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終幕/開幕 -World freeze-
いつまでも白は続いていた。世界が凍る瞬間だ。多くの生命は死の懲役の名の基に終わりを迎える。氷河期なんてものはそういうものだ。
最初からこうなることは分かっていた。だから終わるのは当然。
逆算しても、この結果に変わりはなかった。だから終わるのは必然。
最低限の策は練った。だから残すことができた。
これも計画通り。全てが思い通り。
だから彼は勝者である。
時代の英雄である。
それなのに。なのに。
どうして。どうして。
どうして。
どうして。
「あぁ」
なんだ、まだ人じゃないか。
もうとっくにないと思っていたのに。無くしたと思っていたのに。
私の。俺の。僕の。ずっと、欲しかったものは。
そこにあった。
※
彼は遠くを見ていた。外の世界で、大きなドームを見つめ、
世界の縮図が変わるのを、ただ寂しく。寒いことなどお構いなしに。
一人の物語が、一つの時代が終わる確かな証拠がそこにはあった。