『非常赦の詔書の草案の速記のこと』速記談2046
非常の赦は、朝廷の大事の際や天変地異の際に行われるものであるが、赦免される当の人にとっては、この上ない喜びであるので、右大臣藤原師輔公の流れをくむ方々は、詔書の草案を奏上するとき、裁可があって清書に入る前、もっと言えば、草案の草案が速記で書かれた段階で、赦免される当人に対し、そのことを連絡してあげるのだという。
教訓:藤原師輔は、関白太政大臣藤原忠平の次男であり、本来は家督相続をする立場にはなく、兄の左大臣実頼は、娘を入内させることはできたものの、男子が生まれなかったため、藤原北家の嫡流は、弟の師輔の九条流に確定していくのである。ちなみに、有名な道長は、師輔の孫。三郎であった道長が家督を相続できたのは、師輔が弟なのに藤原北家嫡流となったことと無関係ではない。