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嘘と約束の鎮魂歌  作者: 心音
春の章
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第12話『瑠璃コーデ』


「……正直、友樹くんと和也くんのことを見くびっていたかもしれません」


 俺たちの選んだ服を着て試着室から出てきた瑠璃を見た愛桜は、目を丸くしてそんな感想を口にした。店内をウロウロしていた結羽と涼香はそんな愛桜の声に気づいて試着室の方へやって来る。

 そして、少し恥ずかしげに立つ瑠璃を視界に入れた瞬間、結羽はパチンと指を鳴らし、涼香はぱちぱちと手を打った。


「流石ともちんとかずやんだね。やっぱり二人に任せておけば間違いないよ」


「す、すす凄く似合っているよ、九條さん!」


「そ、それは良かったですわ。私もとても気に入ったので、買って帰ろうと思っていますの」


 瑠璃の購入宣言を聞いた俺と和也はパァンとハイタッチを交わす。


 俺たちが瑠璃の為に選んだ服は、春らしさのあるガーリー寄りのフェミニンコーデ。ガーリーというと、フリルやリボンが付いていて、色合いがホワイトやパステルカラー。そして全体的にふんわりとした印象を与える可愛い系のコーデ。逆にフェミニンコーデは大人の女性らしさを前面に出している。ガーリーコーデよりも、可愛いが落ち着いているのが特徴だ。

 今回はトップスに、フリル袖のふんわりとしたホワイトのブラウスを選んだ。生地をシフォン素材にして腕の辺りに透け感を出している。しかし、これだけだとガーリーが前に出過ぎてしまうせいで瑠璃のお嬢様系のイメージに合わない。だからブラックのショート丈のベストを重ねて、大人っぽいお嬢様らしさと、学生の可愛らしさの両方を加えた。

 そして、ボトムスはベストと同じブラックのハイウエストスカート。ブラウスのフリルと似たプリーツがあるスカートを選ぶことで、トップスとの親和性を見出している。


「あ、あのお二方。出来ればこのコーデに合う靴も選んで頂けると嬉しいのですけど……」


 お腹の辺りで両手をモジモジさせながら瑠璃がお願いをしてくる。

 乗り掛かった船だし、こうして瑠璃の方からお願いをしてくれるのは純粋に嬉しい。俺と和也は今のコーデに合う靴を考え始めた。


「厚底スニーカーかショートブーツがいいかな」


「友樹。瑠璃にはショートブーツの方が映そうな気がしないか?」


「そうだね。色は……うん。どうせなら合わせてブラックにしよう」


 服をメインで販売しているアパレルショップでも、少なからず靴やバッグといった小物類が置いてある。何かいい物がないかと店内を見渡すと、ニコニコ笑顔で立つ店員さんと目が合う。

 その手には探していたブラックのショートブーツがあり、店員さんは笑顔のままこちらに近づいてきた。


「お客様。こちらのショートブーツはいかがでしょうか? 春の新作で丁度在庫がある商品なんです。そちらのコーデにピッタリかと」


「レースアップブーツですね。良いと思います」


 差し出されたショートブーツは、レースアップブーツと呼ばれる靴。靴紐のように紐を交互にして編み上げているのが特徴的だ。レースアップブーツならば俺たちの選んだフェミニンコーデの大人っぽい雰囲気と、ガーリー寄りの可愛さを壊さない。


「靴は決まりだな。どうせなら小物もチョイスしようぜ。いいよな、瑠璃?」


「嬉しいですわ! お金の心配はしなくて大丈夫なので、最高の物を選んで下さいまし!」


 期待の眼差しを向けられた俺たちは再び店内を見渡してみることにした。まず目に入ったのは──


「うん。とりあえずソックスから決めようか。黒が多めだから、差し色で淡いピンクなら春らしさがが出ると思うんだけどどうだろう?」


「個人的には緑も良いと思うが……そうだな。そっちにしよう。そうしたらバッグもピンクにしようぜ」


「いいね。肩掛け? それとも手持ち?」


「ショルダーバッグ一択だろ! そこに展示してあるリボンが付いているバッグでどうだ?」


 和也が指さしたのは、バッグの中央に立体的なリボンが付いただけの全体的にピンク色のシンプルなデザインのショルダーバッグ。大人っぽいと可愛いの丁度中間的なそのデザインは中々好印象だった。


「決まりだね。小物はこれくらいにしてあとは──」


 言いながら俺は瑠璃の方へ振り向く。そして首をちょこんと傾げる瑠璃に笑いかけた。


「イメチェンしてみようか、瑠璃」



to be continued

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