〜第22夜 記憶〜
目の前には見慣れた光景が広がっていた。見慣れた部屋。
―ここは・・・おばあちゃんの家?―
その部屋には一人の少年が寝ていた。
隣には祖母が座っている。
―尚樹!!!―
祖母は尚樹の額に手をあてた。
「夢見沢尚樹には夢見沢弥娜などという姉の存在は無い。全ては夢、幻。」
―あ・・・あれは・・・―
「夢見沢尚樹には姉と過ごした記憶など一切無い。」
―言霊の実体化!?―
言った言葉を現実にするのが‘言霊の実体化’である。この術から抜け出すのは同じ術者でも難しい。ましてや一般人では・・・。
その後、尚樹は姉の事など、その存在すら忘れ、部屋から出ていった。
「そ・・・ん・・・な・・・。」
弥娜の目から涙が溢れた。
「まだだよ・・・。これだけじゃないんだからね♪」
*
無の中に二人の少女が立っていた。同じ顔、同じ髪型。
「姉さん・・・居たの?私の・・・私だけの世界に。」
「えぇ。」
「何故なの!四条伽代はとっくに死んでるじゃない!!!」
「そうね。」
「なぜ・・・何故、私の中に?けし・・・消したはずなのに・・・イ・・・イヤ・・・」
「・・・・・・。」
「消したわ・・・こんなの嘘よ・・・。」
「嘘じゃないわ。貴女は常に誰かを求『うるさい!!!』
「イヤ・・・嫌なの・・・自分以外の世界なんて・・・誰も・・・」
「その思いこそ嘘なのよ・・・」
「イヤッ・・・幻よ・・・こ・・・これは・・・」
ザンッ!!!
景色が赤く染まり、二人の姿が消えた。
*
「分かったかな?貴女は独りなんだよ?」




