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幼馴染×ヤンデレ=の方程式  作者: 漆黒の堕天使
第2章 真実の裏側
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5話 カクシゴト

俺の部屋でテーブルを挟み、リリと向かい合わせに座る。


「しょーちゃんの部屋、久しぶりかも」


「確かに、中学以来かもな」


密室空間に2人きりだと余計に緊張する。

何を話せばいいんだ?


「あ、あの、しょーちゃん?」


「ど、どうしたリリ?」


「付き合ってる人と2人っきりの時って、どんなことすればいいのかな?」


「そ、それはだな、笑い話とか、一緒にゲームとか、それから…」


「それから?」


「あー!俺もわかんない!だって、リリが初めての彼女なんだから」


内心、色々なことを考えていたことは否めない。俺だって普通の思春期の男の子だ。

ってかそもそも、そんなこと口にできるわけないだろ!?


「キ、キスとかしてみる?」


まさか、リリからその言葉が出るなんて思わなかった。こう言うのは男が先に言うものじゃ…

またリリに先を越されたか…俺の悪いところがまた出てしまった。


しかし、返事はもう決まっている。


「してみよっか…」


部屋に途轍もない緊張感が走る。


俺、震えてないか?大丈夫か?


「リリ、目を閉じて…」


「うん…」


―——そして。


「んっ―――、


2人の唇が重なる。それは想像以上で、リリの唇の柔らかさに驚く。頭が余計に真っ白になる。


このまま、時が止まればいいのに…


しかし、そう止まっていられることはなく、次第に2人の唇が離れる。


「しょ、しょーちゃん?」


「な、なんだ?」


「しょーちゃんの唇、柔らかかった…」


「それは、リリのも…」


部屋にまた沈黙が訪れる。

しかし、その沈黙は嫌なものではなく、このままでもいいと思える、幸せの沈黙。


「しょーちゃんさ、これが初めてのキスだよね?」


またもや沈黙を破ったのは、リリだった。


「あ、あたりまえだろ?リリも初めてだろ?」


「うん、しょーちゃんが私の初めての人…」


ごめん、リリ…


俺は忘れていなかった。俺の初めてのキスは、すぐ近くに住んでいる人…

そう、えりねぇが俺の初めての人だった。




―———8年前。



当時俺は小学生4年生で、その頃から俺は母子家庭だった。母親が帰ってくるのはいつも遅く、家では常に1人。


その為、俺は自分で鍵を持っていたが、その日はたまたま鍵を忘れてしまった。

まぁ、たまたまとは言ったものの、実はよくあることで、忘れた時は家の前に座って母の帰りを只々、待ってたりしていた。


「はぁ、母さん今日も遅いよな〜」


ついてない日、リリも家族ごとの用事でいない。正真正銘、俺1人ってことだ。

そういえば、この前うちの隣に誰か引っ越してきてたな…挨拶もこないし、どんな人なのかもわからないや。


それにしてもやる事がない。

とりあえず寝よう…


―—コツコツ


ん?誰かがこっちにくる。まさか、母さん?今日は早番だったのかな?

それにしても助かった、これで外にいることはなくなっ…


「えっ?」


俺が母親だと思っていたそれは、全く違う女性で、化粧が濃く、射るような目つき、そして地元の高校の制服を着ていた。


その女性がこっちに歩いてくる。


「えっ?ってお前、ウチになんかよう?」


急に話しかけられた、まぁきっかけを作ったのは俺だけど。それにしてもすごい奇抜な人だ。本当に、高校生なのかな?


「なぁ、黙るのは失礼じゃねぇのか?」


「あ、すみません!用は特にないです!本当にすみません!」


「あははっ!そんなビビんなって!ってお前、家の前にずっと座ってっけど、親は?」


すごい笑い方だ。この人の笑いは、耳につく。あまり好きではない。


「今、お母さんは仕事でいなくて…」


「そんで、まさか鍵忘れたとか?」


「その通りです」


「まじ!当たっちゃったよ〜!あははっ!」


「あの…俺のことは、ほっといてくれて大丈夫なので」


「あぁ?せっかくピチピチの新米女子高生が話しかけてあげてるのに、その態度はなんだよ」


この人、本物の高校生だったのか。


「高校生とかよく分からないので、本当にほっといて下さい」


「はぁ?何それ、なんか冷めるわ〜」


もう鍵を忘れないと心に誓った日。鍵を忘れなかったら、こんな変な人に絡まれなくて済んだのに…

俺の隣に引っ越してきた人は、金髪ショートカットの化粧の濃い女子高生だった。


―—もう鍵を忘れないと誓った翌日。


また鍵を忘れてしまった。これはもう、俺の才能の一つなのかもしれない。

いつものように家の前に座っていると、またあの人が近づいてきた。


「よっ!また忘れたのか?」


「こんにちは」


「あのさ、一応ご近所なんだから、付き合いよくしようぜ?」


「あの、そういうのは苦手なので…」


「そんなこと言わずにさ!ウチの家で遊ばない?」


本当にこの人は苦手だ。でも、不思議と嫌な感じはしない。


「知らない人にはついて行くなって言われてるので」


「あ〜、それなら大丈夫!もう、あんたのお母さんには許可もらったから」


「えっ、許可?」


「そうそう!うちの息子をよろしくお願いします的な?」


全く信用はできないが、本当に悪い人ではなさそうな気がする。この人と、一回遊んでみても良いかな?そもそも、暇だったわけだし、こういうのも悪くないかもしれないな。何かあれば、警察呼べばいいし。


「それなら、よろしくお願いします」


「そうこなくっちゃ!」


お隣の人の名前は、一條 瑛利果。

そう、えりねぇとの出会いはこんな感じだった。最初はあまり印象のよくない人だったが、次第に俺はえりねぇに心を開いていったのだった。

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