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50話

 あれから力と魔法の派閥は和解に向けて話し合いが行われた。しかし、力と魔法の派閥が手を取り合って協力するというのはこれまでのいがみ合いから簡単ではない。それは皆分かっていた。だから、この国に攻め込まれた際に3つの派閥を混在したチームを作って戦う事に決まったのだ。


 反対意見もあったがアークリーはこう言った。


「この国を守りたい気持ちは皆同じじゃ。その時がくれば嫌でも協力するはず、そうしてお互いを助け合い、少しずつ打ち解けていくしかない」


 そんな時にエストさんからある提案がなされたのだ。それは装備を自分達の物を使ってもらいたいと言うのだ。エストさん達はこの時の為に密かに力や魔法使い用の装備を作っていたらしい。


 話し合いが終わるとアークリーは俺に頭を下げて周りを驚かせた。


「改めてお願いする……この国を守る為に力を貸してくれ……」


「当然だよ……アークリーには借りがあるからね」


 断るきなどさらさらない。


「ありがとう……」


 精神世界世界から帰って来ると室内にいた各派閥の代表は俺を驚いた顔で見ていた。


「まさかあやつがあそこまでするとはな……」


「先生があんな風にするなんて初めて見ました……」


「あんた相当旦那に認められてんだな」


 驚いた顔をした派閥の代表達に話しかけられた。


「アークリーとは8歳の頃からずっと一緒にいたんです。だから私の家族のようなものです。家族のお願いを断ることなんてできる訳ないじゃないですか」


 俺の言葉に3人は何故か涙を流している。


「感動した! 俺達は全力でこの国を守ると君に忠誠を誓おう!」


「はい! 私達魔法使いもあなたに忠誠を誓います!」


「ははは! これは面白くなって来たな! アークリーの旦那を宿した救世主か! もちろん俺達も全面的に協力するからな!」


 部屋に3人の笑顔と笑い声が溢れていた。


「ではアーシェ殿、作戦等は準備ができてから聞こう! 一旦ここで失礼する!」


 ガイアスさんは大きな声でそう言うとドアを勢いよく開けて出て行った。


「では、私達も準備をしてきます」


「こりゃ忙しくなりそうだ!」


 他の二人もやる気に満ちた表情でその場から去って行ったのだった。


「本当にありがとう。君のおかげでこの国がひとつにまとまろうとしている。こんな夢見たいな事が実現すると思うと……」


 アーシェさんは言葉を詰まらせ、泣いていた。それを見ているとアークリーから伝言を受けた。


「アーシェさん、アークリーから伝言です。この戦いが終わってからはお前の手腕にかかっているのだ。お前ならできる。そう信じているよ……だそうです」


「お父様……うっ……うっ」


 

 嗚咽を漏らすアーシェさんを部屋に残し、すぐに美沙の元に急いだ。


「セイナ!」


「フェルナ!」


 ちょうど美沙がお父さんの部屋から出てきた所だった。


「その顔だとうまく行ったみたいね」


 美沙は俺の顔を見ると嬉しそうな笑顔を見せた。


「うん、少し休まない? 部屋を借りたんだ」


 俺は今日この城に泊まる事になっていて、ひとつ部屋を借りていた。


「うん、そうね。休める時に休んだほうがいいかもね」


 俺はその部屋に美沙を連れていく中で先程の顛末を話した。すると美沙は俺のカッコいい所を見たかったと嘆いていたのだった。


「まるでスイートルームね。お姫様になった気分!」


 美沙は俺が泊まる豪華で広い部屋にウキウキになってはしゃいでいた。


「……美沙、こっちに来て」


 俺はベッドに座ると美沙を呼んだ。


「どうしたの?」


 俺の横にちょこんと座る美沙は首を傾げて俺を見ていた。その愛おしい姿は抱きしめずにはいられなかった。


「ほんとにどうしたの?」


 いきなり抱きつかれて美沙は少し驚きつつも心配するように俺の顔を覗き込んできた。


「うん、実はさ……」


 俺は自分の種族のことを美沙に話していた。それをこの後アークリーから聞くつもりで、そう思った時に少し怖くなっていたのだ。


「そっか、だから少し震えていたのね……」


 美沙は俺の頭を優しく撫でてくれた。


「私も一緒に聞いていい?」


「うん、もちろんだよ」


 俺は美沙と共にアークリーの元に向かった。


「待っておったぞ」


「聞きにきたよ。俺の種族がなんで滅んだのか教えて」


 アークリーは真剣な目をして静かに話し始めた。


「お主の種族の名はアンデラ族、またの名を神界の民と言われていた」


「神界の民?」


「あまりに人間離れした魔力から神に近い存在だとされていたのじゃ」


 確かにあの村から出てから何回か思ったことはあった。それはこの世界の人との魔力の違いだ。


「そんな存在だと思われてるのになんで……」


「自分より強い者がいれば邪魔に思う者もおる。特に野心が強い者ほど将来自分の野望の妨げになると思ったのだろう」


「何もしていないのに……」


「本当に嘆かわしい事じゃ。そしてそれは起こった。とある国がアンデラ族狩りを始めたのだ。アンデラ族が世界を支配しようと企んでいるという名目でな」


「ひどい……じゃあはるとの祖先は何にもしてないのにでっち上げの理由で狙われたって事?」


 アークリーは頷いた。


「アンデラ族は元々数が少ないのもあって助けてくれる味方がいなかったのじゃ。多額の金をかけられると瞬く間に話は広がりアンデラ族は姿を消していった……」


「じゃあ俺の育った村は……」


「多分逃げ延びたアンデラ族だろうな。元々アンデラ族はここから離れた場所に集落を作っていたがアンデラ狩りが始まると大勢の兵士達に襲われた。あの村の位置は集落から一番遠い場所だ」


 一番遠い場所に逃げたのか……そして何も無い所から皆で助け合って……頑張って生きてきたんだ。


「今はもうアンデラ狩りは終わり、それがあった事実さえも忘れられようとしている」


「ねえ、もしかして今度襲ってくる国って……」


 突然美沙が何かに気付いたように口を開いた。


「そう……アンデラ狩りを始めた国……ベルセレ王国じゃ」




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