〜第8夜 原因〜
‘原因不明’という言葉は人々の心に恐怖と不安を生み出す。
原因がわからないということは、解決策も無いということ。
何も出来ず、解決策も見つからないまま伝染病は日に日に広がっていった。
人々は原因を求め、恐怖から原因をでっちあげた。
―これは悪魔の仕業だ!!―
そして、目に見えぬ悪魔は、後に目に見えるものとなった。
人々はそれの名を‘魔女’と呼んだ。
原因不明の伝染病に終止符を打つため、その矛先は魔女に一番近しい、女性に向けられた。
中でも占い師は、魔女の中で重要な位置にいるとされ、国中の占い師が捕まり拷問で自白を要求され処刑された。
やがて拷問は廃止されたが、無理矢理、自白を要求し処刑する方法は変わらなかった。
狭い部屋で魔女か否かの取調べは行われていた。
その部屋に続く廊下には‘魔女’と呼ばれた人々が“裁きの時”を待っていた。当然、その中にはリデルもいた。また一人、また一人と部屋に呼ばれ裁かれていく。誰も戻ってこないところを見ると、皆、処刑される運命なのだろう。
リデルの前の人が部屋に呼ばれ席を立った。彼女は俯いたまま、静かに部屋に入っていった。
パタン・・・
扉の閉まる音だけが狭い廊下に響く。部屋の中から話し声が聞こえてきた。
「名前は?」
「リア・ドロシーです。」
「神は信じますか?」
「・・・いいえ。」
「ほう、信じない?貴女は悪魔に魂を売った人間ですね?」
「いいえ!そんなことありません!!」
「嘘をつきましたね?神を信じているのなら最初の質問で‘はい’と言うでしょ?」
「でも・・・私は・・・」
「第一、神の元にあるのなら嘘はつけないはず・・・つまり貴女は魔女ですね?」
「・・・はい。」
彼女は何を言っても無駄だと、聞き入れてもらえないと思ったのか魔女であることを認めた。
いや、認めざるおえなかったと言った方が正しいだろう。
「ならば生かしておく訳にはいけません。」
彼女はすぐに火あぶりの刑を命じられ、処刑台のある広場に連れて行かれた。




