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群馬帝国国有鉄道に籍を持つ者  作者: Kanra
物語の始まり
7/66

妙義神社

 三条神流率いる長野遠征部隊が、群馬帝国を出撃する。

 死地として恐れられる長野に行くにあたって編成されたヨコカル艦隊は、出撃前日に上毛三山の一つ、妙義神社にて御祓いを行う。

 高崎から、郡鉄信越線で最寄り駅である横川に向かう。

 115系の普通列車に揺られて、横川を目指す。

 安中で、貨物列車と出会う。

 安中駅に隣接する化学工場に出入りする貨物列車で、主に無蓋車と化学薬品輸送のタンク車がEF60に牽引される形で走行している。

 信越線の貨物列車の運行は安中までで、この先は旅客列車と事業列車が走行するのみだ。

 かつては横川から長野の軽井沢まで線路が繋がっていたのだが、ある事情で廃線となった。

 横川駅に入線する。駅には沢山の側線と放置されている車両が数量あるほか、駅から離れたところに引込線が延び、その先がヤードのようになっている。

 鉄道を無断で撮影したら重罪に処せられる事もあると言う群馬帝国国有鉄道だが、何も全てがダメというわけではなく、ここ横川の鉄道広報館では、引退した鉄道車両と鉄道資料の展示を行っており、ここに限っては列車の写真を撮影しても罰せられない。

 また、鉄道広報館に隣接して、群馬帝国国有鉄道教習所が設けられており、鉄道乗務員の育成、研修が行われている。

 三条神流が改札を抜けて居る時も、教習用の電気機関車EF63が教習生を乗せて走行していた。

 横川駅が妙義神社の最寄り駅だが、交通機関は無いため、待たせていた群馬帝国国有鉄道の社用車で向かう。

 社用車は、群馬帝国で主に製造されているスバルのエクシーガだ。

 付き添い人も居るため2台体制で妙義神社まで行く。

 妙義神社は山の斜面にへばり付くように鎮座している。そのため、車では登れないので、駐車場に車を入れ、神社までの急な道を歩く。

 山の中腹。

 本殿に入ると、宮司が待っていた。

 早速、御祓いを始める。

 宮司が護摩木の火を杖に移し、それを6人に向け振り下ろすと、6人の座る場所を赤色の魔方陣が囲む。

「この世の終わりの地へ赴く者に、祝福を。無事にこの地へ戻る道を指し示せ!」

 宮司が唱えると、魔方陣の色が青に変わる。

 長野へ行って帰って来られる道が開いたと言う事だ。だが、三条神流の魔方陣が黄色と青の二色になる。鉄道信号で減速を意味するこの色が出たとき、その者に小規模な災いが起こると言われている。

 しかし、三条神流の魔方陣が黄色と青の二色になることはよくある事である。件のエンゼル艦隊の生き残りであり、長野に行けば何かが起きるかもしれないと言うことからだろう。

 だからこそ、付き添いの役人である望月光男や霧降要も何も気に止めていなかった。

 御祓いが終わった。

 宮司の宮野真樹は三条神流と霧降要を呼び止める。

「霧降。三条の件だが何度も黄色と青の二色が出ているのに、行かせるのはどうかとは思いますよ。今回の遠征、三条を外した方が良い。」

 三条神流は一瞬、耳をピクリと動かした。

「しかし、三条は今まで生き残って帰ってきている。今回も大丈夫だろう。それに、今回の遠征メンバーには、経験者が三条と山崎だ。」

「だが、三条に何かあったらどうするのだ!三条が転生人となったら―」

「それも含めての遠征なのだよ。行かせたまえ―。」

 霧降は動じなかった。

 そればかりか、三条神流の前で、三条神流は人体実験のために長野に行かせると宣言した。

「三条。それで良いのか。」

 宮野は三条を見る。

「松田彩香の所に婿入りと言う話になっているし、群馬の男は強くなければな。」

「いや、そもそも三条にその気があるように見えるか?」

 三条神流は何も言えなかった。

 三条神流の左薬指には何も付いていない。

(婿入りするなら、とっくの昔に左薬指に指輪付けてるっての。いつもこれだ。正月に、婚約のような重大な転機が来ると予言した時もだ。だが、三条にそんな気無いってのに、それで片付ける。後で大変なことになったらどうするのだ。)


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