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インスタントシリーズ

好きって言ったじゃない

作者: 井村吉定

本作は短編『やっぱり幼馴染とは付き合えない』の続編となっております。

https://ncode.syosetu.com/n2165hf/

 私には、俊樹と言う幼馴染がいる。としきって読むから、私は彼のことをいつもトシと呼んでいた。


 そんなトシは鈍感で私の気持ちにちっとも気付いてくれない。だから私はトシに彼氏ができたって嘘をついた。そして私は何度も嘘の彼氏――嘘カレを作った。


 でも、トシは私に何もしてくれなかった。私に告白をしてくれなかった。とうとう私は我慢できなくなって、自分から告白した。


 トシはOKしてくれた。してくれたのだけれど……。


「ファーストキスは一人目の嘘カレの早瀬くんとしたよ。初体験は二人目の宮田くん。ああ、それとエッチは四人目の笹川くんが一番上手だったかなあ」


 私はトシをからかってしまった。私としては今までの仕返しのつもりだった。


 普通に考えれば嘘カレとそんなことするわけがない。エッチだってキスだって私は未経験だ。


 けど、トシの顔は青ざめていった。私はすぐに嘘だと言おうとしたら――。


「ごめん、付き合うのやっぱ無理」


 それからトシは話をしてくれなくなった。すれ違っても目も合わせてくれない。


 何度も声をかけ、ようやくトシは私の話を聞いてくれた。なのに……。


「トシ……あの事なんだけど……全部嘘なの」

「そうか、俺のことが好きってことも嘘だったんだな」

「違う! 違うの!」

「茉依子の気持ちはわかってる。俺をからかいたかったんだろ?」

「そうじゃない! そうじゃなくて……」

「それじゃ」


 トシは私の前から立ち去ってしまった。私に背を向けたまま、トシは振り返ることはなかった。


 トシの誤解を解けないまま、半年が経った――。


 友達と駅前で遊んでいた時、私は見た。見てしまった。


「あれって……」


 トシが女の子と手を繋いでホテルから出てくるのを。


 女の子は腕も足も細くて、それでいて背が高い。まるでモデルみたいだ。何より、私じゃ足元にも及ばないくらい綺麗な子だった。


 トシ……なんで……なんでなの?


 私のこと好きって言ったじゃない。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 少なからず後悔したことを思い出しました 面白かったです!
[一言] 恋愛はまじめにしようという教訓ですね。 または、照れ隠しは不必要、とか。
[一言] 自業自得ですね。よけいな嘘をついた自分が悪い。人の心をもて遊び、試し行為をするなんて、ドツボ嵌まるしかない。
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