scene7 濰水の戦い
濰水の戦い・1
翌朝、韓信軍は進発し。龍且軍と、濰水という河を挟んで対陣した。
空は憎たらしいほど、蒼天が広がり。絶好の戦日和。
照りつける太陽の光を受け、源龍は蒐弐十の馬上、股夫剣を握りしめ、いまかいまかとはじまりの時を待っている。そのかたわらで、羅彩女はじっと横目で源龍を見据えていた。
名ばかりのはずの赤黒鴛鴦は、ついに本当の鴛鴦になった。というわけではなかった。その目には、憎悪があった。
愛しているわけでもなし、血の沸き立つを抑えるためだけに己の肉体をむさぼった男を、なんで愛せよう。
それ以上に、手も足も出なかった己にも憎悪した。
源龍は視線を感じ、羅彩女に一瞥をくれる。
「憎まば憎め」
それだけを言うと、顔を背け、対岸の龍且軍に熱いまなざしを送る。
そんな源龍に、羅彩女は長い黒髪が総毛立つほどに憎悪を増し。那二零も主の炎情を感じ取ったのか、やけに鼻息も荒い。
貴志は無言で回七の馬上、はじまりの時をうかがっている。
対岸の龍且軍も、号令を待ち焦がれて韓信軍を対陣する。
韓信も、龍且も、濰水を挟んで。獲物を狙う狩人のように、号令を下す機をうかがう。
この時、周囲は異様な熱気と殺気にみなぎり。河は両軍の熱気により沸騰するかと思われた。
蒼天より風が吹きおろし、旗をはためかせ。旗は命あるもののように、風を受け激しくはためく。
河は幅広けれども浅く、馬や徒歩でも渡れそうだ。それを見て、韓信はにやりとする。
龍且は大刀をひっさげ、相手の陣容が整うのを待っている。敵の陣容整いきらず、いまこそ絶好の機会であるというのに。血気にはやる家来たちを制し、相手の動きをまるで蟻の行列を好奇心いっぱいで眺める童子のように眺めていた。
「ふん、所詮は股夫韓信。やつは戦の仕方を知らぬと見える。なんじゃあの動きののろさは」
と、号令を待っている家来に呵呵大笑し。相手を嘲った。
しかし相手は常勝将軍韓信、何かの策があるやもしれませぬ、ご油断あそばされますな。と斉の士が言うが、龍且は聞かない。
「常勝? ふん、まぐれじゃろ」
と、簡単に済ます。
韓信は自軍の陣容が整うと、
「戦鼓を叩け。軽くな」
と戦鼓を軽く叩かせた。
どおん、どおん、と戦鼓の音は空に漂うさざなみのようにゆれ。いよいよか、と全軍身を引き締め出撃の号令を待った。
対岸より戦鼓のひびきつたわるや、龍且も戦鼓を叩かせた。こちらは威勢もよく、空も揺れよと鼓の音も高らかに。
それから銅鑼の音が、戦人たちの咆哮が加わり、嵐が来たるように激しく上下する旋律は聞く者の心をゆさぶり鼓舞する。
それを聞いた韓信軍の兵の一部が、恐怖をきたし、恐れを口にしだした。どうも対岸より響きわたる戦鼓、銅鑼の音に怖じたようだ。
人の感情は、あっという間に感染を広げる。そばにいた貴志はとっさにふところから笛を取り出し、全魂を込めて吹き奏でた。
笛の音は対岸の嵐のような旋律に飲み込まれることなく、高らかに鳴り響いた。笛を吹くときは、いつも麻離夷を思い浮かべる貴志であったが、このときばかりは脳裏に香澄を思い描いていた。
蝶のように舞いながらも、その剣技至高にして七星剣の剣風に続いて血風吹きすさぶ。
楽譜もへったくれもなく、脳裏に閃くままに、貴志は笛を吹き奏でた。その音は烈風のように激しく、ひるむ者の臆病風を吹き飛ばし。鼓膜を突くように耳に入り込んでくる。
突然の笛の音に驚いた源龍と羅彩女は、その笛の音によってひるむ兵が鼓舞されてゆくのを見て、我知らず感心していた。のみならず、自分たちも笛の音に鼓舞され血が沸き立ってくる。
驚いたのは韓信もだった。
「あらら、余計な世話遣いをするやつだ」
苦笑をもらす。
進発の直前に作戦は伝えている。あまりにも血気にはやりすぎては支障を来たしかねないので、戦鼓を抑え目に叩かせたのだが。しかし本当に臆病風に吹かれてしまうやつもいるようなので、これはこれで効き目があるようなので、貴志の吹かせるに任せた。
そうするうちに、笛の音は戦鼓、銅鑼の音とまじわり、大きく広がってゆき。ついには風に乗って、対岸にも聞こえた。貴志はそのことに気付いておらず、ただひたすら、ほとばしり出る己の魂を笛を経てその音色にかえていた。そうでもせねば、己が得体の知れない恐怖に飲まれてしまいそうだった。
龍且は自軍の銅鑼、戦鼓の音を貫かんがばかりに駆け抜ける笛の音を耳にし仰天したが。
「戦は戦人で勝ち得るもの。楽人いかに心魂そそがんとも、何ぞ戦人の進むを阻めよう」
とことさらに大笑し、嘲った。
「もうよいもうよい。小癪な蟻どもを踏み潰してしまえ」
戦鼓、銅鑼の音一層高らかなるとともに、獣の雄叫びをあげ、ついに龍且軍は進みだし。河を渡って、韓信軍に突っ込んでくる。
「よし、いけ」
相手の動きに合わせて、韓信も号令を下す。
双方河に飛び込むように押し入り、戦刃を交える。源龍は勢いよく敵を股夫剣で血祭りにあげてゆくが、貴志はすぐに回七を飛ばしてそばにゆき。
「調子に乗るな。後の楽しみにとっとけ」
と怒鳴ると、源龍はっとして。
「そうだった」
と苦笑いをし、言われたとおり調子に乗らず凶刃をかわしながら蒐弐十を泳がせた。羅彩女は物言わず、憎悪の目を源龍に向けたまま那二零を同じように泳がせる。
対する龍且、韓信軍の勢いにふれるにつけ、やはり弱しと安堵し。
「押せや、押せや」
と真っ赤に染まった大刀を振りかざし突撃を命じた。これには韓信軍ひとたまりもなく、あっという間に崩れそうになった。
龍且のその強さはやはり本物で、真っ向から真正直にぶつかって勝てる相手ではなかった。源龍はその龍且を見定めると、咄嗟にそれを討ち取らんと駆け出したくなるのだが、ぐっとこらえて距離をとった。貴志はもとより龍且など相手にしない。
戦刃をまじえてさほど刻も経ってはいないのに、中軍にある韓信は龍且の怒涛のような勢いが自軍を飲み込もうとしているのを見て。
「引け」
と退却の号令を下す。
韓信軍は待ってましたとばかりに、河から這い出て後ろに引き。それを龍且軍が追った。口ほどにもない、と龍且はさらに押し寄せる中で、あの時、項羽に挑みかかった浪人を見つけた。
「あれは」
と後を追えば、間違いなく、あの浪人であった。
「待て、いつぞやの匹夫。所詮はうぬも韓信と同じ股夫か」
と呼ばわるも、浪人は知らぬ顔で背中を見せる。が、無論源龍がそれを聞き逃すわけもない。
(覚えていやがれ)
と心で言い返し、韓信の号令のまま逃げてゆく。
斉の士の面々は、今まで連戦連勝を遂げた韓信軍がこうもあっけなく引き上げてゆくことに、どうにも納得がいかず。龍且殿、これはあやしい。あまり深追いせぬがよい、と諌めるものもあった。
しかし、
「うるさい。韓信韓信とまるで呪詛のように繰り返しおって。そんなに恐ろしいなら、もうかまわんから、うぬらは残っておれ」
鬱陶しいとばかりに、斉の武士たちに怒鳴りつけ。どんどんと進んでゆく。勝利を確信した龍且は手綱をゆるめず、大刀を采配代わりにかかげ。
「押せや、押せや」
とひたすら声を張り上げ、自軍を叱咤し激しく追撃させた。源龍は龍且の怒声を聞くにつけ、血がふつふつと沸き上がるのを覚えたが、韓信の命もあり、それを抑えて他の兵とともに引く中にあっても。
取って返し、龍且と戦いたいという気持ちは、ますます募るばかりであった。
そのため、心に一片の乱れが生じ、それは湖面の落ち葉で起こった波紋のように広がった。ために手綱はゆるみ、蒐弐十は主の気を察してにわかに速度を落とす。
そこへ、得たりとばかりに、敵の大薙刀が蒐弐十の馬脚を横なぎに凪いだ。
「あっ」
蒐弐十は崩れ落ち、源龍は咄嗟に受身をとって着地したものの。脚を斬られた蒐弐十は苦しそうにうめいている。
そこへ、ここぞとばかりに龍且軍の軍兵が襲い掛かる。源龍は股夫剣を振るいそれを追い払うも、蒐弐十はなすすべなく、黒鹿毛は朱に染まり、源龍に悲しそうな眼差しを送り。
とどめの一刀が脳天を叩き割ると、蒐弐十は悲しげな断末魔をあげて、こと切れた。
「蒐弐十!」
源龍は百年の知己を失ったがごとくに叫び、悲憤やるかたなく股夫剣を振り回し、敵兵という敵兵を薙ぎ払った。だがさすが二倍の兵力を要する龍且・斉連合軍は、斬っても斬ってもきりがなく、続々と源龍を蒐弐十に続かせんと迫ってくる。
濰水の戦い・2
全身に返り血を浴びながら怒れる源龍ではあったが、周囲を見渡せば韓信軍はかまわずに遠ざかってゆく。ここで討たれてしまえば、所詮はその程度のことである。運悪く緒戦で命を落としたものなど、誰も気にも留めない。
「無念」
さすがに、源龍も覚悟を決めて、最後出来るかぎりの道連れをこさえようとしたときであった。遠ざかってゆく韓信軍より、一頭の赤鹿毛が取って返してきたかと思えば。
「乗りな!」
羅彩女は怒鳴りながら愛馬から飛び降りざまに、敵の騎兵を倒しその馬を奪う。軽くなった那二零は疾風のように疾駆して、あっという間に源龍のもとまでやって来たではないか。
羅彩女が、なぜだ。と思いつつも、うかうかしてはいられない。咄嗟に那二零に飛び乗ると、韓信軍目掛けて駆けた。それに羅彩女が続く。
「こいつは」
源龍は疾風のように駆ける那二零の、その馬脚に驚きを隠せない。まるで自分までが風になったようで、全身で風を打ち砕いてゆきながら、周囲の景色までが吹き飛んでゆく。
振り返って、後にようやく続く羅彩女に怒鳴った。
「お前これで徒歩立ちの俺に負けたのか!」
「しょうがないじゃないか、あんたが相手だったからね!」
ぱん、と張りのある声が返ってくる。なんだか変に嬉しそうにしていて、かえって当惑を覚えずにはいられなかったが。羅彩女は他の馬に乗って、改めて那二零のその駿馬ぶりに驚嘆をし、且つ源龍がそれを見事に乗りこなしていたことにも驚嘆していたなど、知る由もない。戦場のせいなのか、自分を手篭めにした男に愛想がいいなど、どういうつもりだろうと、妙に苦々しかった。
「まったく、まったく、どうしようもねえな!」
「ああ、どうしようもないね!」
「お前、俺が憎くはないのか」
「憎いさ。だけど、あたしを手篭めにした男が弱い男だったなんて、かっこつきやしないからね。那二零に乗せてやったんだ、最低でも龍且を討ち取るくらいしなきゃ、股くぐらせるよ!」
なにを言やがる、と思いつつも、女心など知らず。ただ、無言で頷いた。
この退却の最中、韓信は龍且軍の深く追うを見ると、
「ようし、今だ!」
と号令すれば、配下のものはすかさずあらかじめ用意していた火矢を空高く打ち放てば。それを合図に、遠方で狼煙が上がった。それは今のこの戦場から河の上流に向かって幾筋も、空へと立ち昇った。
「なんだ?」
龍且軍は、突然昇る狼煙の煙に不思議そうにしていたが。しばらくすると、河の上流から、何か、崩れ落ちてくるような激しい音が空を揺らした。かと思えば、どっ、と濁流が河を横切る龍且軍のわき腹を突いた。
たまったものではないのは、河にいた兵たちである。数万とあろうかと思われた兵馬は、なす術もなく濁流に飲み込まれて、押し流されていった。
「や、や、これは」
まさか突然の濁流があるなど知らなかった龍且は、後方で起きた異変に驚くあまり。なにが起こったのか、咄嗟に判断できなかったが。
二十万の軍勢の多くのものは濁流に流され、またこの濁流により分断されてしまい、龍且はにわかに背水の陣に追いやられてしまう羽目になった。
韓信の策を恐れていたものたちは、やはり、と不安が的中してしまったことに恐れをなしわれがちにと逃げようとする。
してやったり!
韓信は会心の笑みを浮かべると、馬首を反し。
「かかれ。龍且を討ち取れ」
と大喝一声。反撃を命じた。
前夜、別の一隊を上流に向かわせたのは、土嚢で河を堰き止め、溢れさせていたのだ。両軍の間に流れる河が、広くとも浅かったのはそのためで。韓信は、緒戦で負けを装い河を渡らせ、その大部分が渡河すると狼煙の合図をもって土嚢を除かせ、堰き止めで溢れてた河水を一気に下流に押し流させたのであった。
韓信の計により、にわかに作り出された怒涛で龍且軍は完全に軍としての機能を失い。まるで土の塊が地に落ちて砕け散るように、崩れてゆく一方であった。が、そこはやはり龍且であった。
「こうなれば是非もない。韓信、うぬらを道連れにして死してやろうわ」
決死の覚悟を決め、大刀を振るった。勢いに乗った韓信軍ではあったが、手負いの獣と化した龍且を阻むことは出来ず、大刀唸るところことごとく血煙をあげるのみであった。
「真正直にぶつかることはないぞ。矢で射殺せ」
剛勇をもって鳴る相手に無理をせず、韓信は弩弓でもって射殺そうとした。が、それへ赤鹿毛が猛烈な勢いで突っ込んでゆく。いかん、と慌てて韓信は弩弓隊を下がらせ。赤鹿毛の武者が龍且へとぶつかってゆくのを凝視した。
これなん羅彩女から那二零を譲られた、源龍であった。股夫剣を閃かせ、
「おおぉ!」
空も裂けよとばかりに咆哮しながら、一陣の風となって龍且を討ち取ろうとする。赤鹿毛の馬脚も加わって、その勢い凄まじく、途中阻むものもあったがことごとく股夫剣の餌食となって。
血風戦場を駆け抜けた。
「む、来たか匹夫。まずうぬから血祭りに上げてくれよう」
龍且もまた声高らかに吼え、源龍を迎え撃とうとすれば。
「龍且!」
源龍はその名を声高く叫んでよばわり、股夫剣を唸らせ渾身の力を込めてぶつけようとする。
「匹夫、我が主の身を汚すこと許さず」
させじ、と主龍且の助太刀に馳せ参じるものもあったが、それは羅彩女の軟鞭によって顔面を打ち砕かれ、地にもんどりうって斃れた。そこへ貴志も加勢し、
「何人たりといえど、この一騎打ちの邪魔をすること許さず」
と二騎相打つ英傑の周囲を駆け巡り、誰も近づけさせなかった。
そうする間にも、源龍と龍且は激しく刃をまじえ。双方より烈火迸るほどの気迫は見るものの胆を縮めさせ。
火花散る激闘数十合に及び、双方互角にしてなかなか決着はつきそうになかった。馬もまた闘うこと人と違わざるもので、いななきは剣戟の響きとまじわり空を揺るがせ、蹄地に踊るたびに黄塵が舞いあがり、剣風はそれを吹き飛ばし。あたかも、そこで竜巻が起こったかのようだった。
韓信は、いつぞやのときと同じく、龍且と互角に渡り合う源龍に驚いたものだったが。半ば苦い思いもしていた、
(血気に逸りすぎだ。惜しいかな、あいつは戦場よりも江湖が似合う剣客だ)
戦は総力戦である。いかにその腕優れようとも、ひとり先走るもののために統率が乱れてしまえば、元も子もない。
江湖暮らしが長く、ひとり自由に生きすぎた。韓信は源龍をそう見た。
幸いなのは、龍且が源龍との一騎打ちに興じて軍の統率が取れていないことだ。その隙に、韓信は雑魚どもを始末する。
それから、源龍が龍且を討てばよし。さもなくば、矢で射殺すまで。
勢いに乗った韓信軍は銅鑼、戦鼓の響きもけたたましく。また人工的な鉄砲水も功を奏し、龍且・斉連合軍にすれば、天上天下、すべてが韓信軍に飲み込まれてゆくようで。その軍兵にとって、韓信は軍神そのものに思えたであろう。
龍且もすでに勝敗決することは、わかっていた。だからこそ、死に花を咲かせようとひとり鬼神となりて、全身を朱に染めながらも奮戦していた。
源龍とて、奮戦すること、それは同じであった。剣に生きる剣士として、すべてを、今の一瞬に賭けて。
剣を得物とし、剣によって死地に自ら挑み、死地にあって己の生命を感じて。たとえそこで待っていたのが死であろうとも、生命を燃やすこの一瞬に生きることが、彼らの望みでもあり。その望みを経ての死であるなら、それももまた望むところであった。
激闘を繰り広げるふたりは、誰よりも光り輝いていた。戦いは互角、誰が勝つとも知れず、周囲を駆け巡る貴志と羅彩女は固唾を飲んで見守っていた。
だが、それも永遠に続くわけもなかった。
龍且と戦いつつも、源龍の脳裏には項羽があり、香澄があった。それらがかわるがわる閃きあって、自分を誘っている。それは暗闇の中で、一条の光りをみつけたかのようにも思われ。その光りにいざなわれるかのように、源龍の心は駆けた。
それにともない、剣風ますます追い風に乗ってさかんになり。
いかに龍且の大刀といえど股夫剣を受けきれず、ついには弾ける音を立てて、まっぷたつに叩き折られてしまった。
「むっ!」
「……おおっ!」
大刀きらりと陽光を受けながら宙を飛ぶと同時に、双方大喝して腹より吼え猛り。続いて、ぶうんと股夫剣の剣風唸れば、龍且の兜を叩き割り。
さらに顎までを割った。
「楚の龍且、源龍が討ち取った」
股夫剣をかかげて、源龍叫べば。那二零も前脚をかかげて高らかにいななき。続いて天空裂けんがばかりに、わっ、というどよめきが響き。ついに大局がここに決した。
これには韓信も思わず歓喜の声を上げた。
この戦に勝利したことで、ついに斉も平定され。項羽包囲網は完成され。漢の天下統一まで、あと一歩というところまで迫ったのである。
勝利の歓喜は湧きに湧いて、尽きることはなかった。
韓信も色々と思うことはあったが、とりあえずそれは置いといて、その夜は皆とともにひたすら勝利の美酒に酔った。
scene7 濰水の戦い 了
scene8 江湖にくだる に続く