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群馬帝国国有鉄道に籍を持つ者  作者: Kanra
物語の始まり
3/66

群馬帝国国有鉄道本部

 三条神流の外遊は珍しいことではない。

 時折、三条神流は日本の東京等へ行き、外の世界を見て、その情報を上告する言わばスパイのような事をしている。といえば聞こえは良いが、実際は外交官のような役割だ。 

 と言って、役人と言うわけではないし遊び人でもない。

 群馬帝国国有鉄道と関わりを持つ鉄道商人。

 日本から見れば鉄道ファンであるのだが、群馬帝国では鉄道は外国へ通じる重要なインフラであり、容易に撮影等許されない。

 だが、鉄道商人として群馬帝国国有鉄道と契約を結ぶことで、鉄道広報活動の一巻として撮影が許される他、運営にも僅かに関わることが出来るのだ。仮に、無契約で鉄道を撮影して見つかれば重罪になるであろう。

 三条神流は、霧降要の車で高崎市にある群馬帝国国有鉄道本部へ出頭し日本で撮影した写真と群馬帝国で撮影した写真を提出する。

「外の世界は息が詰まります。」

 と、三条神流が言うと奥の取調室から女の悲鳴が聞こえた。

「あの悲鳴は?」

「はっ。先ほどスパイ分子として捉えた女子高生を尋問中です。」

 事務次官が答えた。

「尋問?それであそこまでの悲鳴は上がらんだろ。」

 霧降が取調室に向かって行く。

「どういう嫌疑で?」

「高崎駅でD51‐498号をバックに自撮りをしていたとのことです。契約証も無ければ外国籍。スパイと疑って当然でしょう。」

「確かにD51‐498号は群馬帝国国有鉄道を代表する蒸気機関車である。総統閣下専用列車牽引指定機であるが、外国籍の女子高生がそれを知っているとは考えられませんよ。」

 と、三条神流が言った時、霧降が取調室から出てきた。検察官も一緒に出てくる所を見ると、取調を止めることに成功したようだった。

「バックに撮っていた物がDD51ならまだしも、総統閣下専用列車牽引指定機だったため―。」

「理由など聞いていない。下手くそに拷問のようなことをして訴えられたら、国の存亡に関わる。今後は注意喚起に留めるように。」

 三条神流は言いながら、一眼レフカメラを受け取る。

 三条神流は群馬帝国国有鉄道本部に止めていた自分の車に乗り、帰路につく。

(国鉄はやり過ぎだ。だが、疑わしくは罰せよというのはこの地が日本の鉄ヲタと言う者達に侵食されるのを防ぐ防波堤になっているのも事実だ。しかし、だからといって、女子高生に性的拷問までする必要はあるのだろうか?)

 三条神流を始め群馬帝国国有鉄道と関わりを持つ者は、日本で起きている事象が気になっていた。

 帰宅した三条神流は、書類を作成。これも群馬帝国国有鉄道に提出する物だ。

 しかし、三条神流の本職は群馬帝国国有鉄道ではない。

 国営天々座交通。群馬帝国のタクシーとバス路線を担う交通会社である。

 三条神流はバス運転士として、天々座交通に所属している傍ら、群馬帝国国有鉄道と契約を結んでいるのだ。

「鉄ヲタ艦隊の動向について」

 と言う標題の報告書の作成を終え、就寝。

 明日はスクールバスの運転である。

 鉄道を始め全ての公共交通機関が国営である群馬帝国では、交通機関に従事する者は公務員扱いであるほか、運転手等の現場で働く者には現業手当が支給され生活に苦は無い。

 最低賃金は毎時1000円が公共交通機関に従事する者の給与条件。

 1日8時間勤務で時給8000円と、現業手当毎時500円で1日の給与は12000円。週休3日で月の給与は20万円だ。

 それでも、群馬帝国国有鉄道と契約する者が天々座交通には少なくない。

 皆、万が一に備えた副業としてという考えからだろう。

 最も、群馬帝国国有鉄道と契約した上、鉄道に協力しているのは三条神流ぐらいだが。


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