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大征編1

退場人物


ウィルトニア……七竜連合の一角、ワイズ王国の第二王女。フレオールの槍で致命傷を負い、山中で人知れず息を引き取る。


レヴァン……マヴァル帝国の老将軍。アーク・ルーンとの戦いで戦死を遂げる。


カーヅ……マヴァル帝国の大将軍。アーク・ルーンの謀略に踊り、失策を重ね続け、味方に討たれる。


フンベルト……コノート王国の国務大臣。背信行為の責を取り、自害する。


ダルトー……コノート王国の大将軍。アーク・ルーンとの戦いで覚悟の討ち死にを遂げる。


ラインザード……魔法帝国アーク・ルーンの名門オクスタン侯爵家の当主。息子たちの悪行、凶行の責任を取る形で自害して果てる。


ネブラース……七竜連合の一角、タスタル王国の第一王子。アーク・ルーンとの戦いに敗れ、策にはまり、村民に毒殺される。


ターナリィ……ライディアン竜騎士学園の学園長。ドラゴンの暴走による混乱の中、命を落とす。


ドガルダン……ライディアン市を治める竜騎士。ドラゴンの暴走による混乱の中、命を落とす。


 タイトガ王国。


 険しい山岳地帯にあるその小国は、魔法帝国アーク・ルーンの侵攻に、徹底抗戦の構えを見せた。


 季節は冬。山中には雪が積もり、冷たい風が吹き荒れている。


 魔法帝国アーク・ルーンの東方軍がマヴァル、ロシルカシル、コノートを下し、その同盟国であったヴァーレとスティスも何度かの交戦の末、降伏した。


 第五、第十二、第十三軍団はさらに東に進軍し、このタイトガ王国と相対したのは、秋も終わろうとする頃。


 常ならばアーク・ルーン帝国は冬場の戦を避け、春を待ってタイトガに攻め込むという方針は、相手あってのこと。


 タイトガ王国の方が初雪を待って、越冬の準備をしていたアーク・ルーン軍に襲撃を敢行したのだ。


 油断せずに警戒していたアーク・ルーン軍はタイトガ軍を撃退したが、その後もタイトガ軍の襲撃と暗躍は続いた。


「タイトガの狙いは明白。冬の山中にこちらを引きずり込み、そこでこちらの撃破せんとしているのだろう」


 スラックスの見解に、リムディーヌとアーシェアはうなずいたが、三将は敵の誘いの手であるのを承知で、軍の一部にタイトガの国境を越えさせた。


 もっとも、本格的に侵攻するわけではない。


 このまま防備を固め、警戒していても、タイトガの蠢動に振り回されるだけだ。タイトガの要地を押さえ、そこから睨みを効かせてタイトガの動きを封じねば、ゆっくりと春を待つことはできない。


 とはいえ、冬の山中に一挙に三十万の兵を投入するのは自殺行為である。第十三軍団と第十二軍団が手勢の一部を出し合い、少数精鋭でタイトガの要地の制圧に取りかかった。


 この軍事行動に第十三軍団が先陣として供出したのが、わずか三十四騎。これに第十二軍団の一個師団が後陣を務める。


 言うまでもなく、先陣を務める三十四騎は皆、竜騎士であり、その指揮を採るのは負傷の癒えたフレオール。


 後陣を指揮するのは、リムディーヌの息子カーショル。その師団を今回の作戦に選んだのは、兵の多くがリムディーヌの同郷、ミベルティンの山岳地帯の生まれであり、山地での戦闘や行動に長けているからだ。


 無論、竜騎士の指揮を採るのであれば、フレオールよりもアーシェアの方が適任であり、山岳戦の経験もカーショルよりリムディーヌの方が上だが、総力戦ならともかく、このような局地戦で軍団長が陣頭指揮に出るわけにはいかない。


 何より、アーシェアやリムディーヌの出馬を仰がねばならぬほど、タイトガ軍は手強い相手ではなかった。


 手段を選ばねば。


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