(料金1000円)

『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー』(料金30000円)

『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『天災科学者』(料金:ひなちゃん家のご飯)

『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『未来を知る者』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)

『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『もう一人の俺』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)

『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生』(料金:組織)

『魂羽織』(レンタル終了)

プレミアムレンタル権『至高の人形師』(料金:人形作成・開発費)

『拳創成期』(レンタル期間7日)


更新の励みになるのでお気に入り・☆評価よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ