覚悟 二
すっかり馴染んだ部室の、どこかこぢんまりした会合の中で、お嬢様は物のついでのように、この右腕へ封印をかけてきた。
太筆がつづる奇妙な文字は、蝋で溶かしたような柔らかな丸みを帯びていて、それは梵字にもよく似ているが、中にはメッセの絵文字のようなものも含まれており、俺が興味深そうに目を見張っていると、ミカンコが微笑んで説明してくる。
「これは―――たいへん古いもので、『ヲシテ』と呼ばれているものですの。呪唄を譜表に記す、それ専用の文字ですから、後の漢字文化によってすっかり廃れてしまいましたが、私ども古い法師たちは、今でもこのように用いておりますのよ」
「へえ」
お盆の際、よく仏壇に祀られる位牌の文字に似ていたから、俺はてっきり梵字だと思っていたけれど…。
「陰陽師とかだと、こうした文字を使っているのか?」
俺がそう感心してみせると、気のせいか、ミカンコはこちらを柔らかく睨めているよう。
「あら、陰陽師とは違いますよ」
「おや?」
何も知らない無邪気さから、俺はそう勝手に解釈していたが、お嬢様は違うらしい。
「今ではオカルトブームもあって、平安朝を代表するようなエンターテイメントとして取り上げられておりますが、陰陽師の基本となるのは占いと、人々の願望に寄り添った種々の呪法でございます。当家も占いを生業としておりましたので、便宜上、そちらに含められておりましたが、人の欲望を含んだ呪法とは、やはり分けて記銘していただきたいのです」
「そ、そうか。そりゃすまん」
つまり占いという地味な職務が鷺ノ宮家の本職であり、呪法にはそれこそ陰陽師としての派手なイメージがつきまとう。そんな奇抜な流行りものとして見られることは、由緒正しき鷺ノ宮家としても迷惑千万、また宣伝も平にお断り、ミカンコ嬢はそれだけのことを俺に言いたかったようなのである。
「でもよ、占いとか言っているわりには、おまえけっこう凄いことしてねーか?」
「私どものする呪法は、占いの余禄のようなものです。未来を占うことこそが、なにより一番心血の注がれる神事なのですから」
「ふうん」
その余禄で、ウサギにされるのもたまったモンじゃねえけどな。
しばらくすると、お嬢様はポンポンと右腕をたたいてくる。処置はいつのまにか終わっていたらしく、俺はその右腕を肩でかるく回しながら、知ったかぶりをするつもりもないけれど、あえて言ってみせるのだった。
「なあ、実はこれ、もうほとんど効果ねえだろ」
「そうですわね。それこそお呪いのようなもの」
黒檀の机の席に戻ったミカンコは、なにか自分で面白いことを言ったらしく、袖口で口元を隠すと、ホホホと笑った。
「ハンチくん、安心したまえ。それがあると、普通の狗たちにキミが希人であると特定されることは、まずないらしいぞ」
茶菓子の置かれた向こうから、慶将がなにか偉そうに申し述べている。
「折角だもの、お呪いでもなんでもしてもらっておきなさいな」
こんな綺麗な人がしてくれるのだし、と、施術のあいだ、じっと見守っていた先生も、晴々しい顔で笑っていた。
部室で久方ぶりに皆揃っての意見交換をすませると、本日の俺にはもうひとつ行くところがあった。それは旧校舎から少し歩いた体育館脇の空き地である。
ひらけたその場所には従者である飛鳥と久場、そして隣のクラスの男子がふたりいた。飛鳥は俺の姿を認めると、さっそく片手を挙げて招いてくる。一抱えもありそうな巨大な模型を傾けたりひっくり返したり、いかにも大変そうだった。
「抜け出てきていいの?」
ぶらぶら歩いてきた俺へ、塗料のスプレー缶を上下に振りながら、飛鳥が笑いかけてくる。あのまま部室に居残って、先生たちの難しい話を聞きながら茶菓子を摘まんでいてもよかったが、ま、こいつらにも礼をしないといけないからな。
「まさか模型同好会なんぞに入っていたなんてなあ」
その飛鳥を見ながら、俺は感心そうに口を開いた。
「ボクはただの人数合わせだよ。とはいえ、久場くんの妙な特技には驚かされたものだけど」
それで足元には養生代わりの新聞紙まで敷いている。校舎の中では周囲に汚損の懸念もあるからと、外に持ち出してお行儀よくやっているらしかった。
「よう、なんか大変そうだな。それって、なんなの?」
塗料が手に付かないよう、あとのふたりが慎重に掲げ持つ中で、俺は久場のでかい背中に尋ねてみた。
「春の新入生へのPRに備えて、まだ忙しくない今のうちに、作っておこうかって話になって…」
「へえ」
それがまた何かの帆船模型かと思いきや、意外や意外、ロボットアニメものなのである。
「あれ、久場もそういうロボット作るんだ?」
「そうだよ。これも秋葉部長の考えで、今はこうした人気があるものの方が新入生に注目されやすいって」
「秋葉部長?」
エアブラシと溶剤の容器で両手の塞がっている大男は、自分の大きな顎を使い、器用にそこの丸眼鏡を指さし (?)た。
「え、あ、はい。秋葉 文雄です」
いや、名前なんて聞いてねえから。つか、サークルなのに部長呼びなンかい。
「模型同好会なんて、あったのな。俺もこいつらに聞いて初めて知ったんだけどよ」
俺はその、特徴的な眼鏡のフレームを覗き見る。
「そりゃそうだよ、去年、生徒会に申請して作ったばかりだからね。だから実際に活動したのは文化祭が初めてだったかな。船の模型をビニールプールに浮かべて、子供たちからは大好評だったけれど、知らない?」
ああ、そういや中庭でやっていたなあ。俺はアリオを傀儡たちから避難させていたので、総スルーしたが。
「それで今年は、新入生へ向けてサークル紹介もしないといけないから」
「ほほう」
そこで俺は、はたと気づく。
ひょっとしたらこの俺も、ミカンコの作った情報分析部とやらの紹介を演壇に立ってやらされることになるのだろうか。
なんたってあの部活、イケメンや超美人を皆の前にお披露目して、うっかり興味なんぞを持たれてしまうわけにもいかなかったので、マジであり得る話なのだ。
部室では慶将が、草稿と時計を見つめつつコーチして、「ハンチくん、きっかり五分で論旨を徹底させるんだ。途中で時間が無くなって、慌ててはしょったりなんかして、もしミカンコさんの顔に泥を塗るようなことにでもなれば―――いいかい、そのときはこの僕が、決してキミを許さない……」
そして碧眼鋭く迫ってくる慶将の双肩から、うっすら火焔が昇るのを、俺は冷や汗をかきながら見せられることになるのである。
「どうしたの、ハンチ。なんか顔色が悪いよ」
飛鳥が心配してくる。
普段は鈍い脳細胞も、こうしたときだけは、やたらと詳細に思い描いてくれやがるもの。
「ああ、いや、なんでもねえ」
それで少し固くなった頬を、両手で挟み、軽く揉みほぐしながら、久場の手をみつめた。
「そんな手で、細かな部品とか、いじれんの?」
もうグローブなしでそのままピッチャーの投球でも受け止められそうな、そんな立派な手指なのである。
「大丈夫だよ。ピンセット、使うから」
だからさ、そんな手で、ピンセットなんか握れんのかよ―――と、内心思わなくもなかったが、なんでも、自作したという艦船の写真をスマホで見せてもらうと、これまた空中線から手すりのロープに至るまで、実に細やかに再現されているものだから、恐れ入る。
「これ、プラモなのか?」
「木製だよ」
「木製だと、ほんとに一から作らないといけないから、よけいに手間じゃね?」
「ほら、僕の実家、材木屋だからさ」
そういや、そうだった。こいつはそこの倅だったはず。
「なるへそ、だから、もう木に馴染んでいるっつーわけね」
「うん」
そうしたものを、もう幼少期から玩具代わりに作っていたものだから、久場の精緻な模型作りの腕前には、俺も感心すること一頻りであった。
「でもさ、模型って、作って終わりなんだよな?」
そんで家に飾っておくだけなら、わざわざサークルなんぞに入らなくてもいいのではなかろうか。
「いや、ちゃんと展示会とかにも、出品しているよ」
と、これは丸眼鏡。
ずいぶんと個性的な眼鏡であるが、牛乳瓶の底のようなレンズの奥にあるその素顔、よく見たらこいつもかなりのイケメンなのである。
うらやむ気持ちを押し殺して、俺はそのイケメン丸眼鏡に尋ねてみた。
「展示会?」
「うん。各地で催されている有名どころに、うちのサークルも参加しているわけ。そうした方がモチベも保てるし、なんたって、企業へ向けてもボクたちの名前が売れるしね」
「へえ」
やべえ、少なくとも情報分析部よりは、はるかに活動らしい活動をしていらっしゃる気がする。
「とくに久場君なんか、その精密な再現力に専門誌の雑誌編集長ですら、うなるほどなんだ」
「い、いやあ」
そう褒められて、テレる久場というのも珍しい。
久場は新聞紙の重し代わりに置かれていた紙袋から、バンドでくくった模型雑誌のいくつかを、俺にポンと渡してきた。
あまりにも軽やかに渡してくるものだから、正味の重量にこの肩が抜けそうになって、思わずたたらを踏んでしまう。
「うわ、重っ。つうか、こんないっぱい渡されても、その久場の模型って、どれなんだよ」
すると、そこの丸眼鏡はにやりとして、
「その表紙にあるやつが、全部そうさ」
などと言うのである。
「えっ、これ全部そうなの?」
大航海や太平洋戦史のお題目のもとに、さまざまな艦船模型が表紙を飾っていたが、これが全部久場お手製のものだというのである。その中で丸眼鏡は、信濃とかいう空母の模型を勧めてきた。
「とくにこれの再現力は圧巻でね。今ではピンボケ写真でしか推測することのできない構造物を、まるで実際、見てきたかのように精緻に作り込んでいるんだよ。これには主催する側や来賓の方も、かなり驚かれていたようでね」
「いやあ、造船学を学んでいたわけでもないけれど、僕はあの巨大な、百十が大好きだったから」
肺活量の大きな久場が声を落として喋ってくれるので、俺のイケてる髪型も大助かりである。
「百十って、なに?」
「そのでっかい空母のことを、皆でそう呼んでいたんだよ。技術を磨くために一週間ほど、汽車で海軍工廠へ赴いたとき、よく仲間と六号ドックをこっそり覗いてねえ」
と、なんだか懐かしそう。
そこの部長とモブ君は、久場の言った内容をいまいち理解できずに、ぽかんとしていたけれど、
「それ、久場くんの曽祖父さんの話だったよね。ボクも以前に聞いていたのを、今思い出したよ」
すかさず飛鳥がフォローする。おそらく、それらも従者の古い記憶によるものに違いない。
俺は親指をぐっと突き出し、そんな飛鳥に賛辞を送るのだった。
全ての作業を終えて、大荷物を抱えながら教室へ戻ってゆくこいつらを見送ったあと、俺は玄関前の冷たい段差に尻を置いた。
しばらくすると、運動部員たちがわいわい校舎の中へ入ってゆく。銭湯に敷くような簀子を大勢が踏み鳴らして、たいへん騒がしいのである。
そしてその運動部員たちの消えた廊下から、帰り支度を整えた飛鳥と久場がやって来る。立ち上がった俺を見つけると、声をあげて呼んできた。
「どうしたの、今日はわざわざ、これからどこか行くの?」
「いや、そうじゃなくてよ」
俺の制服の上着の中には、さきほど先生から渡されたあの無料優待券の束が三冊ほど入れてあった。今まで頼れるだけ頼り切っていただけのこいつらにも、なにかお礼事をと、そんなことを部室で話していたら、先生がこれを渡してくれたのである。
「え、いいの?」
ふたりは、互いに顔を見合わせている。
「ん、なんかまずいのか?」
「いやそうじゃなくて…」
飛鳥は少しはにかんだ後、素直に受け取って、もうひとつを久場に渡した。
「あの女がくれたものでないのなら、変な呪いもないだろうし、ボクもありがたく頂戴するよ」
飛鳥は嬉しそうに言う。
「おいおい、さすがにミカンコもそこまではしねーだろ」
「いや、世の中何が起こるか、わかったものじゃないからね」
ふっくらした女性的な眼縁を意地悪そうにさせて、飛鳥は上目遣いに俺を見てくる。そして「ほら」と、ふいに指さす向こうでは、校門から入ってきた野良犬にひとりの女子生徒が付きまとわれて、困っているようだった。
「ん? あのでかい尻…」
遠目にもはっきり分る、アリオである。
はて、その足元に纏わりつく犬種はなんだろう。ずいぶん小さなワンちゃんであったが、あのくらいなら俺も怖気ずに済みそうだ。
なんたって俺は犬に吠えられてしまうと、足がこわばってビビり散らかす質なので。
アリオを助けるために俺が前へ出ようとすると、そのすぐ脇を、ごうっと風のように何かがするりと抜けていった。
目をぱちくり向けたら飛鳥である。
その飛鳥が、俺の前でとうせんぼうをしている。
「久場くん、騒ぎになったら面倒だ」
久場はだまって頷くと、ぐっと広げた両の腕を振るい、胸の前で大きな柏手をひとつ、ぱあんっと放つのだった。
まるで発破のようなその音は、びっくりするくらい俺の内耳でくぐもって、やや乱れがちに木霊した。
それと一緒に、まるでトマトをそうするように、遠くにいる子犬が縦にぷしっと潰れるのである。
心になんら準備もなく、そんなおぞましいものをいきなり間近で見せられてしまったギャル嬢は、あわあわと尻もちをついて大変だった。
俺たちが駆け寄るあいだに、アリオは両手を地面について這い起きてくる。声をかけると、痛いほど俺の腕をぎゅっとつかみ、そしてまた振り返って、潰れたまま直立している子犬を凝視した。
「なんか、いきなり…」
そこまで喋って、鋭く金切り声を上げた。
抑制を欠いたその口を、俺は慌てて塞ぐのである。
「おいおい、いきなりなにをしやがってんだよ、久場は」
自分が希人であることを知り、様々な神秘を見せられ驚嘆していた頃にくらべ、俺もいくらかは冷静にしていられた。
「狗なんだよ。犬の狗」
飛鳥はなにか面白いものでも言ったつもりで、くすりと笑う。
その証拠として示されたもの―――頭を潰されてもなお、子犬の腹の臓器だけは、まだまだ元気に蠢いているのだから。
「今どきめずらしいね、ほら、内臓だけがまるごと狗なんだよ」
「うん、僕もひさしぶりに見るなあ」
まるで施設の前でお年寄りたちが交わすような、そんな長閑なふたりの会話。まだ役得と知る前の俺は、片手でアリオの尻を揉み抱えながら、恐る恐る聞いてみた。
「おい、狗って、こんなグロいのもいンの?」
「ねえハンチ、頭で想像できるものなら、ほぼなんでも存在すると、普段から構えていた方が気も楽だよ」
「マジ、なのかよ…」
近づくと、のたうち回る内臓からの、猛烈な血臭が鼻を突く。
顔を顰め、寒心に堪えない様子の俺を見て、アリオがふと我を取り戻した。
「こ、これ、お化けなの?」
「お化け、ねえ」
飛鳥は久場と顔を見合わせて、苦笑した。
「それはボクら狗の定義にも関わってくる問答にもなるけれど、こんなのでも、生き物には分類されると思うな。とどめを刺せばきちんと死ぬし」
「この犬が終宿主なのかな?」
久場がちらと目をやって、飛鳥に尋ねる。
「さあ、そこまではボクも分からないけれど」
この高校の敷地すべては、俺の従者たる久場の完全な支配領域となっている。ごく希に現れる野良の狗などを、久場はこうして、人知れず処置してくれていたのである。
とにかく今は、他の連中に見つからず、まだしも安堵であった。
「こいつらは、他の強い生き物に食べられてから、それを乗っ取るタイプなんだよ。いわゆる寄生種というやつで、ほかに似たような部類では、人面疽なんかも有名だね」
飛鳥は楽しげに言う、俺たちの怯える姿が面白いようだ。
「ひょっとしたら、清澄さんを狙っていたのかもしれない。今でこそ珍しいけれど、大昔にはたくさんいて、ごく稀に、人にも憑りついていたことがあったから」
久場もそんなことを言う。
そうした共生の仕組みは、太古の昔ならばいざ知らず、現代に生きる俺などは一刻も早く自分から遠ざけて、このおぞましい内臓から、さっさと免れたいという気持ちでいっぱいだった。
「こ、これ、さっさとどっかにやってよっ」
アリオは俺にしがみついて、ひどく怯えたまま―――まだ陽のあるうちとはいえ、生き物の内臓が自我を持って動き回ることに、凄惨な恐怖を覚えていたようである。
さて、どう処分するか。
この俺も、かくも無残に肉体の破損したおぞましいものをアリオに見せ続けたくない気持ちが急に湧いてきた。
それは彼女を怯えさせ、後にその記憶を何遍も繰り返させて、苦悩のあまりうっかりよそへ知らせることにでもなったら、この奇形的な狗の噂はきっと、巡り巡ってミカンコや先生たちの負担にもなるのだろうし。
「アリオはもう見んな、忘れろ。なあおまえら、なんか袋ねえ?」
ホントは自分こそ逃げ出したいのに、そこに大きな尻があるというだけで、こうも虚勢を張れてしまう。
なんでだろね。
とにかく、俺は久場たちを玄関の奥で見つけてから、そこにあることを知っていた大きな紙袋を指さした。
「ああ、汚れた空き缶用のビニール袋なら、まだいくつか」
久場がその紙袋を下に置いたとき、飛鳥が笑って止めさせる。
「袋を無駄にしないでも、平気そうだよ。ほら、後ろ」
「え?」
大男が振り返った先では、校舎を背景に向日葵ちゃんが立っていた。
初春の黄昏、嫋やかな幼い容姿の傀儡ちゃんが腕を十字に構えている。その向日葵ちゃんの唇から「任せて」と聞こえてきた合図の声、それが、飛鳥が平気と言った意味らしかった。
周囲の景色が、すべて向日葵ちゃんの構える手刀に吸い込まれていった、と思うや、その中心でなにかが閃く。
目を凝らしていた俺は、次の瞬間、その眩しさに当てられ、ぎゅっと瞼を瞑って下を向いた。
「うひゃあ!」
空間を裂いて現れた光の束が、狗のいた場所を、もう大地ごと貫き通す。
まさか、いつものあの可愛いお口からではなく、その手刀から火扇筒のビームが飛び出してくるとは思わなんだ。
正確に狗だけを捉えて、きれいさっぱり消滅させている。しかも穴のできた周囲には、どろどろと陶器の端くれまで出来上がるほどの熱量なのである。
ひょっとして、これが丹造さんたちの改良したという仕掛けなのだろうか。
飛鳥や魔人であるはずの久場さえも、あ然とした顔を向けて向日葵ちゃんを見ていた。
「滅却した、よ」
その向日葵ちゃん、得意満面な顔で、ひとり微笑んでいるのである。




