英雄伝説前日譚
視点の差っていう奴
アルトリアの秘密とか何とかが…
最後まで読んでみるべし
その日俺は不思議な夢を見た。
その日、俺は準決勝でかなり疲労をしていた。
そのせいかぐっすりと寝ることができた。
そして、その夢を見た。
始めはその場所がどこなのか暗くてよくわからなかった。しかし、よくよくあたりを見渡して観ればよくわかった。
その街並みは特に見覚えがあった。そこは帝都〈ローマ〉であった。
〈ローマ〉の都市のとある一区画…おそらくは南区画の最南端だ。ニーニャと訓練するときによく通った道だ。
その通路に金糸が美しい二人の女性が佇んでいた。
一人は準決勝であたった対戦相手ロッポ=ロデマールである。もう一人の方はこちらからでは顔が伺えない。
身長は150cmくらいの少女である。金髪の女性は美しいの法則からおそらくこの女性の美しいのであろうと夢の中で納得する。
その二人は何やら会話をしているようだが、よく聞き取れない。と言うより口を動かしているのはわかるのだが、音がない。
この空間は完全に無音なのだ。
しばらくするとロッポが何やら金髪の少女の方に紙らしきもの手渡していた。
その少女は紙に書かれた内容を見るなり、どこか別の場所へと向かい始めた。
ロッポはその金髪少女に対して何やら言っているようだがわからない。
何を言っているのか気になって俺はロッポの元へと接近した。
そこで夢は終わったしまった。
なんとも不思議な夢であった。
ロッポは重い身体を持ち上げて、何が起きたのかの状況確認をしようとしていた。
記憶に激しい欠落が見られる。最後の記憶は…
(確か…人にあっていたんだ。私はその時彼女に"何か"を依頼したのだ…"何を"依頼したのかはよく覚えていないが、彼女はその申し出を断った。興味がないからお好きにどうぞと断った。 そこまでは覚えている。その後、彼女を追いかけ……)
その後の記憶がはっきりとしない。私は本当に彼女を追ったのか?それとも追っていないのか?
記憶が曖昧である。
(そうだ!追いかけたのだ! そのあと…確か…銀色の"何か"…髪の毛のようなそんな物を見た気がする…その後は……)
これ以降の記憶はない。と言うより完全に欠落している。思い出そうとしても何も浮かんでこない。
必死に思い出そうとして考えていると…
「…汝、我に何を求めるか?」
「ーー!?なにっ??」
その声の方ことは反対へと跳躍して、剣を抜く。
よくよく考えればここはどこなのだ?とやっと自身がどこにいるのかの確認をする。
「貴様っ!何者だっ!?」
声のした方向へと問いかける。
すると、その声のした方向から6つの光が見て取れた。
何かわからないその脅威に対して身震いを起こす。
「汝、我の存在を問うか…しからば我が糧となってもらうぞ!」
そうしてロッポの記憶はここで途絶える。
@
「不思議な夢だったなーー」
大通りをルーサーとニーニャと共に歩いているイサムの姿がそこにはあった。
今日は明日の決勝に備える為に設けられた休息日である。決勝進出者は明日へ備えて鋭気を養う為に時間を使う。
というのが建前であって、本心は大会決勝進出者との懇親会が目当てである。
今回の懇親会への参加希望者は例年の5倍ほどの申請があったそうな。それは一つにイサムとアルトリアと言う番狂わせが原因であろう。
一人は一つの迷宮を解放した英雄的な存在と、謎の凄腕美少女と言うツーセットなのだ。
自然と街にいる人間の感心と期待も高まるものだ。
そんな本日のイサムは非常に上機嫌であった。
「何かいいことでもあったの?イサム?」
「ほうほうほう、ルーサーさん気になりますか?」
「うんうん、ぜーんぜん、気になんないわよ」
あっけらかんとしてイサムの話題をスルーする。イサムがこのように上機嫌なのは先ほどから多くの女性達に囲まれて、サインやら握手やらハグやらとして回っているからである。
「…それで、いいことあったの?」
やはり、気になったのかルーサーは再度訪ねて来る。
こう言うのをツンデレというのだなーっとイサムは見る。
「実はですね〜。不思議な夢を見たのですよ!」
「どんな夢だったのですか?」
猫耳をピコピコさせてイサムの事を見つめるニーニャが尋ねる。
「ふふふ…それはこんな夢だったのだっ!!」
………
「ふーん、あんたが優勝する夢ねー…それよりもイサム!!あれ食べよっ!!」
話半分に聞いていたルーサーは新しく見つけた屋台へと一目散にかけて行き、何やらたい焼きのような物をすでに買っていた。
「はぁ…あいつは喜怒哀楽激しすぎだろ……」
「それでご主人様は最後に見た夢のことをどう思うんですか?」
「ーーん?優勝する夢の話?そりゃーー」
「いえ、そちらではなく、ロッポさんと別の人が……ってすみません!私風情が、ご主人様のお言葉を遮ってしまいまして…」
「ううん、そのことはいいよ。ニーニャ」
そう言ってニーニャの猫耳を撫でる。
ニーニャはこうしてやるとなんとも堪らない笑顔を見せるためのやめられない。
「わからないけど、不思議な感覚だった。今まで見てたような夢とは一味違ったというか、現実すぎたと言うか…」
「そうなにゃのっ…ですかっ」
ニーニャはイサムから撫でられているのが気持ちいいせいか呂律が回らなくなっている。
そんなニーニャを眺めながら今晩も可愛がってあげようと思うイサムであった。
そんなハーレム(?)ライフを楽しんでいるイサムとは打って変わってアルトリアは闘技場の暗い一室にいた。
アルトリアはイサムとは違って特権を得ているわけではない、故にイサムのような豪華絢爛な食事や寝床などは用意されてはいない。
そのため、アルトリアは闘技場の待機室の一つを借りていた。
ここを貸してくれた兵士の話だと、ここの一室は元々罪人を閉じ込めておくための留置所だったとかで、現皇帝になってから街がきちんと整備されて、ここの一室は罪人の留置所ではなくなったそうだ。
そんな背景があるせいなのか、ここで開かれているイベントで、ここの部屋を使いたがる人間はいないとのことらしい。
アルトリアとしては、誰もよってこないのであれば都合のいいことこの上ない。
そんなアルトリアはこの部屋で魔術の鍛錬を行っていた。
行っている魔術の鍛錬は基本的に"強化の魔術"と"投影の魔術"の鍛錬だ。
この二つの魔術は『千の魔術』にも少なからず影響を与えている。
特にアルトリアがよく行っている武具の顕現だってそうだ。
武具の顕現には基本的に2つの手順を踏んで行う。
一つ目は『再現』という行為。これは、自己内の既知のものもしくは目視ができ、かつその構造が把握できた物を再現させる。これはただの劣化コピーで再現したそのものが能力や効力を持つわけではない。
要は"器"だと言うことだ。
二つ目は『複製』という行為。これは読んで字のごとく"複製"する作業で、見た事象現象の複製ができる。簡単にその効力を説明しよう。例えば、雷を任意の位置に落とせる魔術があったとしよう、その魔術をアルトリアが一度見ることができればアルトリアはその魔術をそっくりそのまま活用することができるようになる。
しかしこの行為、元に比べて能力や効力が大幅に劣化するが一長一短で腕前が上がっていくのでどうにでもなる。
そして、今まで調べてきた中でこの『複製』という行為が可能なのは同時タイミングでは3つまでということがわかった。
そして、この二つの作業をいっぺんに行うことによって武具を『複製再現』させている。
アルトリアはこの『複製再現』という行為に自身のアレンジを加えている。
それは、原典を『複製再現』してもただの劣化版を作るだけで役には立たない。ならば、既存の物と別の既存の物を組み合わせて、新たな武具として『複製再現』したら良いのではないかと、思いついたのだ。
さすれば、原典の武具よりも劣化はせずに新たな原典を生み出すことが可能になると。
その研鑽の結果が『劣・不敗の剣』である。
いつだか説明したと思うが、『不敗の剣』はもとより剣であった。それをアルトリアが自身でアレンジを加えて、「穿てば必中」と言う伝承だけ引き抜いて紺色の長槍として顕現させたのだ。
アルトリアが顕現させてきた『不敗の剣』はここに来るまでに3度もへし折られている。
へし折られるたびにアルトリアは槍を強化していき、現在の『劣・不敗の剣』の形にへと至っている。
アルトリアが生み出した槍は所詮は借り物の槍である。いつへし折られるかなどわからない。ましてや次の脳筋相手では戦闘中にたたき折られてしまう可能性が高い。それを避けれるためにも強度の高い槍を生み出すことが重要になってくる。
アルトリアが今までイサムの戦闘を見て思ったことは、魔術への踏み込みも曖昧、武芸の腕も素人に毛が生えたような太刀筋ばかり、さらに決定的にダメな部分は"殺気"の無さにある。
前者の魔術と武芸は正直なくても、どうにでもなるような代物だ。しかし、殺気だけは他の二つとはワケが違う。
それがなければ戦いにおいて下手に出てしまうのは必然となってしまう。
その結果アルトリアがイサムのこと警戒する最大限のものはイサムが持ち得ている未知数の魔術と奥の手のみである。
準決勝で見せたようなビックリ魔術を使ってこられたらたまったものではない。
そんな対策を考えながら、アルトリアは何度のも何度も槍を生み出し続ける。
@
懇親会という名の技術奪いの宴が、闘技場の特別ルームで行われていた。
その懇親会に集まった人の数は1000人を軽く超えている。
そこに集まった冒険者や騎士達は、イサムやアルトリアから武芸や魔術の how to を聞き出そうと列をなしていた。
イサムは自身の武芸の腕の自慢や扱える魔法の説明をしていたが、アルトリアはどんな人物が聞きにきても誰にも何も語らなかった。
本当に終始無言であった。
そんなアルトリアの事が気になり、【詳細鑑定】を使ってみる。
これを使えば、相手が持ち得ているステータス、能力と言ったような情報が簡単に得られる。
(ふむふむ…筋力:E、耐久:D+、敏捷:D、魔力:B、対魔:A+か…ステータス自体は俺の半分以下…いや、1/3くらいか…能力は……【直感 A】、【家事 A+】……家事!??なんだその能力??それと…【unknown】??……アンノウン!???)
「スキル:unknownってなんだよ!??」と困惑するイサム。自身に与えられた【独創魔法】と言う規格外な能力を持ち合わせているのだが、それを軽く凌駕している正体不明が登場した。
【詳細鑑定】ですらスキルの名前をつかむことができないその能力にイサムは一抹の恐怖を覚えていた。
そんな震えているイサムは数知らずアルトリアはアルトリアでこのイサムの漏れた「unknown」と言う発言で恐怖していた。
(unknown?正体不明??まさか…私の"解析魔術"以上の魔術を用いて、私から何らかのの情報を引き抜いた!?)
アルトリアの言う"解析魔術"は唯一アルトリアが得意としていた魔術である。
この"解析魔術"の用途は敵が放った魔術の性質や格子構造から呪いの類い、さらには相手の霊格までも見抜くことができる魔術である。
アルトリアはこの魔術を用いて幾つもの武具や魔術の根源を見破ってきた。
その魔術と同等、もしくはそれ以上の魔術でアルトリアから情報を引き抜かれたことにアルトリアは恐怖をしていた。自身の本当の存在がバレてしまうのではないかと……。
しかし、この時イサムが【詳細鑑定】で看破した能力【unknown】が【千の魔術】であるとはまだする由も無い。
そして、舞台は闘技場の舞台へと飛び移る!
まぁ…そう言う事です。
ちなみにですが、アルトリアはステータスのようなものは一切見えてません。
イサムがunknownと見えた理由も後々わかると思います。
そういえば、カラドボルグについての補足と作者による独自解釈
まずはじめにカラドボルグのオリジナルはおそらくフェルグスが所持していた『螺旋剣』で間違えないと思われます。※細剣ではなく大剣だったと言われているそうです。
そのフェルグスが所持していた『螺旋剣』をヌァダが貰ったもしくは引き継いだ(この辺は推測)物を魔改造して『雷の激しい一撃』へと変更した。
そして、その剣が回りに巡って『選定の剣』となった。のではないかと思っています。
順序はこう
『螺旋剣』
↓
『雷の激しい一撃』
↓
『選定の剣』
となったのだと勝手に思っています。
ちなみに『約束された勝利の聖剣』は『選定の剣』が1度折れた為に打ち直した為に『約束された勝利の聖剣』となっています。




