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群馬帝国国有鉄道に籍を持つ者  作者: Kanra
物語の始まり
1/66

入国審査

 利根川鉄橋を渡る。

 EF65電気機関車と14系客車10両。

 上野から高崎を目指す特急「利根6号」は、籠原からJR東日本の線路を離れ、群馬帝国国有鉄道高崎線の線路を走る。

 群馬帝国から高崎線の線路を、日本国上野へ行く優等列車の中でも最も停車駅の少ない速達列車である特急「利根」は、熊谷から高崎までどこにも止まらない。

 他にも、急行「神流」と快速「赤城」が存在している。

 急行「碓氷」はEF64と12系客車で、上野を出ると、浦和、大宮、鴻巣、熊谷、本荘、高崎に止まり、快速「赤城」はEF64と35系客車で、赤羽、浦和、大宮、上尾、桶川、鴻巣、熊谷、籠原と籠原から先の各駅に停車する。

 一方、特急「利根」は上野を出ると、大宮と熊谷以外に止まる駅は無い。

 特急牽引機であるEF65‐500の本領発揮の場に相応しい列車である。

 高崎駅に特急「利根6号」が入線する。

 14系のドアが開き、ホームに降りる。

 八高線のDD51と35系客車の普通列車が向かいのホームで待機しているのを尻目に、三条神流はホームを歩く。

 普通の駅なら、改札口に切符を通せばいいが、ここ群馬帝国は日本の特異点と言われる場所。改札を抜けるには身分証明書の提示を求められる。言ってみればこれは簡易的な入国審査のような物だ。

 群馬帝国帝都前橋市に籍を置く三条神流なら、すんなりと通れるのだが、日本国から来た者は言わば外国人。パスポートの拝見こそないが、滞在目的、期間を上告し入国許可を得なければ入ることは許されない。

「おかえり。」

 と、霧降要が言う。

「すまないな。ちょっとゴタゴタに遭った。」

「外の国というのはここと違うのだ。新潟生まれの新移民であるのなら、分かるであろう。」

「新移民な上に、転生人になったらどうするかね?」

 転生人。それは、死の地に赴き、群馬に帰って来た者を言う。しかし、ただ行って帰ってきたのではなく、その後、その人物に何らかの変化が現われなければならない。

「それは凄い事だ。死の地に赴いて、何らかの変化が現れるということは、神に近い存在となること。イエスキリストと同等の存在だ。」

 霧降が言うのだが、三条神流は溜め息をついた。

「俺は、神ではない。」


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