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38話

 アークリーの話を聞いたものの俺には理解が追いつかず頭にはハテナマークが幾つも浮かんでいた。それは俺以外の人とアークリーが話せる方法についての事だった。


「ごめん、よく分かんないや」


 もう少し分かりやすく言ってくれないかな〜


 アークリーの話だとこの世界でひとりだけ使える魔法があるらしい。その魔法があればかけた相手と精神世界で会話できるのだという。


(そうじゃな、魔法をかけた相手と夢の中で会うようなものと言えば分かるか?)


 そう言われると分かるような気がする。


「なるほど、それでアークリーは使える人を知っているの?」


(それがな……)


 その魔法を使えたのがなんとアークリーの奥さんだと言われ、俺は衝撃の事実に驚いた。


(ワシがそれを知ったのが死ぬ前日でな……意識のなかったワシは突然誰かに呼び出されたのじゃ。そこに妻が現れた時は大いに驚いたものじゃ、奇跡が起こったのだとな。そこで彼女と別れを惜むと最後にこう言っとった。この魔法はワシと娘しか教えていない事、そしてこの世を去る時は自分が生きた証として魔法石に残しておきたいとな)


「じゃあアークリーの奥さんがいれば俺以外の人もアークリーと話せるって事か」


(これはまだ確証は得られんが恐らくお主がその魔法をかけるかかけられればワシも一緒に行けるはず……彼女がまだ生きていれば良いんじゃが)


「じゃあもし美沙にその魔法をかけたら3人が夢の世界で話せるようになるって事で良いんだよね?」


(そうじゃ、試してみる価値はあると思うぞ)


「ちょっと私にも説明して!」


 蚊帳の外に置かれていた美沙が痺れを切らしたのか、ゴネる子供のように俺の手を引っ張りながら大きな声で言ってきたので今の会話の内容を聞かせた。


「へぇ〜 凄いじゃん! でも、何処に行けばいいの?」


 美沙はすぐに機嫌が直り、楽しそうに話に乗ってきた。


「えっと、アークリーのいた所ってバーレーン王国って言うんだ」


「え……ちょっと待って!」


 美沙はバーレーン王国の名前を聞くと何かを思い出したのか、目を瞑って黙ってしまった。


「そうだわ……確かお父さんが家を出ていく時にそんな名前を言っていた気がする」


 もしも美沙のお父さんがバーレーン王国に行ったとしたら都合が良い。一石二鳥どころか一石三鳥になるぞ。


「明日にでも行こう。アークリーの家族に会えそうだし、美沙のお父さんも探せるよ!」


「決まりね!」


 俺はアークリーを家族に会わせられる喜びと美沙のお父さんを探せる嬉しさでテンションが上がると美沙が嬉しさからか、大きな声で俺の意見に同調した。


(そうか! それは楽しみだのう!)


 それを聞いたアークリーの嬉しそうな声も聞こえ、ふたりの期待に応えたい俺は絶対にやってやると意気込んだ。



 レンは久々に帰ってきた姉が僅か2日という短い時間で帰っしまった事に少し残念な気持ちを隠せないまま姉の築いた隠れ家を訪れた。姉から管理を任されたこの場所はレンにとって居心地のいい場所となっていたのだ。


「もう少し話したかったな……」


 昨日姉がここで作業していたらしく机には一輪の花が飾られている。それを見たレンは後悔をため息と共に吐き出した。


 それでもレンは姉の姿を思い出すと頬が緩んだ。


 久しぶりに見た姉の姿は前よりも美しく成長していたが、前と雰囲気が変わっていない事がレンにとって一番嬉しいことだったのだ。


「あと一年……」


 レンは早く一年が過ぎる事を強く願った。一刻でも早く姉がいる場所に行きたいと思えば思うほど歯痒い。


「そうだ……」


 ふと、昨日姉に貰ったアクセサリーが視界に入ると少し急足で外へ出ていった。


 レンは首にぶら下がるアクセサリーについた青い石を握ると姉に言われた事を思い出す。


「レン、これは魔法石って言って、この石にこめられた魔法を使えるの。使う時は誰もいない所で試してね」


 レンは周りに誰もいない事を確認すると姉に教えられたように魔法石を使ってみる事にした。


「な⁉︎ くっ⁉︎」


 レンは体が浮くという今まで経験したことがない感覚に驚くと、次の瞬間その類い稀なる身体能力で体制を整えた。


「なるほどな……」


 姉が忠告していた意味を知るとレンは微笑んだ。


「本当に姉ちゃんは分からないな」


 レンは小さい頃から姉が何か不思議な力を持っているように思えた。次々に周りが豊かになっていくのは姉が何かをしているのだろうと信じて疑わなかったのだ。


「よし、これを利用すればまた強くなれるぞ」


 レンは姉の自分を見る時の優しさに溢れた目が好きだった。あの笑顔を守りたい……それが今日まで自分を突き動かしてきた原動力そのものだった。


「もっと強くなるから待っててくれ、姉ちゃん」


 レンはいつも以上にやる気が満ち溢れると過酷な場所での訓練をする為、高い山を登り始めたのだった。


 この時姉は知らなかった……レンが毎日血の滲むような訓練を重ねて世界最強の戦士に近づいていた事を……


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