それぞれの決着
クロ→カイル→クロサイド
カイルが魔人によって二重存在のことを明かされた頃、クロと赤い豹との間にも動きがあった。
カイルが傷を負った瞬間、注意がそがれたクロに赤い豹が一撃を叩き込んだ。見た目以上に破壊力のある攻撃はクロの右脇腹を切り裂き、血を滴らせる。
『ククク、やはり人などお荷物でしかないだろう。あの人間があれに勝てるはずがない。儂なら一瞬だが、あれの能力はなかなかに厄介よ』
ただ、珍しい二つの魔眼を持っているというだけで拾ったりはしない。本人は気付かれていないと思っているが、赤い豹は知っている。魔界の生き物の中にあって群を抜く回復力と不死性に目をつけたのだ。育てば遊び相手くらいにはなるかもしれないという期待を持って。
『そうか……そうだな。侮っておったのは我の方か』
クロは赤い豹に答えるような、あるいは自分自身に言い聞かせるような口ぶりで小さく言葉を吐く。赤い豹は目を細めて昔馴染みを見つめる。
『災厄』と呼ばれるようになったのはいつ頃だろうか。孤高であり他者におもねることを良しとせず、生まれついて我を貫いてきた。もし出くわして興味を持たれたりすれば場所も相手も構わずに襲い掛かってくる。故に出会えば災いは免れない、そういう意味で『災厄』と呼ばれるようになった。
魔界を放浪しながら戦う相手を探していた。そんな折、魔の者の中にあって特殊な使命を持つガルムの一族に異端が生まれたと聞いた。しかも、その異端のガルムが守護者になったという。
興味半分に会いに行き、一目見て全身の毛が逆立つほどに震えた。興奮で、歓喜で、そしてわずかな恐怖で。番犬というよりは、地獄の猛犬。ただの一睨みで十把一絡げの連中など裸足で逃げだすほどの威圧感と強さを肌で感じた。
だから執着した。何度も、何度も折を見て戦いを挑んだ。いつもは引き分けか、赤い豹の方が引く。こんな好敵手を一度戦ったくらいで殺す気などなかったから。でも、いつでも殺せる。そう思ってきた。
使命に頑なで、融通の利かないガルムらしい頑固さが最大の弱点だった。守るべき存在を持つことは、赤い豹にとって弱点としか思えなかったのだ。
目を向けずとも、少し離れた場所で、二人の魔人によって翻弄されている人間が見える。一人だった時にも対処しきれなかったのに、それが二人に増えたなら当然だろう。負った傷から漂う血の匂いは、魔の者の本能をどうしようもなく刺激する。
今すぐにかぶりつきたくなる衝動を抑え、ともすれば魔界を出る前より弱くなったかもしれない好敵手を見る。
『なぁ、最後に貴様と戦った時に言ったことを覚えているか?』
『忘れてはおらぬ』
『なら、もう一度問おう。儂と組む気はないか? 儂と貴様が組めば魔界全土を掌握できよう。あの人間をうまく使えば儂らはさらなる高みに登れる。魔の者として最強に興味はないのか?』
赤い豹は体の下に血だまりを作りながら黙り込むクロに語り掛ける。この魔界は圧倒的な実力を有すると言われる魔王によって統治されている。人界へのゲートも、そこをくぐる魔物の種類や数もすべて魔王の意に沿って行われているのだ。
そうすることが、魔界と人界双方の風通しを良くして進化を促す道であるとされているから。だが、赤い豹は納得がいかなかった。なぜ弱く脆い人などを自由に生かしておかなければならないのか。
自分達の餌として、飼ってやればいい。そうすればより魔界の生き物は進化するし、強くなる。それがなぜ許されないのか。若い時、その思いから一度魔王に挑んだことがある赤い豹。結果は顔を覆いたくなるほどの惨敗。地に叩き付けられ、見下ろされて冷笑された。
最高位の妖魔として生まれ、その中でもトップにいた赤い豹にとってその屈辱は忘れられるものではなかった。だから、強さを求めた。自分と同等以上に戦える相手を探して、戦って、殺して。そして、自分と同じくらい強い存在を味方に加えるために。
異端のガルムは、他のガルムと同じ使命に殉ずる姿勢を見せながら、どこか違っていた。時折遠くを見るように、物思いにふけっていたのだ。だから誘った。自分と一緒に行かないかと。最強を目指し、魔界を支配しようと。
すげなく断られた時には、暴力的な殺意を覚えた。だが、どうにかこらえて引いたのだ。時間が経てば考えも変わるかもしれないと思って。
守護者の使命を終えたと風の噂で聞いて、それこそ全力で駆けつけた。しかし、すでに旅立った後だった。喪失感と苛立ちから後任者に八つ当たりをして、その結果有力な情報を得たのだ。かのガルムは死んでいない。人界に渡っただけなのだと。
ならば人界でさらなる力を蓄え帰ってくるだろうと期待していた。人界は自分達にとっての糧にあふれた世界なのだから。
だが、いざ帰ってみれば毛色が変わっているとはいえ人を共とし、相棒などとほざく。人界ですっかり肝を抜かれたらしい。
『使う? カイルを、か?』
『そうだ。貴様も魔の者なら分かっているだろう? あの人間は儂らにとって最高の餌だ。そうそう魔界を出られぬ儂らが、さらなる高みに登るための至高の糧だろう? なぜ飼わない? なぜ自由にさせている? 生かさず殺さず絞り尽くせばいいではないか!』
例えクロの協力が得られたとしても、高みに登るためには相当な時間がかかると思っていた。だが、あの人間を使えばそれが大幅に短縮できる。それこそ数年も経たず魔王に匹敵する力さえ得られるかもしれない。
そのチャンスをなぜ生かさないのか。赤い豹には全く理解できない。
『我は異端だ。そなたが言うように、まともに戦える相手も少ない。故に、そなたには共感する部分があったことは確かだ。だが、そなたは我の宝に手を出すのだという。ならば、敵だ! 敵は滅ぼす、それが魔の者の在り方だろう! あの魔人にカイルは負けぬ! ならば我がそなたに負けるわけにはいかぬのだ!』
『そうか……残念だな。貴様とはここでお別れのようだ』
『それは我のセリフだ。覚悟せよ、今度は逃がしたりはせぬ!』
怪我を負っているとは思えない速さでクロが踏み切る。そして、赤い豹も先ほどまであった最後の遠慮が消えた。文字通りの殺し合い、命の奪い合いへと戦いが移行していく。
「はぁっ、はぁ、はっ……」
カイルは汗に交じって滴り落ちる血を感じながら荒い息をつく。一体でも厄介な高位の魔人二体を相手取っては防戦一方で、あれ以来かすり傷さえ負わせれていない。気功で体力の回復ができると言っても、戦闘中に消費する体力を補いきれるほどではない。
できては傷を治し、時折血を補充しながらも持久戦になっていた。魔人は楽しそうな表情を崩していない。瓜二つの顔が同じような笑みを浮かべているさまは不気味だ。
カイルは魔人二人に顔を向ける。最初に発見した魔石だが、今は巧妙に隠されており場所の特定ができない。もし魔石までも分裂させられるのだとすれば厄介この上ない。
『辛い? 苦しい? 降参する?』
「誰がっ!」
カイルが答えたところで、魔人の一人が消えて背後から攻撃を受ける。影の中に逃げて少し離れた場所で外に出る。予備動作も出現場所も予測できない攻撃。おまけに片方が近距離攻撃を仕掛けてきても、もう片方が魔法を使ってきたりする。もう一人の自分がいようとお構いなしに。
自分の魔法で傷ついても、すぐに融合分離してダメージが消えてしまう。だが、何度もその光景を魔力感知で見ていて気付いたことがあった。それは分身を作り出すことに魔力は使わないのだが、融合して傷を癒したりする場合、魔力に動きがあるということ。
いくらなんでも、何の代償も対価もなしに傷が消えるわけがない。魔力を用いて片方の状態を両者に反映させることで傷を消しているのだとすれば、その対価は魔力ということだ。
『僕の魔力切れを狙ってる? 無駄だよ無駄。僕、元々魔力も多いし、回復も早い。待つだけ無駄だよ』
「奇遇だな。俺もそう思ってた。だから、待つんじゃなくて、攻める!」
魔力切れは期待できない。だが、傷を癒すためには一人にならなければならない。どちらかに致命傷を負わせ、融合したところを叩けば同時に倒せるかもしれない。
カイルは両手で剣を握ると地面をえぐるほどの踏み込みで一気に距離を詰める。
『馬鹿の一つ覚えみたいに、それじゃ僕には届かないよ』
カイルの背後にもう一人の魔人が現れたが、時を同じくしてカイルの背後に数十を超える亜空間倉庫が開くと、千差万別の形や色、長さの武器が現れる。魔界で得た魔物の素材からカイルが作り出した武器だった。
まるで武器そのものが意思を持っているように浮遊しながらもう一人の魔人に攻撃を仕掛ける。よく見れば極細の魔力の糸がすべての武器に結びついていた。この糸を通して、武器を操っているのだ。
これは聖剣から得た戦い方の一つだった。聖剣だけではなく数多の武器を自身の周囲に展開させて、全方位に対応する。実のところ、この剣の制御は聖剣デュランダルが手伝ってくれている。カイルの得た情報を共有し、意志を読み取り、魔力の糸を通じて武器を操っているのだ。
『小癪な真似をっ! だが、剣一本で僕に勝てる気かっ!』
振り下ろされた右手の五本の刃。いつもなら打ち合って均衡を保つはずが、黒い魔力を纏った剣に触れた部分から切断される。斬属性を最大限に、そして聖剣の破壊の力を纏わせているためだ。
切り飛ばされ、宙を舞う黒い刃を見ながら、魔人は慌ててもう一方の腕を振るう。しかし地面から飛び出した鎖に空中で固定され、同時に肉体の時も止められる。魔人の実力からして停滞は一瞬だが、それで十分だ。
カイルは剣を振り下ろし、無防備になった魔人の胴を袈裟切りにすると、返す刀で首に剣を叩き込む。致命傷と言わず、殺してしまえばどうなるのだろう。それでもなお、片方が生きていれば甦るのか。
首から上を失い、だらりとなった魔人をそのままに、背後で武器の応酬に追われていた魔人に向き直る。どちらが本体かなど気にしない。どちらも本体のつもりで戦えば間違いはないのだから。
武器での攻撃は緩めないまま、一歩で懐に踏み込む。驚愕の表情をした魔物の胸に剣を突き立てる。人であるならば心臓の位置。もう一体を倒したからか、対応に追われ隠す余裕がなくなったからか。そこに魔石があると分かったから。
『ぎゃぁぁぁぁ…………なんてね。やっぱり君、僕の魔石の位置が分かるんだ?』
口から血を吐き、悲鳴を上げた魔人だったが、ガクリと項垂れた顔を上げてニヤリと笑う。対するカイルはそれに答えることが出来ない。
「あっ、がっ……ぐぅあっ」
閉じていた目をわずかに開けて下を見れば、背後から腹を突き破って腕が突き出ている。真っ赤に染まった魔人の手からは血が滴り落ちている。
『惜しかったね。まさか、一人倒されるなんて思ってなかったよ。復活には結構魔力を使うんだ。だけどね、別に僕、わざわざ一つにならなくても回復はできるんだよ?』
背後に立つ、先ほど殺したはずの魔人が耳元でささやく。今までの回復はあえてそう見せていただけだというのか。自分の能力を教えても肝心な部分はちゃんと秘匿していたということだ。
『君は頑張ったよ? あとは手足をへし折って、死なない程度に痛めつけておけばいいよね。これくらいの傷でも、君、回復できるんだろ?』
魔人にとってこれまでの戦いは、遊びついでにどこまでやっても大丈夫なのか見極めていただけだ。貴重な餌を下手に傷つけて死なせたらご主人様に殺される。思っていた以上に頑丈だし、魔力によらない治癒力を持っている。ならば急所を避けて腹に風穴を開けるくらいなら大丈夫だろうと判断した。
「そう……か。予測、通りだな……」
『何? 負け惜しみ? それとも君も勝てないって思ってたの?』
小さなカイルのつぶやきに、正面にいた魔人はカイルの髪をつかんで顔を上げさせる。
唇の端から血を滴らせながら笑みを浮かべていたカイルの顔がずるりと崩れ、魔人は自分の手に見えない何かが触れたのを感じた直後、自分の意志ではなくもう一人の自分を融合させていた。
驚きに眼を見開くより先に影から出てきた人影が、背中から自分の心臓の位置に手を当てるのを感じて、魔人の意識は途絶えた。
それまでは余裕をもってクロに対応していた赤い豹だったが、突然魔人の反応が消えたことに驚き、隙を作ってしまう。
それを見逃すクロではない。先ほどのお返しとばかりに、赤い豹の胸元に爪の痕を刻む。
『がっ、なぜだっ! なぜ、脆弱な人にあれが倒せるっ!』
真っ赤な毛より紅い血を流しながら、困惑の声が上がる。心に余裕はあっても、攻防に余裕はなく見ることができなくなっていたため、何が起こったのかは分からない。
だが、直前に感じた血の匂いから相当な深手を負わせたはずだった。それなのに、消えたのは魔人の方だ。何がどうなればそんな事態になるのか、想像することさえできない。
どんな手を使えば、あの状況から魔人が、それも魔眼と特殊能力を持つ高位の魔人が負けるというのか。
『あれが、人の持つ強さよ! 確かに人は弱い、脆い。生まれついて我らよりはるかに劣る肉体と力しか持ってはおらぬ。故に人は工夫する、ゆえに人は努力をするのだ。我らのように生まれ持った身体能力と魔力、能力にあかせて力押しをするだけではない。あらゆる方法と技術、武器を持って我らに対抗する』
そうすることだけが生き残る道だったから。そうすることが魔物に打ち勝ち、恩恵を得て進歩する方法だったから。だから、人は諦めず努力し続けた。工夫し続けたのだ。
強大な力を持って生まれてきた妖魔や魔人には理解しがたい感情や行動かもしれない。だが、それもまた一つの強さなのだとクロは人界に行って学んだ。力だけでは守りたい者を守れないのだと思い知った。
多くを知り、多くを経験して、日々の努力の積み重ねが揺るぎない実力につながるのだと知った。そうして生きてきたからこそ、人は魔物に蹂躙され支配されることなく存在し続けられたのだと分かったから。
『そんなものは弱者のたわごとだ! 力こそが全てだろうっ!』
『そう思っておる限り、そなたが真の強者となることはない。見せてやろう。これが我が得た新たなる強さの形よっ!』
進化という特性を持つ魔界の生物は、それゆえに糧を得る以外の、自身より強者と戦う以外の強くなる方法を知らない。後者はリスクが大きすぎ、たいていが死んで終わるためどうしても糧を得ることでさらなる強さを得るという方法をとる。
だが、果たしてそれ以外の方法で強くなる方法はないのか。自分達より生まれつきはるかに力の劣る人であっても、時として実力で上回る相手を倒せることがある。そこには格や年齢、経験によらない弱いが故の強さがある。
クロは人界に行くまで自分の弱さや弱点といったものに気付くことができなかった。実力でたたき伏せられるのとは違う。苦々しくも忌々しい敗北の味を知ったのだ。卑怯であろうと、裏工作であろうと、手段を選ばない人の狡猾さ。それは魔の者にはない強さの一つだろう。
だが、クロは最後の矜持として、何よりカイルの相棒としてそのような強さを求める気はなかった。自分を知り、相手を知り、勝つために何が足りないのかを考える。そしてそれを埋めるために努力を重ねる。それこそが真の強さであると感じたから。
自らが弱いことを知っているからこそ貪欲に強さを求める。自らの信念を貫くことのできる強さを。ずっとカイルの側にいて、クロはそんな人の強さを幾度も眼にしてきたのだ。ならば、魔の者らしからぬ戦い方であろうと、必ず勝たねばならないこの場面、何をためらうことがあるだろうか。
クロが鋭く吠えた瞬間、赤い豹は大きく体勢を崩す。それもそのはずだ、体を内側から突き破るようにして、無数の赤黒い針が全身を蹂躙していた。
言葉にならない獣の叫び声を上げる赤い豹に、今度は無数の黒い槍が迫る。赤い豹は遠吠えを上げて全身から炎をほとばしらせ、熱と風で迎撃する。だが、頭の中は混乱と疑問でいっぱいだった。
これまでの戦いでお互い魔法を使うことがあったとしても、それは防御かとどめを刺す時くらい。戦いは常に己の肉体のみで行ってきたはずだ。何より、堅物で有名なガルムらしく相手を魔法で釘付けにするといったことはしなかったはずだ。少なくとも、戦闘中には。格下の相手を威嚇する意味で動きを封じることはあったようだが、今まで赤い豹はそんな魔法を使われたことはなかった。
何より、魔の者の本能として、敵は自分の手で直接攻撃しなければ納得できない。魔法で倒したところで何の面白みも楽しみもない。ガルムであれば、そうすることが相手への礼儀であると考えていた節もある。
それが、これはなんだ? 上から下から、無数の魔法が飛び交い、クロの姿を確認することさえ困難な物量に押されている。こんな戦い方があるのか。こんなものは魔の者の戦い方ではない。
『姿を見せろっ! 黒いのっ! 儂を愚弄するかっ!』
吠えて地面が溶けるほどの炎を繰り出した時、パキンと目の前の空間がずれて割れる。そこにあった炎も闇の槍も距離でさえも消え去り、黒い咢が飛び出してきた。
クロは赤い豹の生み出した炎を隠れ蓑に、カイルに付き合って習得した技を繰り出す。カイルの先生であるヒルダが得意とした空間属性上級下位、第六階級『空間断裂』を自分流にアレンジしたものだ。
範囲内にあるすべてを空間ごと切り裂いて消滅させる。それを使えば赤い豹を仕留めることもできただろう。だが、せめて最期は自分の手で送る。それが長年の付き合いであった赤い豹へ示す礼儀だ。
赤い豹の首元に食らいつくと、抵抗を許さず血と魔力を残らず奪い取り、首を振り回して持ち上げると背中から地面に叩き付ける。首の骨が折れる音と同時に、肉を食いちぎる音が響く。
首を半分以上失い、話すこともできない赤い豹だったが、死ぬ間際、疑問を投げかけるような眼を向け、そして塵へと還っていく。後には見事な赤い毛皮と牙と爪、そして直径十センチほどの漆黒の真球の魔石が残されていた。
『……魔の者とて、努力すれば種の枠も考え方も変えられる。そなたにはそれを教えてくれる出会いがなかった。本来の実力であれば同等であったろうが、我は日々進歩しておるのよ。悪く思うな』
血属性が相手の血液さえも武器に出来ること、数は時として質をも上回る力となること。教えてくれたのは人だ。クロにはそんな使い道や戦い方など考えも及ばなかったことだ。
人の探究心は妖魔の想像さえ超える。素材と魔石を回収しながら、クロは自身の進歩を確かなものとして実感していた。




