オノマトぺグループ
12話続き
私はユーからのおしゃべりへの招待状を受け取った。
その連絡を受け取ってから私はお風呂に早く入ることにした。
「しよう、お風呂とか色々終わってからでもいい?」
午後 20: 24
私は生ぬるくなってきた廊下を歩き、左側にあるスライド式のドアを開けてそこに位置している脱衣所へと入る。
どこで買ったか忘れた無地の白いTシャツを脱ぎ、グレーのハーフパンツを次に脱ぐ。
脱衣所の洗面台に取り付けてある三面鏡に目をやった。
そこにあらわになっているのは、ワコールの紺色下着を身に着けている私がいる。
少し鏡に首をかしげながら近づいていく、そして目を細めて自分のお腹を触ってみる。
自分でもビックリするほど、なんというか肉感がある。
いつの間に肥えたのだろう。そのまま手を横腹にスライドさせていくとより鮮明に感じ取れるようになってくる。
触り心地は良いのだが、私はブクブクとなっていく自分に怖くなりそっと手を離した。
「太ったな、、今年の健康診断でも増えてたもんなぁ。。」
(そろそろ、ジムにでも行こうかな)
そう思案しながら、少し強めに風呂場の密閉されているドアを押して入る。
今度はムチムチな日焼けのしていない脚が水垢のついた別世界に映し出された。
きっとこちらの世界では違うのだろうと願う。
自己嫌悪に陥りそうだと悟り、即座に踵を返した。
もう一度密閉されたドアを今度は少し強めに引き、ひとまず脱衣所に戻った。
洗面台の前で屈み、戸棚を開ける。
お腹の肉がミルフィーユ状になっているのがわかる。
だけど気にせずに、ガサゴソと音を立てながら探し物をする。
「あった」
一人暮らしを始めてからというもの独り言が増えた。
手に取ったのはいつぞやにガチャガチャで引いて以来ハマっているキャラのバスボムだ。
ビリビリと袋を力いっぱい開けて青い球体を取り出す。
袋の裏にキャラクターのラインナップ表が乗っていることに気づき、一通り目を通した後目星のデザインが出たらいいなと思いながら袋を近くにあったごみ箱に捨てた。
浴槽に青色の球体を宝利投げるようにして入れると、みるみるうちに発砲していく。
それを眺めていたらさっきの悩みも泡と一緒に溶け出していく気がした。
結局湯船にキャラの人形が浮かびあがってくるまで結局見続けてしまった。
少し指の腹がふやけている。立ち上がると少し立ち眩む。
少し前まで生理だったせいかもしれない。貧血気味だ。
給湯器の温度を43度に設定する。
熱すぎるくらいの温度が私は好きなのだ。
シャワーを湯船に浸ける。
温かくなるまで少し時間がかかるし湯船の誤魔化しにもなるからお得だ。
湯船から銀色に光り輝く、キングコブラのようなシャワーを引き上げる。
顔に当ててから順に少し豊満になった胸、二毛作した三角州、脚、外反母趾の足へと流していく。そこからキューティクルを失いつつある髪の毛を洗いはじめる。
少し指どおりが悪いことにいら立つ。
私がくせ毛なのが大きな要因だろう、この前美容院に行ったのもあの面接のとき以来行っていないから縮毛矯正しなければ。
最近使っているシャンプーはベルガモットの香りのするものを使っている。
とても上品な香りで気に入っている。リンスとセットで買った。
頭をゴシゴシと洗いながら、泡立つようにモクモクとユーのことを思い出す。
「あ!忘れてた!」
急いで、頭を洗い流し体も軽く洗う。
風呂場から駆け出すように出ようとするが、青く濁った湯船が視線に入った。
せっかくバスボムを入れたのに無駄になってしまう。
第一まだ溺れている人形を救出できていない。
あたふたしたのち、ユーには悪いがあと30分くらい入らせてと心の中で言って外反母趾のつま先から水面に触れていく。熱い。
肩まで浸かりふうーと息を吐くと一気に浮遊感を感じる。
少し眠たくなってあくびをする。
身体とは相反して瞼が重くなる。
口元が湯船につかりブクブクと息苦しくなった時に目が覚めた。
ハッとなり慌てて、給湯器のパネルに目をやる。
時刻が表示されている。
23:25
ユーに返信してから既に3時間が経過していた。
いつも長風呂なのだが、さすがの私でも最長記録だ。
湯船から再度体を起こし、立ち眩みと視界が暗くなるのを併発しながらどうにか意識を保ち、どうにか脱衣所へとたどり着く。
身体を拭いたタオルを一旦ターバンのように頭に巻き付け、「創世記」の登場人物のような姿で「禁断の果実」でメッセージを送る。
「ユー起きてる?ごめん遅くなっちゃった。」
もう待ちくたびれて寝てしまったかもしれない。
黒のユニクロのブラとパンツを着て、その上にTシャツと高校時代のジャージを着る。
ドライヤーで胸の上あたりまで伸びてきた髪の温風を当てる。
同時に化粧水と乳液をぴしゃりと少し荒々しく、干ばつした肌に当てていく。
まるで吸収性ポリマーのようだ。
次にヘアオイル、ボディクリームを腕や足にのばす。
このルーティーンをしないと気が休まらない。
最後ににシャカシャカと青色の歯ブラシで歯を磨く。
Sambaを開くとユーからすぐに返信が来ていたことに気づかなかった。
「おきてるよあ」
午後23:28
「おしゃべりしよ」
午前0:15
洗面台の電気を消して、脱衣所の常夜灯も照らすものを見失う。
湿気で汗ばんだ体で生ぬるい廊下を裸足でペチペチと足早に戻る。
リビングに戻るとその奥にある寝室に入る。
ブランケットは昨日の私がいた形跡を残したままだ。
スマホを寝具に備え付けてある充電器に挿して、もう一度アプリを起動する。
もう電話をかけていいのかと聞かれていた。
いいよと返事をして、スマホがブー、ブーとうなり始めた。
時刻は夜中の0:20になっていた。
お互いに最近食べたものの写真を送り合いながら、話した。
ユーはハワイアンバーガーのこと、私は中華街の後馬車道にある有名なかき氷屋さんもことを。
そのあとは私がボンタンアメというものを知らなくて、ユーは写真付きでどこにでも売っている有名なお菓子で、これがおいしいのだと力説してくれた。
なんだかテレフォンショッピングのような感覚になった。
あまりに熱心に言ってくるものだからそれがなんだか微笑ましかった。
私はそんなかわいらしい君を注文したいと思った。
私があくびをしながら眠くなってきたことを伝えて、今日は終わりにしようかと切り出す。
わかったと販売員にしては聞き分けのいい返事で引き下がった。
私は「おやすみユー」と一言添え電話を切った。
おやすみ月さんと耳にしたあと私はスヤスヤと眠りについた。




