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レスティア物語  作者: マリア
第四章 再会への旅路
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取引と契約

 ギルドマスターはカイルの返しにますます楽しそうな顔をする。受付嬢も最初は話についていけなかったが、次第に内容を把握できたのか顔を青くしたり赤くしたりしていた。けれど、商売の話になれば顔つきも眼の色も変えている。

「君の元々の目的もギルドカードの更新だったね。本来であればもう少し煩雑な手続きと処罰もあるんだけど、事情を鑑みてそれらは不問としよう」

 ギルドマスターはカイルが預けていたカードを取り出すと、部屋の奥にあった机に向かい、機器を操作し始めた。

「ぎ、ギルドマスター、よろしいんですか? 前例がないわけではありませんが……」

「君も聞いただろう? おそらく彼は今後のデリウスとの戦いにおいて重要な役割を果たすことになる。今はまだ無名で実績も知られていないけど、将来的に考えれば投資しておくべきだとわたしは判断した」


 ギルドマスターの言葉を否定できなかったのか、受付嬢は肩を落とす。ここでカイルに協力することは世界的に見ても益になるだけではない、恩を売れるということだ。

 これから先、カイルが名を上げた時、その恩や伝手がどれほどの利益を生み出すか。そう考えればギルドマスターの行動を止めることは出来ない。

「よし、これでいい。確認してくれるかな」

 カイルはギルドマスターからギルドカードを受け取ると言われた通りに確認する。発行日が今日の日付で更新されている。ランクはそのままだが、これで心置きなく他国へも行けるというわけだ。


「確かに。じゃあ、そっちの番だな。何が知りたい? 答えられる範囲なら教えるよ」

「ふふっ、そこでなんでもと言わないあたり、君も強かだね」

「答えられないことはあるからな」

 だが、出来る範囲での誠意は見せるつもりだ。よほどのことでない限りは希望に沿うつもりでいる。

「……あっ! そ、それよりも、あまり長く受付を離れるわけには……」

 なんだかんだと時間が経っている。本来ならここに案内して、更新手続きのために呼ばれるまでは受付の仕事をしているはずだった。

 そう思ってカイルの方を見るのだが曖昧な笑みを浮かべていた。


「あー、解放したいのは山々だけど、ここまで聞いた以上タダで帰すわけにはなぁ……」

「ひっ、ま、まさか、口封じにあんなことやそんなことをっ!? そんなっ、わたしっ」

 なぜか、頰を染めてクネクネしだした受付嬢。緊張のあまりおかしくなったのかと思えば、ギルドマスターは呆れ顔で見ていた。

「……悪いね。有能なんだが、少々妄想癖が……」

「いや、口が固いならいいんだけど……」

 どうやら通常運行であれらしい。先ほどまでの有能さは微塵も感じられない。完全に自分の世界に入り込んでしまっている。


「まずは、君が人界を離れどの領域にいたか聞いても?」

「えっ? 獣界ではないのですか?」

 ギルドマスターの問いにようやく受付嬢も正気に戻ったのか驚きの表情を浮かべる。この時期で、しかも他国に容易くわたる方法は、龍王祭を行っている獣界を経由する他ない。カイル以外なら転移陣を利用した移動も可能だがそれはないだろう。

「それなら”生死不明”なんて言われないさ。人との軋轢があって弱肉強食の領域と言えど、魔物がいない分人界よりは安全ともいえる。何より、各国を巡っていた彼らが調べていたのは”魔界”について。方法は限られているとはいえ、獣界や精霊界なら人界からもいける。なら、なぜそんな前人未踏の領域について調べる必要がある?」


 ギルドマスターの説明に受付嬢は納得の表情をする。だが、すぐに驚愕に変わった。最初は出来る女性という感じだったが、案外感受性豊からしい。

「……そこまで分かってるなら聞く必要もないだろ?」

「そこまで調べても信じがたいからさ。まさか、人が魔界に足を踏み入れ、あまつさえ生きて出てくるなんて。いくら強力な妖魔を使い魔にしていてもあり得ない事態だからね」

 なるほど。領域の存在は知られていても、人が魔界の一端に触れられるのは人界に送られてくる魔物を通じてのみ。死後においてしか魔界を見ることはない。にわかには信じがたいのもうなずける。

「自分自身でもよく生きて戻れたと思う。俺もクロがいなければ魔界に降り立った時点で死んでただろうな」


「なるほど……。ところで、魔界には人界にない技術や素材も多いと聞くけど……君の言った商品にもそれらは使われていたりするのかい?」

 どうやら本題はそちららしい。事実確認より商売第一なのはらしいと言えばらしいのか。

「まぁな。特に服飾関係ではそうした技術も使ってる。魔王様に許可をもらった分なら売りに出せる。もちろん特許申請はするけどな」

 特許とはそれまで人界になかった技術を開発したり、発掘したりした場合商業ギルドを通じて行う手続きだ。それを行っていれば、無断で技術の複製をされたり登用された場合処罰の対象に出来るし、他の人が許可を得て技術を使用する際に使用料が入ってくるようになる。


 技術の分野なので生産者ギルドの分野のように思えるが、案外生産者とはそういった事柄に疎い者も多いため、知り合いの商人に代理人になってもらって申請することが多い。実際の物品ではなく、権利を売買することから商人ギルドの管轄になっている。

「魔王様っ! き、君は五王のうちの一人と会ったのかい?」

「魔王様だけじゃない。わたし達は龍王様とだけだけど、カイルは冥王様とも会った」

「魔王様、冥王様に龍王様……あわわわ、ぎ、ギルドマスターっ!」

 受付嬢がパニック気味にギルドマスターを見る。ギルドマスターもかろうじて笑顔を保てているが、冷や汗が流れている。予想以上の人脈に、カイルが自分が思っていたより重要なポジションにいると今更ながら気付いたようだ。


「ふ、ふふふ。わたしの眼はやはり間違っていなかった。それほどまで領域の王に会える存在、しかも技術の提供を許されるほど何て……まずいやつじゃないよね?」

 まかり間違っても犯罪になってしまうような商品は困る。顔色を悪くしながらこそっと聞いてきたギルドマスターにカイルは苦笑いをして答えた。

「便利だし、技術もいるけど害になるようなものじゃない。ま、実際に試してみたら分かるさ」

 カイルは亜空間倉庫アイテムボックスから服一式を取り出す。帽子、インナー、シャツ、上着にズボン、ブーツ一そろいだ。

「……見た限りは普通だけど……これが?」

「ん。服って普通は人に合わせて作るだろ?」

「それは当然そうなるね」


 大柄な人と小柄な人、太った人と痩せた人、男女や種族によって服は千差万別だ。だからこそ町には大きさも形も用途も異なる服があふれている。

「それな、着る人に合わせてサイズも形も変えられるんだ」

「なっ!?」

「もちろん種族にも対応している。獣人なら普通に着ても尻尾や羽根は出るようになってるし、獣化しても破れたり脱げたりしない。その人にとっても最も最適な形になる様に服自体が変化するんだ」

 ギルドマスターも受付嬢も信じられないという面持ちで服を見つめている。何の変哲もなく見える服にそれだけの技術がつぎ込まれているなど信じがたかった。


「俺が着てるのもカイルに作ってもらった服だぜ? 俺は獣人だからな。服にはいつも困ってたんだ」

 トーマはそういうと立ち上がり、獣化して見せる。成長の証か、獣化すると人よりも大きく、体長二mほどの紅い狼になった。

 それまで着ていた服は獣用の防具のように体を覆っている。手袋は肉球を保護する指ぬき手袋のように変わり、靴も後ろ足を保護する防具に変わっている。

「それまでは変化するたびに着替えが必要だったんだよな。変化しても動きを阻害しないような服しか着られなかったし。たぶん、獣人には相当需要があるぜ?」

 元に戻りながらトーマが断言する。それまでラフな格好しかできず、変化するなり手袋や靴、ズボンなどが脱げていた。そのせいでどこでも変化したり戻ったりができなかったのだが、これだと心置きなく変化できる。しかも、獣化しても一定の防御力が上がる形で。


「すごいっ! すごいですよ、これはっ!! ギルドマスター、これは、行けますっ!!!」

「分かっているよ。そう耳元で大声を出さないでくれ。確かに、これ一つで相当な儲けが見込める。気を付けなければならないことなどあれば聞かせてほしい。それに、特許を申請するならその技術の詳細を……」

 ギルドマスターの言葉の途中に、今度は書類の束を亜空間倉庫アイテムボックスから取り出して差し出す。

「これが申請書類と取り扱い説明書、あと技術の詳細に関してまとめてある」

「よ、用意がいいね」


 人界で動こうと思えばどうしても金が必要になるし、服を売り出すためにはやらなくてはならないことだ。だからあらかじめ用意していたのだが、思ったよりも早く使うことになった。

「ただ、販売にあたっていくつか条件を出したい」

「……これだけの品だ。出来る範囲ならかなえよう」

 かつてないほどの利益をもたらすだろう金の卵だ。ここでへそを曲げられて他国に行かれても叶わない。

「一つ、時期がくるまでこれの生産者および特許者についての情報の隠蔽。これはそう長い期間じゃない。奴らが動く時期に合わせて俺も表舞台に出るつもりだから」

 それまで極力派手な活動は悟らせない。カイルはデリウスとの戦いにおいてカギになるかもしれないが、同時に最大の急所にもなり得る。準備が整うまでは仕掛けられない。


「一つ、これによってあげられた収益を孤児院の正常な運営と孤児達の保護に回すこと。これは俺の個人的な意思だけじゃない、ひいてはこれからの戦いにおいても重要になる」

 カイルの言葉に首を傾げるギルドマスターにその理由を説明する。驚き、眉をひそめながら聞いていたギルドマスターだったが、説明が終わると深いため息をついた。

「なるほど。わたし達の行動が自分達の首を絞めることにも……それに、未来ある幼い子供達を見殺しに……。そういうことならわたしの力が及ぶ範囲でできる限りやらせてもらおう。もちろん、ギルド主体で、ね? そういうことだから君の収益を使っても、手柄はわたしがもらうよ」

「構わない。誰がやろうと、それで助けられる孤児が一人でも増えるならそれでいい」

「……あぁ、そうか。君は貪欲だが無欲なんだね。届く範囲に出来る限り手を伸ばそうとするのに、誰一人諦めようとしないのに……自分自身については後回しだ。もう少し自分のために生きてもいいと思うよ?」


 これは商人としてだけの言葉ではない、人生の先輩として、大人としてのアドバイスだ。私心を捨てての献身と言えば聞こえはいいが、危うくも思える。どうしてそこまでやるのか、やれるのか。

「よく言われるよ、それも。でもなぁ、これは俺が自分自身に誓ったことだ。それをやらなけりゃ、俺は自分のために生きることができそうにない。つか、これ自体俺の独りよがりだ。勝手に拾い上げて、無理矢理表の世界に放り込む。そうしなきゃ、俺自身が我慢できないから」

「自分自身のために……他者を救う……か。本当に、君は骨の髄まで英雄だよ。孤児達の英雄、君が世に出るまで名誉は預かっておくことにしよう」

 いつかその働きが正当に評価されるようになるまで、華々しく表舞台に立つその日まで。彼の期待と信用に答えよう。それこそが商人としての矜持だ。


「最後に、情報収集と情報統制をしてもらいたい。必要なら情報規制をしてデリウスの動きを制限してほしい。出来る範囲で構わない。俺も必要そうなら手紙を送るし、今後も顔を出すこともあるかもしれない」

「……それは今までもやってきたことだからそう難しくはないが……。君達はまた人界を離れるんだろう? どうやって手紙や行き来を?」

「ま、方法は無きにしも非ずってとこかな。龍王祭の時期にのみ存在するゲート。あれの仕組みを教えてもらう予定だから。そうすると領域を行き来できるゲートもたぶん個人で作れる。まあ、馬鹿みたいに魔力が必要だろうし、魔法制御能力も必要だろうけどな」

 ステイシアからそれらしい話は聞いているし、これからの作戦に必要だろうということで教えてもらう手筈にもなっている。ただ、習得は思っている以上に難しそうなのでもう少し獣界に滞在することになるだろう。その機会に手札を増やしておきたいとも思う。


「ははは、個人でのゲートの作成。うん、君は本当に規格外だよ。分かった、極力彼らの計画通りに事が進むようやってみるよ。その方が都合がいいんだろう?」

「ああ、よろしく頼む。それと、ここでの話は……」

「分かっている、口外はしないよ」

「……信用しないわけじゃない。ただ、保険をかけさせてほしい」

「「保険?」」

 受付嬢とギルドマスターの声が重なる。カイルは亜空間倉庫アイテムボックスから一枚の魔法紙を取り出す。

「これは……誓約書? いや、それにしては強い魔法的効果を感じるけど……」


 商業ギルドの取引においても時折使われる誓約書。そこに明記されたことを守らなければ、誓約を交わした相手にそれが伝わり、処罰の対象の証拠になるもの。けれど、それよりは強い力を秘めているように思われた。

「これは、獣界で使われてる契約書だよ。互いに条件を定め、それを守らせる。守らなければ代償を支払う」

「……なるほど、相手に直接作用する力がある……と。それで、内容は?」

「俺はあんた達に嘘はつかない、破れば声を失う。あんた達は時期がくるまで俺達の情報を他者に漏らさない、破れば俺達の記憶を失う。同意してくれるなら、その契約書に触ってくれ」

 予想以上に大きな効果に二人は若干しり込みをする。それはそうだろう、情報を明かせば記憶を失う。それはつまり繋がりの一切を失うということもである。


「これは……万一を考えての?」

「それもある。万一デリウスに囚われることがあっても知らないことは話せない。あとな、確証があるわけじゃないけど、魔人化への対抗策になる」

 カイルの言葉にギルドマスターはバッと音がしそうな勢いでカイルの顔を見る。魔物召喚や起爆装置に関しては回収できたものが多いため解析も進んでいるしその仕組みに関しても分かっていることが多い。

 しかし、魔人化に関しては未だ謎に包まれている部分が多い。捕縛例が圧倒的に少ない上に、いくら魔人化しているとはいえ対象は人。実験や実証するのが難しくデリケートでもある。だからこそその対抗策なども未だ発見されていない。


「そっ、それは……それが分かればどれだけの人を助けられるか……一体それはどんな……」

 食い気味に聞いてくるギルドマスターにカイルは無言で契約書を見る。ギルドマスターも契約書を見て、それから深いため息をついた。

「なるほど、それほどまでに重要な情報だからこそ余計に保険も必要だと……。そしてその保険が対抗策にもなる、か。どうあっても契約をしなければ話は進まないようだね」

「悪いな。こっちも命がけだし世界の命運なんてものも背負わなくちゃならない」

「いや、軽い気持ちで踏み込んだこちらも落ち度がある。君も、いいね」

「わ、分かりました」

 ギルドマスターは受付嬢にも目配せをして、二人そろってカイルがテーブルに置いた契約書に手を置く。契約書は一瞬光を放ち、それから何事もなかったように沈黙する。


「これは俺が預かっておいてもいいか? 必要なくなれば破棄できるし、細工はしない」

「その言葉にももう契約の効果はあるんだよね。なら、信じて預けよう」

「預かるよ。で、さっきの話だけどな、魔人化っていうのは一種の契約みたいなもんらしい」

 カイルの言葉に理解ができなかったのかギルドマスターが眉を顰める。内容ももちろんだが、どこでそんな情報を得たのかという疑問もある。

「俺がどこにいたと思ってるんだ? 魔人化の技術は魔界から、ある魔人からもたらされてた。魔界を出る前、俺はその魔人と戦って……殺した。その資料に関しても写しをもらってる」

「っ! で、では、これ以上魔人化が広まることはもうないんじゃ……」

「いや。魔王様の方針でな、魔王様の主導で取引は続けられる。だから、魔人化は止められない。ただし、今までと同じじゃない。これから先生まれる魔人は、全て魔王様の掌の中だ。だから、一斉に牙を向くことになっても戦力になるのはそれ以前に生み出された魔人だけだな」


 ただ相手の手札を封じてしまうだけでは能がないし、面白くない。ここまでやられたなら、相応のお返しが必要だろうと。それくらいなら理を歪めることなく干渉できるからと。

 当然の報いかも知れないが、あの時の魔王の笑みを見れば少々同情せざるを得ない。どうせろくな仕掛けはしていないだろう。

「ま、そっちは任せといていい。で、契約全般に言えることだけど、同一人物が複数の契約を結んだ場合優先順位が発生する」

「……使い魔契約における本契約と血の契約のような?」

 ギルドマスターが分かりやすい例を挙げてきたので頷く。魔人化はそのやり方が異例で、手法が悪辣なためそう考える者は少ないが、一種の契約であることに違いはないのだ。


「そう。その場合優先されるのはより強制力が強く深く根付く血の契約の方。他の契約ができないわけじゃないが、双方の契約が競合した場合、より優先順位が高い契約内容が履行される」

「……つまり、今回結んだ契約は魔人化の要因となる契約よりも優先度が高い、と?」

 カイルはギルドマスターの言葉に笑みで答える。リプリーが残した資料を見てみるまで、カイルもその詳細については知らなかった。

「そうだ。ただし、自分から望んで魔人化しないかぎり……だけどな。脅され強制されて契約を結ばされたとしても、本当の意味で同意が得られていなければ、魔人化も本契約と同じ、魔力においてのみの契約に留まる。さっきの契約は魂の契約に近いものだ。内容が秘密を話さないっていうものであっても、その意思を阻害される恐れがある支配に対抗できる」


 王国の騎士達の例でもある様に、魔人化は必ずしも成功するわけではない。少なくとも自我を持ち、肉体をも変化させられる者は少ない。だが、そうであっても厄介なのは魔石を植え付けられた者が自我を封じられ操り人形のように支配されてしまうこと。

 だが、それよりも優先順位の高い契約を結んでいた場合、その支配から逃れられる。万一眼を付けられても最悪は避けられる、まさに保険だ。

 契約というものは基本的に契約者の合意があって初めてなされる。ならば魔人化の成否を、その強弱を決めるのは何なのか。


「魔人化の成否を決めるのは思いの強さ。ま、簡単にいうと力を得るために自分の身も心も魂も捧げられる覚悟があれば成功する確率が上がる。強弱を決めるのは魔石を作る時に使用された代償の……生贄の大きさ次第だ」

「そうか……なら、少なくとも国のトップが支配される可能性は低いということだね」

「ああ。大体そういう人達は何がしかの強力な契約を結んでいる。そういう意味では安心できたんだけどな」

 魔人化で最悪なのは国のトップを掌握されること。先の動乱も殺害ではなく魔人化による支配を目的とされていたなら事態はもっと最悪の方向に進んでしまっていたかもしれない。

 とりあえず、今の段階ではそれができないということだけでも判明したのは僥倖だった。そして、対抗策があることも。

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