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50億年後の約束

メリバ用にしたかったけど、メリバにならなかったので供養上げ

昔、むかし。

まだ人間が生まれる前のお話です。


太陽さんはいつもひとりぼっちでした。


太陽さんのお仕事は地上を明るく照らして、木々や植物を育てる事。

神さまからもらったとても大事なお役目です。

でもいつもお空にひとりぼっち。


「さみしいなぁ、ボクはいつまでひとりぼっちなんだろう」


今日1日のお役目を終え、太陽さんは後ろを振り返りました。

まんまるのお月様が、ちょっぴり顔をのぞかせています。


「ボクもお月様と一緒なら、きっとさみしくないのに……」


太陽さんは夕焼けでお空を赤く染めながら、東の空からお星さまに会いに行くお月様を羨ましく思って見送ります。


ある日、太陽さんは自分の後ろにいた、お月様から話しかけられました。


「ねぇ、太陽さん。私に少しだけ光をわけてくれないかしら?」


見ればお月様は、前見たまんまるな姿ではなく、半分の姿になっていました。

びっくりした太陽さんは、慌てて言いました。


「もちろんいいよ。どうしてそんな姿になってしまったの?」


聞けばお月様は星たちが消えてしまわないように、仲良しの星たちに自分の光を分けてあげているそうです。


「ああ、ありがとう。これでまたみんなに光を分けてあげられる」


まんまるに戻ったお月様は、とてもうれしそうに太陽さんに言ってくれました。


それから幾日が経ち、またお月様はやせ細り、光を求めて太陽さんにお願いしました。


だけど、太陽さんは気付いてしまいました。


お月様が痩せていけばいくほど、自分の近くにいてくれる事を。

もっとお月様の近くにいたい太陽さんは、光を分けてほしいと言ったお月様に光を分けることをやめてしまいました。


そうしたら、どうでしょう。


真っ暗になったお月様は、触れられるほど自分のそばにいるではありませんか!

太陽さんはとても喜びました。


「ねぇ、お月様。ボクはずぅーっとひとりぼっちでさみしかったんだ。これからはボクと一緒にいてくれないかい?」


お月様はとても悲しそうな顔をして首を横にふりました。


「ごめんなさい。それはできないの。だって私にも神さまからもらった大事なお役目があるもの」


そうです。お月様のお役目はたくさんの星たちに光を分けることでした。

それをやめるわけにはいきません。

太陽さんはとてもがっかりして、うんと言うまでお月様を閉じ込めてしまうことにしました。


「ごめんね、お月様。でも、もうひとりは嫌なんだ。さみしくてさみしくて消えてしまいたくなるんだよ」


泣き出しそうな太陽さんに、自分まで悲しくなったお月様は元気を出してほしくて、こう言いました。


「ずっとひとりぼっちはさみしいね。でも見て。太陽さんのおかげであの森もお花も元気だよ。それじゃあダメなの?」


お月様が指さした地球には、たくさんの木々やお花が、気持ちよさそうに風に揺れていました。

それを見ても太陽さんは元気になりません。


「じゃあボクはずっとさみしいままで我慢しないといけないの?」


悲しそうに言う太陽さんに、お月様は残念そうに言いました。


「私だってお星さまが待ってる。私が行かければ、みんなの光が消えてしまうんだもの」


二人でいる幸せを知った太陽さんは、一人ぼっちのさみしかった日々に戻りたくありませんでした。


「そんなの嫌だよ。ボクはずぅーっとお月様と一緒がいいんだ!!」


太陽さんはお月様を閉じ込めたまま、絶対に外に出してはくれず、お月様は途方に暮れてしまいました。


 ※ ※ ※


そのころ、お星さまたちは姿を現さないお月様をとても心配していました。


「お月様、どうしたんだろうね?」

「そうだね。最近全然きてくれないなぁ」

「そうだ。神さまにお願いして、お月様を探してもらおうよ!」


お星さまたちは、神さまにお月様を探してもらうことにしました。


神さまが探したところ、お月様は太陽さんの所にいることがわかりました。

さっそく、神さまは太陽さんとお話ししに行きました。


「太陽や、どうしてお月様を閉じ込めてしまったんだい? 星たちはとても心配していたよ」


神さまは優しく太陽さんにたずねました。


「神さま、ぼくはもうひとりぼっちはいやです。ずぅーっとお月様と一緒がいいんです!」


太陽さんはさみしさをいっしょうけんめい、神さまへ伝えます。


「そうさのう……。ひとりぼっちはさみしいのぅ。それはすまない事をした。だかのぅ、お月様がいないと星たちの光も消えてしまうのじゃ」


神さまは少し考えて、太陽さんにこう提案しました。


「ずっとひとりぼっちはさみしいから、30日事に3日間、お月様と会って話をするがいい」


「たった3日間だけ? ずっとじゃないの?」


太陽さんはひどくがっかりしました。


「じゃが、明日を待つ『楽しみ』にはなるじゃろ?」


ふぉっふぉっと神さまは笑い声をあげ、お月様にこう言いました。


「お月様もこれからは太陽から光を受け取るがよい。それが30日後じゃ」


こくんとうなずいたお月様は、ちょっと考えてこう言いました。


「ねぇ、神さま。いっぺんに光をもらうのではなくて、少しずつもらってもいいかしら?」


神さまは少し不思議そうな顔をしましたが、お月様の言いたい事がすぐにわかりました。


「ああ、構わぬよ。そうすれば待つ時間も半分じゃのぅ」


神さまはいたずらっぽくウインクを太陽にしました。

だけど、太陽さんにはよくわかりません。

きょとんとした太陽さんに、お月様は言いました。


「これで30日の半分は少しだけお話できるよ!」


お月様はにっこりと笑って太陽の手をとりました。

お月様は15日間をかけて太陽から少しずつ光を受け取りながら離れて、まんまるの姿に戻ります。

まんまるの姿になったら星たちに光を配り歩いて、30日後には真っ暗なお月様になります。

そこから3日間は太陽と一緒にいることにしたのです。


「これなら離れるのもゆっくりだし、光を受け取るときに少しだけお話もできるし、さみしさも減るんじゃないかしら?」


これには太陽も納得してくれました。


「うん、うん。それでいい。ありがとう。お月様、神さまも!」


ようやく元気になった太陽はにっこりとお月様に笑いかけました。


神さまとの約束どおり、太陽とお月様は15日をかけて光を受け取り、15日をかけてお星さまに光を分けることになりました。


今日は最初の1日目。

少しだけお月様に光を分けながら、太陽さんは言いました。


「ねぇ、お月様。いつかボクのお役目が終わったら、今度こそずっと一緒にいてくれるかい?」


お月様はうなずきました。


「ずっとずっと一緒だよ。私の体も地球も星も全部消えてなくなっても、私は太陽さんの一部になって生きていくんだよ」


二人はこうして50億年後の約束をしたのです。

太陽が燃え尽きる、その日まで。

そなたの力はこんなものではないはず!!

童話よ、盛り上がれ~

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