〜第15夜 邂逅〜
「誰?貴女は誰なの?」
目の前に現れたのは巫女装束を纏った少女だった。
「私は伽代・・・歌夜の心から生まれし“カヨ”の一人。」
「どういうこと・・・貴女は歌夜じゃないの?」
「私は歌夜であって歌夜でなきもの。歌夜の理想の実体化。伽代の名を借りし一つの存在。」
伽代と名乗った少女は淡々と答えた。弥娜は背筋に寒気を感じた。
「何故、今の人を殺したの?」
「それは“カヨ”たち全ての望み、掟。貴女の一族にも掟があるようにね・・・。」
「なぜ・・・なぜ知ってるの・・・?」
「貴女の名は夢見沢弥娜。夢への介入者でしょ?眠っていても私は全て見えてるわ。歌夜が今、研究所に居る事も、両親が死んだ事も・・・私の世界を壊そうとする人がいることもね!」
「・・・・・・・」
「貴女は介入するだけで人の世界を壊さないって分かってるわ。だから今のところ危害は加えない。でも私はこの世界で生きてるの。だから邪魔しないで。また介入するつもりならあの男のようになるわよ?」
「それってどういう・・・」
弥娜はその瞬間、意識が遠のき、夢から追い出された。
*
「弥娜さん!起きて!!弥娜さん!!!」
ゾフィに呼ばれて目を覚ました。充満していた煙は跡形もなく消え、気温も、いつもの研究所に戻っていた。
「私・・・何分くらいこうしていたんですか?」
「30分くらいですよ。」
弥娜の質問に傍に居る山下が答える。
「何か分かりました?」
「はい。彼女は彼女の理想のカタチで何人も存在していて・・・皆、死を願ってるんですよ。眠っていても周りは見えてるって言ってました。私が来るのも分かっていたみたいで・・・」
「彼女と会話したの?!他になんて?」
「もう介入してくるなと・・・介入すればあの男のようになるって・・・」
「あの男・・・?」
と、その時・・・
「研究長!!大変です!岩乃さんが!!」
その後、ゾフィの秘書ニーナが告げたのは、岩乃の死だった。




