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〜第6夜 夢占〜

「マダム・・・マダム・リデル・・・」


マダム・リデルこと、リデル・ブロワは誰かに呼ばれる声で目を覚ました。シエスタの途中で・・・。


「そろそろ店を開けましょう。」


「そうね、そうだったわね。」


リデルは木の看板を手に取った。

そこには見慣れぬ文字で、‘占いの館 フロレアール’と書いてあった。いや、いつも見慣れている文字だ。

その看板を使用人のジェームズに渡す。

リデルは夫が亡くなってから13年間、この店をやっている。星占術やタロットカードを使い、人の悩みを解決していく・・・それが彼女の仕事だった。

ジェームズが館の扉を開けると、そこには既に黒山の人だかりが出来ていた。


「さぁ、始めましょうか!!」


そう言ってリデルは気合を入れ直した。

 1時半から始めた店は、閉める時には7時半をを過ぎていた。 

リデルは来た人の悩みはその日のうちに聞くことにしていた。自分の時間を削ってでも人の役に立つことをリデルは生きがいにしていたのだ。

最後の客を見送り、扉の鍵を閉めたその時だった。


ドンドンドンドン


激しく扉が叩かれる音は、尋常ではない。リデルは恐る恐る扉を開けた。


キィィィ・・・・・・


そこにはずぶ濡れの女が立っていた。外は雨が降り、雷鳴が轟いている。傘も差さずに来たのだろうか・・・。


「さぁ、中に入って。」


リデルは女を中に招き入れ、ソファーに座らせ、タオルを渡した。テーブルの上にジェームズが温かい紅茶を置いた。女は震えている。よく見ると体中、痣だらけだった。


「貴女、名前は?」


女はちらっとジェームズの方を見た。


「ジェームズ、悪いけど席をはずして頂戴。」


女は人に聞かれたくない話があるらしい。ジェームズは無言で立ち去った。


「シルフィンといいます・・・。」


女・・・シルフィンはようやく口を開いた。


「実は、あることを占ってほしくて・・・ここに参りましたの。」


貴族出身なのか、シルフィンの話し方はとても上品だった。


「夫を・・・どのように殺したら良いでしょうか?」


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