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生き物の夢

作者: 神名代洸
掲載日:2017/08/10

家の中でそれを見た。

それはとても小さかったが、本来はいるはずのないもの。

そう、ヤモリだ。

それを見た瞬間私はパニックになった。

子供達もそうだ。

でもね、息子はうまく対処してくれたよ。

適当な箱にそれを捕まえて玄関から放り出した。


その日の夢は怖かった。






そう、無だ。

真っ暗な闇の中…。


息をするのも苦しかった。

でもね、…ほら、ちょっとすると息ができる。何でだろう〜?あかりも見える気がする。

まるで自分が小さな生き物にでもなったかのようだ。



そうだ。

ヤモリだ。

ヤモリと一緒だ。

なぜそう思ったのかはわからない。でもね、そんな気がしたんだ。

自分が小さくなった気がする。



大きな足が私を踏みつぶそうとしている。


「怖い。」


正直な感想だ。

私は逃げたよ。そりゃもう必死でね。

でも私はちびっこいからすぐに捕まっちゃって…どうなるか想像つくでしょう?入れ物に入れられたまま家の外に向かって振られた。するとね、どうしたって振り落とされるわけで、必死になってへばりついたよ。


でも結局は放り出された。


周りを見て見ても真っ暗。

明かりなんざ何処にもない。

明かりを求めて彷徨い歩く。

何処へ向かってるんだろう…。何がしたいんだろう…。

よくわからない。

ただ、このままっというのはよくないとは思う。

ヤモリもきっとこんな感じだったんじゃないのかとふと思ったよ。


でね、明かりを見つけると一目散に走ったね。少しでも早くそこに行きたかったから。

でもね、その距離はとても遠く感じられた。

ヤモリってこんなだったんだなって…。

でもそれ以上のことはないよ。


どうにかこうにかして明かりがある場所まで走りきった後には息が上がっていた。

でもね、このドア、開かないんだ。

私の力ではどうしたって開かない。

だからね、その明かりが見える場所でゴロンとなったよ。

周りは雑草だらけで気持ち悪かったけどね。

寝付けなかったよ。

ゴツゴツしてたからね。





そこで目が覚めた。

私は今どこで寝てるのかと不安になったので周りを見て見たが、ベットの上でちゃんと横になっていた。

あの生き物の夢はなんだったのか?

確かに私はヤモリだった気がする。

現に腕を見るとあちこち擦り傷ができていた。

草むらをかき分けた時にできるような傷だ。

夢だったのかそれとも現実だったのか…今となってはわからない。

でもね、目印はつけて来た気がする。

そこで確かめたくなったので靴を履いて問題の場所にやって来た。

そこは裏庭で雑草が生い茂っていた。手入れもしてないから生え放題だ。

その中からそれを探すのはなかなか難しかった。なにせ体が大きく目的の場所が探しにくい。でもね、諦めなかったよ。でね、ようやくその場所がわかったんだ。

記憶を頼りに…だけどね。


そこだけはゴツゴツした岩が多かった。

だからね、何度も滑り落ちたんだと思うよ。なにか黒いものがこべりついている感じがする。


虫眼鏡でよーっくみてみると血のようなものな気がした。綿棒を使って拭ってみると確かにそれは赤かった。



もしかしてトカゲになってたのか?自分。

いや、そんなはずはない。現にこうして息もしているし、思うように体も動く。

でもね、その日の夜、また小さくなった夢を見た。



今度は何に?



何だろう…。



トカゲよりも小さい気がする。何でこんな目に合うのかわからない。怖いと思うだけ。

自分の姿がわからないのでまた建物の側に近づいた。

そしたらね、今度は蟻になってた。

働き蟻のようだ。

仲間?と共に餌を探し歩いている。

何でこんな目に合わなきゃならないんだ?思ったね。当然。


小さな子供が蟻を捕まえて何かしている。この目で見えるのは体の胴体部分に針を刺しているのを見ているくらい。膿のようなニュルッとしたものが出てくる。正直気持ち悪い。

私も捕まったら同じ目に合っちゃうのかなと思い、慌ててその場から離れた。



「ねぇねぇ見てよ〜、これ。」

そう言って見せられたのはさっき見た蟻の体。標本にでもされているようだ。箱の中で身動き1つしない。

正直なところ、あまり好きではなかったが、その子の機嫌を悪くすることはしたくなかったので、曖昧に答えるだけにした。



その夜もまた夢を見た。


「痛い、痛い。」


誰がそう叫んでいる。



誰だろう…。


すると目の前に男の子が1人うずくまっていた。

「どうしたの?何処が痛いの?お母さんは?」

矢継ぎ早に質問してしまったが、男の子はただ痛いと言うばかり。

何処が痛いのと聞くと男の子は立ち上がってこう言った。



「お腹に刺さってるから痛いんだ。」

そう、男の子は蟻だったんだ。

顔が蟻だった。

「ヒッ、ヒーッ!?」

私はびっくりしてその場で尻餅をついてしまった。

蟻の顔をした男の子が近づいてくる。


「く、来るな!」

慌てて立ち上がるとその場から走って逃げ出した。


夢もそこで途切れている。

汗びっしょりだ。



足元には蟻の標本が転がっていた。




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