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千の魔術に導かれて  作者: しろうとしろう
序章
4/26

蛇遣い

====からは解説になっているので飛ばしてもらっても構いません

====の最後の方に総括した部分を載せてあります


 アルトリアは村の人々の症状を診て顔から聖気が抜け落ちる。

 村人の身体にはあちらこちらに黒い斑点が浮かび上がっていた。


「これは…黒死病!?」


(なんで!?黒死病が??もうすでにこの世から消え去ったはずでは??)


 そう考えた瞬間に一つの事実を思い出す。


(そうだ…ここは地球じゃない……つまり、黒死病が残っていてもおかしくはない)


 ここで一つの疑問にぶち当たるが今はそれどころではない。いち早くこの村人達を救わねばならない。


「アルトリアさん?どうしたのですか?」


「皆さん…特に商人さんはこの村人へ入らないでください。それから、パットさん」


「はい、なんでしょうか?」


「なるべく私から離れないで、村の人たちを一か所に集めてください」


「……わかりました。あなたはこの事態への対処をし得るだけの知識があるようですから従いましょう。うちのサラは使えるでしょうか?」


「はい、おそらく活躍できると思いますが…それは後です。とりあえず聞いてください。この村に蔓延しているのは、黒死病と言う恐ろしい伝染病です。この黒死病は、接触感染、空気感染、介達感染とありとあらゆる方法で感染する病気です」


 その場にいたメンバー全員が驚く。

 驚くもの無理はない。もうすでにここにいる全員が感染していると言ってもいいであろう。


「ですが、心配は要りません。私がそれに対抗し得る特効薬を所持しています。私のそばにいれば倒れるということはまずありません。ですが、この村の人達は別です。もう症状がかなり進んでいるのでかなり危険な状態にいます。一刻も早く村の人達を集めてください!!」



 ====

 黒死病(Pest)。

 この菌によって地球上で約8000万人に及ぶ死者を生み出した。正真正銘、人類文明約4000年の中で最も多くの人間を殺した史上最凶の病気である。

 この菌が厄介な点はアルトリアが語ったように空気感染を起こしやすく、感染している人間に触れればその触れた人物のほぼ100%黒死病にかかってしまうというところにある。

 では、なぜ8000万人もの人間が死んでしまい、史上最凶とまで言わしめるようになってしまったのか?

 なぜ、黒死病の蔓延を鎮めることができなかったのか?

 この黒死病が広がる第一原因を作った太陽に問題があった。

 なぜこんなところで太陽が出てくるのかと?太陽は地球から光速で進んでも8分30秒以上離れている太陽が黒死病蔓延の原因の一つになるのか?


 答えは簡単である。

『人類が地球上、もしくはそれに近い環境で生きていくためには"太陽"と言う自然の光源がないと生きていけないからである』

 地球の運命と言うのは、太陽が握っていると言っていいと思われる。

 その理由としては『なぜ朝は来るのだろう?』と言う問いにある。

 朝は必ず来る。地球上で生活している人間には平等に朝は訪れる。それは地球が太陽の周りを回っているからこそ訪れる。

 そう、地球と言うのは常に太陽に依存している状態にある。

 すなわち、太陽がなんらかの不調(・・・・・・・)に陥れば必然的(・・・)に地球も不調に陥るということと同義である。


 では、黒死病の時に太陽で何が起きたのか?


『氷河期』


 黒死病が蔓延した、11世紀~16世紀後半(歴史書によっては17世紀まで続いたとも言われている)に太陽が約400年間の氷河期に入ったことが原因である。


 11世紀~13世紀に黒死病が最も蔓延したと言われている。この黒死病が最も多く蔓延した地は、ヨーロッパである。

 なぜ、ヨーロッパであったのか?

 この頃のヨーロッパと言うのは、中世に入る直前で貴族や聖職者と農民との格差が激しかった時代だ。

 さらに大流行をした理由の一つとして人口爆発と言うのも重なったのも原因とも言われている。


 とにかく、この時代というのはメインに行っていたのは、農耕産業である。

 ここまでくればわかるのではないだろうか?

 太陽が氷河期に入ったことにより、太陽から降り注ぐ日の光の量が落ち込み、必然的に地球の平均気温が下がる(諸説あるが大体5~12℃下がったと言われている)。気温が下がることによって起きる災害…それは『不作』。

 これが黒死病への抵抗を失う最大級の引き金となった。

 村々、街々で不作が続き飢餓や飢えがヨーロッパ中を満たしていく。

 免疫を失った人間が黒死病にかかるなど造作もなくなった。

 これが黒死病を大流行へと導いた最初の原因だ。


 二つ目の原因というのは、グリム童話に収録されているお話『ハーメルンの笛吹き男』と言うのを知らないだろうか?

 このお話の中で笛吹きの吟遊詩人は、ネズミの駆除を行っている。

 このお話の中に8000万もの死者を生み出した原因がある。

 それは


『ネズミ』


 これこそ黒死病の恐ろしいさがある。

 病気というのは基本的にその病原体を倒してしまえば次に感染する確率は少なくなる。

 これはあくまで確率が低くなるだけであって、「感染しない」と言うこととはイコールにはならない。

 ネズミと言うのは当時のヨーロッパではそこら中にいた。現代ではあまりお目にかかることはないが、当時は当たり前のようにいた。

 このネズミが米倉であったり、食糧庫であったり武器庫であったりといたるところに住んでいた。

 そして、さらに厄介だったのはネズミにくっ付いていたダニやノミである。

 ダニやノミと言うのはどこにだってわんさかいる。

 その1匹1匹が黒死病に感染しているネズミにくっ付いていたらどうであろうか?

 これほど恐ろしいものはないであろう。




 まとめるとしよう。

 黒死病が大流行した原因として

 ①太陽が氷河期に入ったことにより作物が不作になった。

 ②不作に陥ったことによって農民の免疫力が低下した。

 ③ネズミなどのどこにでもいる動物が黒死病に感染しそこから放出されたダニやノミを知らず知らずのうちに食べてしまい黒死病に感染してしまった。

 ====



 幸いなことに、アルトリアにはある特殊な加護が与えられていた。

 それは『ある一定範囲内に存在する対象の病気を癒す』と言う加護が与えられていることを知る。

 この加護が与えられていると言うことが発覚したのは、ジャック邸で厄介になっている時にその屋敷にいた者ら全員がの持病が改善したことにより発覚したのであった。


 すなわち、アルトリアがいることによってこの村の黒死病を撃退することができるということである。

 しかし、これは進行している現象のステイであって、クリアではない。


(この黒死病を一掃するのはサラさんが持っているであろう原典魔法がキーになるはず)


 アルトリアを含めた6人は村にいる住人を一箇所に集めようと奮闘をする。

 別に一箇所に集めなくてもいいのだが、集めた方が効率がいいのでそうするというわけである。


 順調に村人を一箇所に集めつつある。あいつがこの村に訪れるまでは……



『アウォォォーーーン!!』『アウォォォーーン!』


 村の近くからダイヤウルフの鳴き声が聞こえてくる。



「おい!パット!!まずいぞ!!ダイヤウルフだっ!!」


「わかってる。ダイス!!どうすればいい!??」


 慌てるパット達冒険者組。


「落ち着いてください。非常時ほど冷静になるべきです。私とダイスさんでこの村の人々をどうにかしますので、パットさん達は商人さん達の護衛を!!」


「そうしたらアルトリアさんがっ!」


「私は大丈夫です。加護とある程度の護身術を身につけていますので。さぁ、早くっ!!」


「ーっ!すまない。アルトリアさん!!ダイスっ、アルトリアさんのことを命にかえても守れよっ!!」


「もちろんだっ!パット!!」


 パットは他の3人を集めて商人のところへと向かう。


「アルトリアさん。うちのリーダーを言いくるめるとはなかなかいいセンスをしてますね〜」


「そんなことを言っている暇があったら、っ!??」


 ダイヤウルフがまっすぐと村人の固まっている方向に一直線に向かってくる。


「任せてください!!アルトリアさんっ!」


 ダイスが直進してくるダイヤウルフめがけて矢を穿つ。


「クヒィイン!!」


 矢で穿たれたダイヤウルフは絶命していく。


(ダイスさんのこの矢の命中精度は異常です!!こんなにもダイヤウルフの急所を何度も打ち抜けるなんて!)


 ダイスの援護を受けながらアルトリアは村人の回収を続ける。その間のダイスは襲いかかるダイヤウルフの脳天を見事に撃ち抜く。

 その命中精度は100%。すべてのダイヤウルフに対して的確に脳天を貫いている。

 一発や二発であれば、なんとなく理解はできる。しかし、今まで襲いかかってきたダイヤウルフすべてとなるとなんとも言えない感覚にとらわれる。


 その命中精度が気になり自身が唯一得意としていた"解析魔術"を使用してその弓を調べる。

 すると、驚きの情報が流れてくる。


「…そんな……まさか…」


「ん?どうしたっ?アルトリアちゃん?」


 ダイスはこちらに気を配りながらもダイヤウルフを屠って行く。


「その弓が……実在したなんて!!」


「え??この弓がどうしたって?この弓は親父からの受け継いだ弓。それがどうしたってんだ?」


 興奮する気持ちを押さえ込んむ。


「いえ、なんでもありません」


 アルトリアが動揺した訳、それはダイスが持っていた弓『無駄なしの弓』(フェイルノート)にある。


『無駄なしの弓』。フェイルノート…これはケルト神話に伝わる伝説の弓。騎士トリスタンが使用していたと言われる弓。

 その効果というのは、『無駄がない』と言う名前にあるように『放てば必ず命中させられる弓』。狙ったところへと的確に命中させられる弓なのだ。


(フェイルノートも一種の古代魔術のうちの一つ。その叡智の結晶が…目の前に…)


 その弓に見惚れているアルトリアだが、現状はそんな自身の世界に埋没している余裕は一切ない。


 次第に、襲いかかるダイヤウルフの数が増え始めダイスの処理が追いつかなくなってきているのである。

 徐々に徐々にとダイヤウルフを打ち落としていく距離が短くなる。

 それに加えダイスの矢が尽きてしまった。


「チクショ…矢が、もう…」


 最後の矢をダイヤウルフに放ち絶命させるが、どんどんとダイヤウルフは現れる。

 パットととの約束であるアルトリアを命にかえてでも守れと言う約束を果たすべくダイスは腰にある短剣を抜いてダイヤウルフへと突貫をする。

 この程度のダイヤウルフであれば遅れをとるはずはない。そう信じて正面のダイヤウルフに突貫する。

 しかし、ダイヤウルフは正面にいるのだけではなく、右左後ろと全方面からわんさかと溢れ出てくる。


 そして正面のダイヤウルフを1匹を絶命させ、アルトリアの背後から忍び寄ってきているダイヤウルフへと対処に当たろうと振り向いた途端、背中に衝撃が走る。


「ーーっ!?ダイヤウルフがっ!!」


 背中へ噛み付いてきたウルフを蹴飛ばし、再度アルトリアの方向へと向く。

 その時であった、ダイスは目の当たりにした。

 そう見てしまった。闘えないと思っていた少女が、先ほどまでずっと守っていた少女が、似合わない両手剣を手にしてダイヤウルフを屠っていた。



 アルトリアもアルトリアで慣れない剣を振りかざして村人をダイヤウルフから守る。

 女の身のせいで力がでないために得意ではない"身体強化"の魔術を使用して無理やり剣を振るう。


 そんなギリギリの戦闘を続けること40分。いつの間にかダイヤウルフの群れは襲いかかって来なくなっていた。

 安心したように座り込むダイス。

 アルトリアもそれを見て安心したらしく剣を放してその場に座り込む。アルトリアが剣を手放して地面に剣が付くとその剣は消えてしまった。


「…なんとか…なり…ましたね…」


 そういう言うとアルトリアはその場に倒れこんでしまった。


「ア、アルトリア!???」



 ダイスの叫び声とともにこの村での防衛戦は終了したのであった。



 @



 目を覚ました時には、見知らぬ天井が目に入ってきた。


「やっと、目を覚ましたのね…アルトリア」


 どこかで聞いたような声がした。その声の方向を見るとそこには医術士のサラがいた。

 確か、パットとか言う親切な冒険者のパーティの一員であったような気がする。


「あの、ここは?」


「ここは〈フェン〉の村。あなたが守った村よ」


「えーっと、私はなんでここに?」


「やっぱり、覚えてないのね。あなたは村を守ったあと気絶しちゃったのよ。魔力切れね魔力切れね」


 そう言って肩を叩くサラ。

 どうやら村は無事のようだ。よかったと胸をホットなでおろす。

 その時、何かの違和感を感じた。その違和感の正体は…


「ーーっ!!仮面っ!!!」


 仮面がないのだ。つまり、それは自身の本来の姿を晒していることになる。


「サラっ!!仮面はどこにっ!!?」


 膨大な魔力を放出して正面に座っているサラへと寄る。

 その放出されている魔力に少しも動じずにサラが告げる。


「私たちはあなたが狐尾族だからといって、そんな風な見方をするつもりはないわ。あと仮面はここよ」


 サラは仮面を返して、部屋を出て行こうとする。


「私たちわね、あなたの正体を見てしまった。だからといって、あなたをどうこうするってわけではないの。あのねアルトリア、あなたは私たちと一緒にこの村を守ってくれた仲間なのよ」


 そうサラは笑って部屋を出て行った。

なんかもっとうまく人に伝わりやすい戦闘シーンをかけるように頑張りたいです。


いつかは『選定の剣』(カリバーン)『魔封じの赤槍』(ゲイ・ジャルグ)『治癒封じの黄槍』(ゲイ・ボー)『雷の激しい一撃』(カラドボルグ)『不敗の剣』(クラウ・ソラス)『雷光』(ケラウノス)と言ったロマン武器もいつか出せたらいいなーって思っています。



感想、誤字の指摘、評価などを頂ければうれしいです。

どうかよろしくお願いします!

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