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嘘と約束の鎮魂歌  作者: 心音
涼香の章
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第138話『海でやる事と言えば?』


「さて! るりりんも目を覚ましたことだし、そろそろみんなで揃って遊びたいと思いまーすっ! いえーーーいっ!!」


 握り拳を天高く突き上げて結羽が宣言する。既にテンションは最高潮らしく、全身から早く遊びたいオーラが溢れ出ていた。

 そんな結羽のテンションに合わせるキャラでは無い俺は苦笑い。でもやはり楽しい時間であることは事実。だから結羽に合わせて拳だけ掲げておくことにする。


「どんどんぱふぱふーっ!」


 よくある擬音語? で盛り上がる愛桜。

 愛桜もいつもと変わらないテンションと言えるだろう。


「うおーーーっ! やってやるぜーーーっ!!」


 まだ何をするか発表していないが?

 まぁでも……結羽がどんな遊びを考えているか分からないから、今のうちに叫んでアドレナリンを出しておくのは判断として間違っていない。


「おー」


「おー、ですわ」


 うん。涼香と瑠璃は俺と同じで良かった。

 涼香のことはさておき、瑠璃が平常運転に戻っているようで何よりだ。泣かせてしまった手前、何かしら影響が残ってしまうことを懸念していたが、おそらく涼香が心のケアをしてくれたのかもしれない。

 俺が去った後、愛桜と話をしている最中に海の家から戻ってきた涼香が瑠璃と何か話している様子だった。どんな会話をしたのかまでは検討も付かないからあれだが、紅音のことを話したのは伝わってしまっていると考えておいた方がいいだろう。


「それで結羽。今から何をするの?」


「良くぞ聞いてくれました! 海でやる事と言えばたくさん候補があるけど、ド定番且つ、みんなで盛り上がる事と言えば一択だとうちは思ったんだよ」


「ふむ?」


 パッと頭に浮かんだのはスイカ割りだ。結羽の言うド定番と盛り上がるの条件に一番当てはまっている。加えて、これならば愛桜と涼香の仲直り作戦の時に結羽が一人で買いに行っていた何か。袋の中身は最後の最後まで見せてくれなかったが、足に当たった時の感触的に硬いものが入っていたのは間違いない。おそらくそれがスイカだったのではないかと俺は予想する。


「スイカ割りかな?」


「ぶぶーっ! ともちんハズレーっ!」


 なに? 違うのか。


「スイカ割りじゃないとなると……はっ、私分かりましたよっ!」


 自信満々に手を挙げる愛桜。みんなの視線が集まったところで愛桜はウインクを決めて答える。


「潮干狩りですねっ!」


 キュルリン♪ と効果音が聞こえてきそうなアイドル顔負けのウインクだったが、確か潮干狩りは三月から六月くらいまでのイベント。今の季節に出来なくもないが、ほぼほぼ間違いなく不正解だろう。


「さーちんもハズレー!」


「そんなぁぁぁっ! アサリの茶碗蒸しぃぃぃ……っ。お味噌汁ぅぅ……あぁぁぁ……っ」


 ……この世の終わりみたいな声だった。

 どんだけアサリが食べたかったんだこの子は。他のみんなもドン引いているぞ……?


「え、えーっと……もう潮干狩りでいっか」


「いや落ち着こう結羽。気にしたら負けだよこれは」


「はっ。さーちんのあまりの絶望っぷりに流されるところだった」


「そのまま流されてくれても良かったんですよ、結羽ちゃん」


 演技だったのではないかと思うほどの切り替えの速さだった。

 まぁ深入りすると沼にハマりそうだから触れないようにしておこう。結羽も同じ判断を下したようで、真顔で自分を見つめてくる愛桜をスルーし、ようやく今回の遊びを発表した。


「今回みんなとやるのは砂浜ならではの熱いスポーツ。正々堂々の真剣勝負! ビーチバレーをやろうと思うよ!」



to be continued

次回の更新は『2/15 21時』です。

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