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入学編3-1

 入学式より三日目。例年ならこの日より一年生も通常授業が始まり、ライディアン竜騎士学園は平常運行となるのだが、昨日に生じた異例の事態のため、朝から緊急集会が開かれ、全ての生徒と教官は、再び制服に喪章を着けていた。


 昨日、事件の真相が知れ渡り、生徒たちから説明を求める声と、フレオールらへの抗議、もっと端的に言うなら「殺せ」という要望で、学園中があふれ返ったが、それだけではない。


 事件の映像はライディアン市の上空でも流され、それを見たのは市民の一部だが、市内の全域に話題とウワサが行き渡るのに、半日とかからなかった。


 ライディアン市民からは領主の元に質問が殺到したが、何も知らないライディアン市を治めるドガルダン伯爵に答える術はない。


 ドガルダン伯は急ぎライディアン竜騎士学園に使者を走らし、説明を求めたのは当然の話だが、ターナリィらは内を治めるだけではなく、外にも対応せねばならなくなった。


 騒ぎを収めるのに、学園長、教官、新生生徒会、元生徒会長は夜中まで、走り回り、各所をなだめて回り、喉がかれる者まで出るほどであった。


 夜も更け、ドガルダン伯も引き取り、生徒らが一応は落ち着くと、ターナリィはクラウディア、ミリアーナを伴い、事件の処理のために兄であるロペス王の元に向かったので、本日の緊急集会の壇上にはティリエランが立つこととなった。


 もっとも、喪章を着けた教官や生徒らの視線は壇上に集中しておらず、フレオールやイリアッシュを睨みつけている者が少なからずいる。


 四人も殺しておいて、罰せられないどころか、悔いる姿も見せず、カケラも反省していない二人に、怒りと憎悪の視線を向ける者たちの表情は、入学式の時より深刻だった。


 すでにクラウディアがフレオールらの身の安全を保障したという通達は、学園中に伝わっている。つまり、これ以降、フレオールらに手を出せば、クラウディアのメンツを潰すことになり、七竜姫以外、自らの実家を潰す覚悟をしなければならない状況にあるのだ。


 さすがにフレオールは、今度は壇上に駆け上がるようなマネはしなかったので、緊急集会が何事もなく終わると、ティリエランら教官は昨日の後始末の残りに駆け回らねばならないので、それを手伝う新生生徒会以外の生徒らには自習が言い渡される。


 自習はフレオールとイリアッシュも同じだが、二人は緊急集会が終わると、ナターシャたちと生徒会室に移動した。


 正確には、ナターシャたち四人に囲まれるようにして、移動させられたのだ。


 今回の件で、フレオールとイリアッシュは当事者ではあるが、七竜連合は内々で収め、アーク・ルーンと連絡する気はないので、特に二人がすることはないが、その身柄を確保しておかねばいけず、昨日も二人は生徒会室で軟禁状態にあった。


 近くにいるだけで腹立たしい二人だが、手元に置いておかないと、何をしでかすかわからない。生徒会や教官らからすれば、この状況で生徒らの中に放ち、新たなトラブルを起こされたら、たまったものではないのだ。


 フレオールもその指示にはおとなしく従っている。四人が死んだ点は何も苦にしていないが、ザナルハドドゥに三ヶ所も同時上映させてしまったのは、自分の配慮が足りなかったせいである以上、多少の不自由は甘受し、生徒会室の片隅でイリアッシュと机を並べ、そこに教材を広げて、昨日も今日も文字通り自習している。


 魔法戦士として優秀でも、竜騎士としての基礎学力はまだ不充分なのがフレオールの実状であり、ライディアン竜騎士学園の本格的な授業に食らいついていけるよう、イリアッシュにこの二日のみならず、ネドイルの策が動き出した時より、ずっと勉強を見てもらっている。


 ちなみに、イリアッシュは教官の資格を取得している。アーク・ルーンの侵攻がなければ、彼女は卒業後、バディンの王子に嫁ぐ身であったので、必要のない代物だが、親友のティリエランにつき合う形で、去年、資格だけは取っておいたのだ。


 もっとも、教官の資格はライディアン竜騎士学園を卒業してからでないと使えない資格なので、社会的にまだ意味を成さない。ただ、フレオールへの個人レッスンには資格というより、教官のノウハウを学んだことは大いに役立っている。


 そうしてイリアッシュがフレオールの学力を向上させ、たまに生徒会の備品を勝手に使ってお茶を入れ、一息ついて談笑する傍ら、円卓を囲むナターシャ、ウィルトニア、フォーリス、シィルエールは、今後の生徒会の運営、何よりも生徒らの不平不満をどう抑えていくかというより、侵略者と裏切り者がトラブルを起こさないようにはどうすればいいか、この議題について思案し、議論を交わし合い、結論が出ないまま昼を迎えた。


 王女とはいえ、いつもは食堂に足を運ぶが、昨日と今日は食事を運ばせている。忙しいのもあるが、フレオールらを食堂に行かせるデメリットを思えば、仕方ない処置と言えるだろう。


 運ばれた六人分の食事は、まずフレオールとイリアッシュに選ばせる。本当に、食事に毒やカミソリが入れられてもおかしくない状況になってきているので、これも仕方ない処置と言えるだろう。


 もっとも、せっかく運ばせている食事だが、ちゃんと平らげているのはフレオール、イリアッシュ、ウィルトニアだけで、ナターシャらは半分以上も残している。食欲などわく状況ではなく、無理に詰め込んでこれが精一杯だった。


「少しいいかしら?」


 相手が食べ終わるのを待って、フォーリスは自らのイスを移動させ、フレオールに声をかける。


「別にいいが、どうやって、メンツを回復する気だ? 昨日のお粗末なアレ、あんたの発案だろ?」


「あら、わかりましたか? なら、話は早いですわね。私としては、私のミスでクラウディアに責任を取らせたのは、完全に失策。あなたを取り込んで、失地回復と参りたいんですの」


「そりゃあ、そうだな。クラウディアにケツをふいてもらったということは、あんたは自分のケツもふけない程度の器量しかないって公言しているようなものだ。けど、いきなり味方になれって言われても、応じようがない」


「けど、話かけないことには、こちらの意図は伝わりませんし、きっかけもつかめません。それに相手が何を望んでいるか、わかりませんわ」


「その時点でアウトだ。いや、ネドイルの大兄を知らんから無理もないが、張り合う相手が悪すぎる。相手を、敵を知ろうとするのは間違いでないが、得た情報をどう扱うか、それで力量がわかる。そして、世の中、力量のない相手に仕えたいとは思わんものさ」


「なるほど。では、おたずねしますわ。大宰相ネドイルとは、どのような方ですの?」


「食後に持ってくる話題としては、胃の重くなる内容だが、別段、はぐらかすほどのことじゃないな。オレから見て、ネドイルの大兄を端的に言えば、重度の能力主義者だな。病的と置き換えても、間違いじゃない」


 もちろん、七竜連合もネドイルは元より、アーク・ルーンの大臣、将軍について、一通り情報を集めている。それらの情報と接することのできるフォーリスは、フレオールの言葉をう呑みにせず、手持ちの情報と照らし合わせて、その真偽が判断できる。


 フレオールの口から出るのが、情報の再確認になっても、それはそれで無駄とはならない。それによって、フレオールがウソをつく人間ではないという情報が得られるのだから。


「ネドイルの大兄は、人を見かけや肩書きで、本当に、まったく、カケラも判断しない。能力の有る無し、その力量のみを重んじる」


「その代表が、去年、わたくしたちを実際に破った、元は傭兵という、ヅガート将軍ですの?」


「その程度の認識じゃあ、まだ甘い。うちの第十軍団の将は誰か知っているか?」


「たしか、あなたの、つまりは大宰相ネドイルの父君でしたわね」


「そうだ。で、ネドイルの大兄は母親を同じとする弟がいるが、そいつがどんな地位にあるか知っているか? あと、ネドイルの大兄の二人の息子も?」


「そう言えば、高官の中にその名はありませんね。どのような役職についているんですの?」


「答えは無位無官。それどころか、母親と監禁状態にあるね。一応は病気療養という名目だけど、実力もないのに権力や高い地位を求めた結果、正に『邪魔』という理由で排除された。大兄は身内でも『邪魔』と判断したら容赦ないよ」


 語る内容に衝撃を受けたか、フォーリスのみならず、近くで自然と聞こえていたナターシャ、ウィルトニア、シィルエールも、顔を強張らせる。


「だから、ネドイルの大兄が一軍を父に任せている理由は、単純に父にそれだけの力量があるから。そして、もし、父とヅガート将軍、どちらかを失う局面に立たされた時、大兄はヅガート将軍を残し、父を見捨てるだろう。理由は単純で、ヅガート将軍の方が力量で勝るからだ」


 七竜姫の内の四人が、信じられないといった表情となるのも無理はないだろう。


 とても信じられない内容を耳にしているのだから。


「ネドイルの大兄にとって、肉親かどうかは、大した問題じゃない。純粋に能力が有るかどうか、それがほぼ全て。そして、ネドイルの大兄の凄いところは、相手の力量を見抜くところにある。そうして高く評価した相手を厚く遇し、とことん大事にする。能力さえあれば、無礼どころか、殺されかけても、気にしない。第七、第九の軍団長は、ネドイルの大兄を殺しかけたけど、どちらも許されて重用されている」


「それはいったい、どういう話なのでしょうか?」


 フォーリスはこの辺りで、内容の異常性に気圧され出し、額に脂汗をにじませ、問い返す声は震えていた。


「第七軍団長は日頃の不満が高じたからだけど、第九軍団長は元暗殺者で、四年前にネドイルの大兄を殺しかけて捕まった。でも、優れた人物だったから、表向きは処刑にしたことにして、一軍を任せている。まっ、興味があるなら、今、第九軍団はワイズ領に来ているから、会いにいけばいい。ちなみに、父上の率いる第十軍団も来ている」


「ワイズの地にあるのは五個軍団と聞きますが、他にどなたが来ているのかしら?」


「スラックス将軍の第五軍団、リムディーヌ将軍の第十二軍団だな。まあ、どんな人物か、説明する必要はないだろう」


 目と鼻の先のワイズに駐留する陣容など、七竜連合が調べてないはずがなく、フレオールを軽く試すための質問であろう。


「ええ、スラックス将軍は元は宦官、リムディーヌ将軍は元は土司の奥方と聞いておりますわ」


 宦官とは、王家貴人の、主に女性に仕えるため、男性機能を失った男子である。男としての機能がないため、女性に不義を働く心配がなく、いくつかの国で採用されている制度だが、アーク・ルーンにはない制度なので、スラックスは魔法帝国に征服された国の者である。


 土司とは、その土地の郷士を官吏として登用し、忠誠と引き換えに生まれ育った土地の管理を任せる制度である。大半の国で見られる制度だが、リムディーヌも征服された側の人間で、祖国を失った後、ネドイルに将軍として登用され、今の立場にある。


 魔法帝国アーク・ルーンはその名に反し、遠征軍を率いる十二人の将軍の内、魔術師が一人、魔法戦士は三人しかいない。残る八人は亡命者が二人、元は農夫、宦官、王女、暗殺者、傭兵、未亡人というラインナップだ。


 さらに大臣にしても元は異国の者が半数以上を占める。ワイズ出身のイライセンが軍務大臣であるなど、実のところ目新しくない例なのだ。


 政権を血縁で固め、彼らに配慮して国家を安定せしめる。それが当然の社会で生きてきたフォーリスらからすれば、ネドイルのやり方はとうてい信じられず、それであれほどの大帝国が運営できるはずがないと思っても、仕方のない話だろう。


「大宰相ネドイルが実力を重んじるというのは、よくわかりましたわ。ただ、危険ではありませんこと? 身内をほとんど排し、異国の、それも国を滅ぼされた者たちを重用するなど。彼らが不平不満を抱いてないとは、とても思えませんわ」


 このセリフを言うのに、フォーリスは緊張で、声を少し震わせる。


 アーク・ルーンを内から乱す。そのための布石を打たんとしているのだ。まだ若い彼女が緊張するのは当然だろう。


 敵を内側から乱すのがいかに有効か。アーク・ルーンがその実例をいくつも示してきたが、別段、それはアーク・ルーンの専売特許というわけではない。アーク・ルーンの内情を探り、七竜連合が内側からかく乱して悪いわけではないのだ。


「まあ、うちの大臣や将軍は好戦的なのが少ないから、武力を乱用する大兄の方針に、疑問を抱いたり、釈然していないのがほとんどだ。特に、うちの司法大臣は対外戦争に大反対だから、ネドイルの大兄とはとことん仲が悪い。あと、第七、第九、第十一軍団長は、大兄のことを毛嫌いしている。他の面々も、仕方なく従っているって人は多いね。ネドイルの大兄に心底、忠誠を誓っているのなんて、身内と大臣で一人ずつ、将軍で二人ぐらいなもんだよ」


 思いもよらぬほど悪い内部事情に、フォーリスは喜色が顔に出るのを必死に抑えて、平静を装う。


 もっとも、フォーリス程度の内心など見え見えなので、フレオールは呆れた風に、


「けど、さっきも言ったとおり、ネドイルの大兄は優れた家臣をとことん大事にする人だから、ヘタな謀略でうちの国を引っかき回そうとすると、手痛いしっぺ返しを食うだけだぞ。実際は痛いどころですまないと思うが」


 忠告するも、見るからに「より高い地位や待遇を示し、野心をあおれば内乱を起こせる」という安直な考えが明白なので、フレオールは本腰を入れることにした。


「どうやら、人を大事にするという点がわかっていないみたいだから、言わせてもらうぞ。地位や富、特権や領土を与え、待遇を良くしても、それは人を大事にしていることにはならん。一例を挙げれば、スラックス将軍は元は没落貴族で、病気の母親や幼い妹と弟を養うために宦官となった。そのスラックス将軍を迎えるにあたり、ネドイルの大兄は魔法の薬で母親の病を治し、妹や弟の生活を整えるのを第一とした。家族のために男を捨てるほど、家族想いのスラックス将軍がどれだけ感激したか、言うまでもないか。何でも、自分の仕事のせいで、妹と弟がいじめられていたとも聞くからな」


 これで甘い考え方が吹き飛んだフォーリスに、フレオールはさらに続ける。


「あと、うちの司法大臣は、昔からアーク・ルーンの現状に強い不満を持っていた。魔術師にあらねば人にあらず。そんな横暴がまかり通る祖国を憂い、それを変えたいと強く想う実直な人だ。何より、国を改革するだけの才があったゆえ、ネドイルの大兄はその理想に目をつけた。魔術師の横暴と特権に民衆が苦しまない社会を実現するだけの権限を与え、改革が実行できる環境を整えてもらい、司法大臣殿はネドイルの大兄に従う道を選んだ。無道な戦争を嫌う人だが、その点を妥協すれば、自らの理想が実現する。言わば、ネドイルの大兄にその理想を人質に取られ、気に食わないが服従することを受け入れた」


 世界の半分近くを手中にするネドイルを、無論、フォーリスらも凡庸な人物と思っていたわけではないが、予想以上の怪物であるのを思い知らされ、四人の美しい顔に重い表情がはりつく。


「ネドイルの大兄の怖いところは、相手の急所を見抜くところにある。その者を大事な存在に配慮し、大切に扱うことで、相手を心服させる。または大事な存在を実質的に人質として機能させる。露骨に人質にして反感は買わない。が、大事な存在に配慮を払うことで、急所を見抜いていることをアピールする。もし、うちの大臣や将軍を寝返らしたいなら、大事なものを捨ててもいい。その心境にさせねば不可能だぞ。まっ、物で釣って揃えられるのは、駒だけだ。心を征してこそ、人を得ることになる。基本的な道理だな」


 物で釣れる程度の俗物と、一流の人材を混同していたフォーリスは、しばし言葉を無くしていたが、


「……た、大変、参考になりましたわ。大宰相ネドイルは人材を重んじると聞いておりましたが、うわさ以上のようですわね。私がどのように評してもらえるか、大宰相ネドイルにお会いしてみたくなりましたわ」


「ああ、それは止めておいた方がいい。ネドイルの大兄は気が短いし、怒りっぽいからな。優れた相手なら殺されても気にしないが、低能なヤツに賢しげに振る舞われると、殺したくなるほど腹を立てるぞ。あんたは一国のお姫様だから、ツテを頼れば、会うのも可能だろうが、ネドイルの大兄の面接を受けるなら、せめてアーシェア殿の二十分の一程度のことができるようになってからじゃないと、シャレにならないぞ。あんたの実力の裏づけがないプライドが傷つくぐらいですまんのだ。権力者の不興を買うのが、どれだけ恐ろしいことか、貧弱な能力と想像力を総動員して考えてみるといい」


「ど、どうやら、あなたは私のことを、だいぶ過小評価しているようですわね」


 恥辱に顔を真っ赤にし、怒りで声のみならず、肩を震わせるフォーリス。

 自らの才を自負する彼女からすれば、これでつかみかからなかっただけでも、まだ自分を抑えていると言えるだろう。


「あんたが世の中とうちの国をなめているのはわかった。王宮や学園の評価が、社会や実戦で通用するかどうか、まずその点から考えてみるといい。あんたらなぞ、ネドイルの大兄から見たら、何の役にも立たんのだ。血と家門を残したいなら、処分される口実を与えぬよう、慎んだ生き方を心がけた方がいいぞ」


「無駄なご忠告ありがとうございますわ。お礼に、あなたたちの上の陽がかげる未来をプレゼントして見せますから、どうぞ楽しみにしていてくださいな」


 いきり立ったシャーウの王女は、一昨日のティリエランらと同じ徹を踏み、フレオールらの前から去って円卓に戻る。


 やれやれと言わんばかりに肩をすくめるフレオールに、


「フォーリス姫の評価は低いみたいですね。彼女、小さい頃からかなりの英才教育を受けていて、知識量では誰にも負けないほどの天才なんですよ。おまけに弁も立ちまして、お恥ずかしながら、私も彼女に言い負かされたことがあります」


「知識など本が手元にあればこと足りるし、弁舌も洞察や駆け引きが伴わなければ、口先が達者なだけにすぎん。そもそも、ネドイルの大兄の採用基準が厳し過ぎるのは、オマエも思い知っているだろうが。オマエの父親にさえ、最初は満額回答しなかったほどだぞ」


「いやあ、あれは父が無理な要求をしましたから。本当にあの時はアドバイス、ありがとうございました」


「オレは余計なことを言ったと、今でも心の底から後悔しているよ」


 フレオールは瞑目しながら力なくつぶやく。


 しばし過去の苦味を味わっていたが、


「さて、勉強を再開するか。フォーリス姫の足元に及ぶ程度の学力を身に着けないと、竜騎士様らと肩を並べられんしな」


 昼食もほど良く消化した頃合い、フレオールはそう言って、イリアッシュの個人レッスンを再開した。


 昼前より深刻な表情となっている四人の姫の傍らで。



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