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レスティア物語  作者: マリア
第四章 再会への旅路
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魔界へ向けての一歩

レイチェル→トーマサイド

 レイチェルはこのところずっと定宿としていた部屋で装備を整えていた。白を基調とした服に違いはないが、四か月ほど前までいつも着ていた近衛騎士団の団服とは違う。離職したわけではないが、事実上の休職中であるため、あの服は着れない。

「レイチェル、準備はできましたの?」

「ああ、待たせてすまない」

「いいえ、キリルとは下で待ち合わせですわ。行きましょうか?」

「うむ、行こう」


 レイチェル、アミル、キリルは今センスティ王国にはいない。センスティ王国の北、ミッドガル共和国にいた。自分達の力不足と、何より世間知らずを痛感したレイチェルは家を出るだけではなく、国を出る決意をした。

 王国内にある手がかりであればトレバースやテッド、エリザベートが手を尽してくれるだろう。ならば、自分達は国外に足を伸ばすべきだとハンナが主張したためだ。

 仲間達も一も二もなくうなずいた。見聞を広め、より多くの情報を集めることが出来るだろうし、修行にもなる。それに、カイルがやろうとしていたことの足掛かりを作ることもできるかもしれない。


 『デリウス』の王都センスティア襲撃は五大国を始め、人界全土を揺るがすほどの騒動となった。大国の、それも首都をピンポイントで狙い、あまつさえ王の住まう城にまで賊が押し入ったとなれば対岸の火事ではいられない。

 すぐさますべての国で一斉捜索が行われた。結果として、全ての国の主要都市に同じような仕掛けが施されていたことが明らかになった。人々の間に動揺が広がると同時に、再び戦火の予兆を感じピリピリとした緊張感が広がっていった。


 魔石はすぐさま五大国共同の研究チームが組まれ、仕組みや魔法陣の解析が行われている。さらに、魔人化の技術に関しても研究が行われることになった。

 センスティ王国でとらえた二人の構成員の内、影であった者はろくに情報が聞き出せないまま、刹那の隙を見て自殺されてしまった。だが、聖剣を狙った構成員は魔人化の核でもあった魔石に細工を施すことで、いくつかの有力な情報を聞き出すことが出来た。

 それにより明らかになったのは、デリウスの本拠地が王国にあるということ。ただし、その場所は幹部しか知らず、構成員達は暗号文で指示を受けて動いているという。


 また、魔人化の技術はほぼ実用化の段階に至っており、これから先相手にするだろうデリウスの構成員達は皆魔人であるという認識でいた方がよさそうだということ。そして、魔物召喚に関してはすでに世界中で行われているということだ。

 この連絡を受け、五大国はさらなる軍備と戦力の増強、人材の育成に力を入れることになった。同盟関係もさらに強固にしていくということで合意が得られたようだ。


 通常であれば町だけではなく国家間の移動も時間がかかる。しかし、レイチェル達はウルティガ商業国を経由してミッドガル共和国に来ていた。その移動には転移陣を使わせてもらうことが出来たのだ。

 それというのも、この緊急事態において出身国など関係なく、優秀で有力な人材の迅速な移動ができなければいけないということで転移陣使用のギルドランクが一段階下がったことによる。つまり、SSSランク以上であれば転移陣を使用することが出来るようになったのだ。


 幾度にもわたる綿密な会議によりこの同盟規約ができた頃、先に昇格していたハンナとアミルを除くレイチェル達四人は皆揃ってSSSランクに昇格していた。国外に出るにしても、その後の情報を集めるにしてもギルドランクが高い方が有利だというカミラのアドバイスにより、王国を出る前に、それこそ死に物狂いで上げたのだ。

 そのおかげでスムーズに転移陣を使っての移動が可能になった。レイチェル達は二組に分かれそれぞれ別の国を訪問することにした。レイチェル、アミル、キリルの三人とハンナ、トーマ、ダリルの三人だ。

 能力的な部分や戦い方、相性などで判断した場合、この分け方がベストだということになった。


 レイチェル達の担当は商業国と共和国。表向きはSSSランクになったことや、先の一件があったことで見聞を広げ実力をつけるための修行の一環ということになっている。だが、トレバースの計らいにより、その国のトップ達と会談したり、魔界へつながる手がかりを探すための資料の捜索に協力してもらっている。

 さらには、これから先の戦いにおける人材の確保や先の大戦で最も被害を受けただろう者達の救済のため、孤児達の待遇改善についても上層部に打診が行われていた。

 そこにカイルの名が明記されることはなかったが、生活魔法の革新をもたらしたのが、そうした境遇の者であったという一文はそれぞれの国で波紋を起こしているようだった。


 ガードが固く、引き抜こうにもほとんど情報が得られていなかった発案者。探ろうと人を送っても、懐に入れた者に対する庇護は高い国民性からかあまり有力な情報は得られていなかった。それこそ、信憑性も定かではない噂しか集められなかったのだ。

 そこへきての内密ではあるが公式な発表だ。デリウスの件だけではなく、それ以前の王国の動きに対する理解や納得も得られたようだった。これまで見てこなかった孤児達の中にも埋もれた逸材がいるかもしれない。そう思わせるには十分だったようだ。

 訪問したレイチェル達もそれとなく、あるいは根掘り葉掘り聞かれたがアミルがやんわりと遠回しに断りを入れたり、ごまかしたりしていた。レイチェルとキリルは沈黙を貫いた。武国と皇国に向かったハンナ達も似たような状況らしい。


 特に、武国のZランク保持者、レオン=クルスは強い興味を示してきたらしい。気功も元は武国の一流派が伝えてきただけのマイナーな技術だった。元々武への傾倒があった武国の、何代か前のある国主が国を挙げて普及させたことで、武国では誰もが学ぶ技術となった。

 レオンも他の子供と同じように基礎教育として学び、そして才能を開花させた。レオンの存在があってからはより一層気功に力を入れる動きがある。


 そんな背景があるからだろうか。生活魔法というある意味誰もが見向きもしないジャンルで新境地を見出した存在に興味を持ったのは。流れ者や孤児と言った立場の者が開発したということを知っても、余計に興味をそそる結果になったようだ。

 結構な勢いで迫られトーマはタジタジだったようだが、ハンナがいつものマイペースで乗り切ったということだ。厄介だったのは皇国だ。魔法に関しては五大国一を自負するだけに、プライドの問題もあってかなりしつこかったらしい。

 その分、色々と融通も利かしてくれたようだったが、ハンナの口は堅かった。


 孤児達や流れ者の待遇改善に関して、まだ腰が重く王国のように国を挙げての動きにはならなかったが、前向きに検討する材料にはなっただろう。何より、そうした存在の真実や現実、または国や未来に対する有用性を示せたことは大きな一歩だろう。可能性を示せただけで、道を開く足掛かりになる。

 また、各国で得られた魔界に関する情報に大差はなかった。ただ、それぞれに発見といえるものもあった。商業国では取引のある精霊界に住むエルフやドワーフから、精霊界には魔界につながるゲートがあるらしいという話を聞くことが出来た。

 また、共和国でも精霊界のトップともいえる精霊王は魔界のトップである魔王と交流があるという記録も。歴代の宝玉の巫女が精霊王との会話の中でそうした話を聞いて、記録に残していたらしい。


 神殿都市に行けばもっと詳しい資料があるかもしれないが、利権に囚われている精霊神教の司祭達が応じてくれるとは思えない。

 何より、最近精霊神教の求心力が落ちていることもあって、危険な匂いもしているのだ。先代の宝玉の巫女であったカレナが去ってから、二十年以上にわたり新たな宝玉の巫女は発見されていない。それが世間では、司祭達の横暴に精霊王が見限ってしまったのではないかとまことしやかにささやかれていることが原因だ。

 今彼らは血眼になって紫眼の巫女と宝玉の行方を探し回っている。カイルの存在が知れたらそれこそ大波乱が起きそうだが、彼らの好きにさせるつもりはなかった。


 ハンナ達が武国で得たのは獣界の長である獣王か、統治者である龍王であれば魔界への行き方を知っているかもしれないというもの。精霊王と同じく龍王も魔王との交流があるということだ。

 そのため、ハンナ達は獣界を次の目的地に定めたようだった。皇国では魔物達が出現するゲートに関する一つの考察が得られた。死んで塵となった魔物達の瘴気が次の魔物を呼び込むカギになっているのではないかということ。そして、魔物以外はそのゲートをくぐることができず、ゲートによってくぐれる魔物の格や数に違いがあるらしいということだ。


 魔物達が出てくるゲートの居場所を予測することができれば、あるいはそこから魔界へ行くことが可能ではないかと考えていたハンナ達のあては外れたが、別に得た情報もある。それは、人の立ち入れないような所にばかりあるとされ、所在さえ定かではない獣界のゲートだが、皇国では所在が明らかになっているゲートが一つあるのだという。

 そこに行くためには相応の実力と時間は必要になるが、たどり着くことができれば獣界へ行けるということだった。すでにハンナ達はそのゲートに向けて出発したという報せが届いていた。そして、今日レイチェル達もそれに続くことになる。


 階段を下りて一階の食堂に入ると、入り口の壁に背中を預けたキリルがいた。

「おはよう、待たせたか?」

「いや、俺も先ほど着いたばかりだ」

 キリルと合流して三人はとりあえず朝食をとる。これから向かうのは共和国の首都ミッドガルアの中枢、国会議事堂だ。

 魔界へつながる手がかりが国外だけではなく他領域にあることを知り、トレバースの伝手も借りて精霊界へ向かいたい旨の打診を行った。国どころか人界をも飛び出していこうとするレイチェル達だったが、それが止められることはなかった。


 各国でレイチェル達が魔界について探っていることも、魔物召喚や魔人化を受けてのことだと思われており、魔界に行こうと考えているとは誰も思っていないだろう。一度王国に戻ってから王族が管理している精霊界へのゲートをくぐっていってもよかったのだが、トレバースからの連絡を受けた共和国がゲートを使わせてくれることになった。

 王国だけではなく共和国にとっても精霊界の王族であるアミルは賓客と言えたし、修行の一環で一度里帰りするということになれば周囲の説得も容易だった。それが決定してから今日まで、色々と準備を整えてきた。


「ギルバート家は祖父さんの代でこっちに来たからな、俺は初めて行くことになるか」

 食事が終わり、宿の女将に挨拶をしてから出立する。遠くに行くことを伝えたため、涙ぐみながらも激励された。一月以上滞在していたため、自分の子供のように見ていてくれたらしい。不安定な情勢の中、若者が頑張っている姿に感じるところがあったようだ。

「母様も人界生まれだ。まあ、精霊界にハーフエルフはいないという話だが……」

 精霊界に住むのは皆純血のエルフやドワーフ、王族であるハイエルフだけだ。混血の者は歓迎されないわけではないが、どことなく肩身が狭いこともあって人界で生涯を終えることが多い。レイチェルもこんな機会などなければ精霊界に行くことなどなかっただろうと考えていた。


「わたくしは約二年ぶりでしょうか。五の月に十七になってすぐ人界に渡り、何事もなければ五年から十年人界で過ごすつもりでおりましたが……」

 ハイエルフの寿命からすれば五年十年という単位は人にとっての一、二年程度の認識だ。修行に出ている間里帰りしてはいけないわけではないが、滅多にない。

 変化に乏しく、その分平穏である精霊界で育った王族にとって人界とは見るもの聞くことすべてが新鮮で驚きに満ちており、それだけの期間滞在したとしても少しも飽きることなどないからだ。


 トレバースなどを通じて連絡は行っているだろうし、アミルも手紙を書いた。家族はどう思っただろうか。人界でかけがえのない絆と友人を見つけられたことを喜んでくれるだろうか。それとも、実力不足で失ってしまったことを嘆くだろうか。

 魔界へ行くことに関しても、すぐにうなずいてもらえるとは思えない。そもそも、本当に行く方法があるのかどうかさえ定かではない。精霊界を統べる王族と言えど、精霊王様にお目通りすることなどハイエルフの長い生涯でも数えるほどしかない。


 光にあふれ、精霊に満ちた世界であるだけに、精霊王への道は険しく遠いだろう。その精霊王も精霊のいない魔界では宝玉の加護も与えられなければ、宝玉を通じてカイルの現状を知ることが出来ているのかどうかも分からない。

 分からないことばかりで、不安に押しつぶされ立ち止まってしまいそうになる。だが、レイチェルは一度目を閉じると深呼吸をして顔を上げる。

 立ち止まるな、こんなことでくじけるなと自分自身を叱咤する。きっと、クロがいるとはいえ一人魔界の地に落とされたカイルの方が不安なはずだ。自分達よりもよほど酷な環境と険しい道に立たされている。ならば、自分達が負けてなるものかと。


 国会議事堂の前に来ると、以前話をしたことのある書記官が待っていた。

「お待ちしておりました。ゲートは議事堂の奥で厳重に管理されております。ご案内いたしますのでついてきてください」

 感情を見せない、事務的な口調でそう言うと、返事も待たずに歩き出す。彼は最初からこんな態度だった。不機嫌ではないということだが愛想がなく、仕事や命令に忠実だが融通が利かない。正直言ってレイチェルは苦手なタイプだった。


 自身も固いと言われる騎士だったが、彼よりはまだ人間味がある、と思いたい。こちらに対して興味どころか感心さえ寄せていないようだ。

 無言の彼につられるようにして、レイチェル達も無言で議事堂の中を移動する。長い廊下を歩き、渡り廊下を伝って奥へ、さらに地下へと下りていく。そして一つの装飾された荘厳な扉の前で彼は一度立ち止まって振り返る。

「こちらが精霊界へ続くゲートのある部屋です。どうぞ」

 重そうに見えたのに、音もなく開いた扉の向こう。そこに見えた光景に知っていたアミルはともかくレイチェルとキリルは息を飲んだ。


 地下であるというのに天井からは光が差し込み、部屋の中央にある庭園を照らしている。そしてその庭園の中央。花や蔦に囲まれるようにしてアーチが形作られていた。

 普通ならそのまま向こうの景色が見えるのだろう。しかし、そのアーチの中は鏡のように反射してこちらを映している。だが、時折波紋が広がることから流動体であるらしい。

「ようこそ、こちらのゲートをくぐれば精霊界へと繋がっています。分かっているとは思いますが、他の領域においてはくれぐれも自制と融和の心を忘れないように。王国だけではなく、人界の代表でもあるという意識を持っていただきますよう」

「承知しております。皆様方には便宜を図っていただきありがたく思っております」


 どうやら見送りは共和国の大統領以下、主だった議員達が行ってくれるようだ。レイチェルも口調を改めて深く礼をする。アミルとキリルもそれに続いた。

 昨年末に行われた剣聖筆頭を決める剣術大会には出られなかったレイチェル。そのため今は剣聖候補であっても筆頭ではない。だが、それでもなおレイチェルの名声が落ちることはなかった。十代でSSSランクになることは、ある意味剣聖筆頭になることよりも難しいと言われているからだ。

 いまだ聖剣が模造品であることは他国には露見していない。もちろん、挑戦した者もことごとく抜くことはできなかったという。当然ではあるが、胸をなでおろしてもいた。あの剣がある限りカイルは生きている。その希望が途絶えることはないのだから。


「では、皆様方、行ってまいりますわ。滞在中はお世話になりましたわ」

「ご親切にしていただき、ありがとうございます」

 ゲートを前にして、アミルとキリルもそれぞれに挨拶をする。中には特例措置に不満を持つ議員もいたようだが口には出さない。三人はゲートに向き直ると、足を進めた。冷たく冷涼な水の中を潜り抜けるような感触がして、次に感じた暖かで眩い光景に、精霊界へ来たのだと確信することが出来た。




「やっとたどり着いたか……」

 トーマは額の汗をぬぐい、呼吸を整える。獣道とすら呼べない、道なき道を歩いてきた。時に道具を使い、時に魔法を使い、難関を乗り越え、数多の獣や魔物達を退け、あるいは倒しながらの道程だ。

 精神的にも肉体的にも疲労の蓄積を感じていた。続く足音で振り返る。同じように疲労の色が濃いダリルと、森の中だからか割と涼しい顔をしているハンナがいた。というより、ハンナは自分の足で歩いてはいない。一人箒に乗って移動していた。


「ハンナ……何度も思ったけど、やっぱりズリィ! なんでハンナだけ箒に乗ってるんだよ!」

「森の中におけるドルイドの基本的な移動手段。わたしは、魔法使いで二人みたいな体力馬鹿じゃない。代わりに魔力を消費してる」

「いや、分かるけど……分かるけど、なんかこう、なぁ! ダリル!」

「おっ、俺に振るのか!? ……だが、ハンナだしな。何を言っても無駄だ」

「そう、無駄なことをしない。体力温存の鉄則」

 口では決して勝てないことにトーマは言葉にならない苛立ちを感じて身もだえる。だが、こんなことが出来るのはひとえに目的地に到着して余裕が生まれたからだ。


 それまでは周囲に目線を向けながらも、魔物達や獣達に対応しなければならなかった。デリウスのせいで魔物の数が増えているといっても、やはり皇国は五大国の中で一番魔物が多いと言われるだけのことはあった。

 昼夜を問わず襲い掛かってくる魔物に、神経も体力もすり減らしてここまで来たのだ。これで見つからなければ別の意味で身もだえていただろう。


「これが、ゲート。不思議、見えるのに、見えない」

 ハンナは森の中、ぽっかりと空いた場所にあるゲートに、箒に乗ったまま近付く。三mほどの高さの楕円形をしている。見る限り透明なのに向こう側の景色が透けて見えることはない。横に回ってみても形が変わらない。この分だとどの方向から見ても同じ形をしているのだろう。

 ハンナは試しに指先でつついてみる。水面をつついたのと同じ波紋がゲート全体に広がっていく。ちゃんと存在していることは確認できた。


「行く? 獣界に魔物はいない。でも、魔獣はたくさんいる。獣人もみんな友好的なわけじゃない」

 ハンナは最終確認をするように二人に問う。人界に渡ってきた獣人達はともかく、獣界に残っている獣人達の中には他の人族を毛嫌いする者もいるという。先の人界大戦で、尊崇する龍の眷属であるドラゴンや龍の血族を洗脳し道具扱いしたことに対する怒りも根強いのだとか。

 そう簡単に目的は達成できないだろう。思わぬトラブルや苦境にさらされるかもしれない。それでも行くか、と。

「んなの決まってるだろ? ここまで来ていかないなんて選択はない」

「俺もだ。どんな苦難もはねのけ、乗り越えて見せる」

「そう、なら行こう」


 ハンナは真っ先にゲートに飛び込む。それに続くようにトーマとキリルも飛び込んでいった。誰もいなくなり静寂を取り戻した森の中、ゲートは変わらずにそこに存在していた。

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