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〜第14夜 善悪〜


「失礼します。」


「弥娜さん・・・早く!ここから歌夜の傍にいけます!」


研究所に着いた時、その室内は、山下の言うとおり異常といえるほど気温が高かった。おまけに辺り一面、煙が充満し前が見えない状態だった。

そんな中、山下に手を引かれ弥娜は歌夜の傍までやってきた。そこには既にゾフィが立っていた。


「良かった。来てくれたのね。今、夢に潜ればポルターガイストの原因も分かるかもしれない!弥娜さんも潜って頂戴!」


弥娜はゾフィに言われるままに、夢に潜るため歌夜の手を両手でしっかりと握り目を閉じた・・・。

 

         *


 目を開けた時、風景は異国の石造りの広場に変わっていた。何故かその広場にはたくさんの人が集まっていた。

しかし誰も突然現れた弥娜の事を気にしている者は居なかった。試しに人の顔の前に手を出してヒラヒラと振ってみたが、なんの反応も示さない。


―ふ〜ん。見えてないんだ―


その時、人々が急にざわめき始めた。皆、広場の中心を見ている。

弥娜もつられて、その方向を見た。

そこには十字架に掛けられた十数人の女性と松明を持った神父らしき人がいた。その中で、十字架に掛けられた一人の女性が他の人と違う光を放っている様に弥娜には見えた。


―まさか・・・あの人が・・・―


一人の神父が手を挙げ、松明の火が十字架に掛けられた人の足元にある木材に点火される瞬間、弥娜はその女性と目が合った。


―あの人は私が見えてる・・・だったら!!―


「そこまでよ!!!」


全ての時が止まった。


「迎えに来たわ・・・四条歌夜!!!」


「わ・・・私?わたしを・・・?」


彼女が言葉を発した瞬間、周りの風景にヒビが入り、硝子のように砕け散った。

そして暗闇の中に弥娜とその女性だけが残された。


「わたし・・・“カヨ”っていう名前なの?・・・ここはど・・・ウッ!」


何処からか飛んできたナイフが弥娜の横をすり抜け、女性の胸を貫いた。そして女性も硝子のように砕け散った。

一人残された弥娜の後ろで足音がした。


「言ったはずよね・・・“邪魔シナイデ・・・”って・・・」


その足音は少しずつ弥娜の方へ近づいてきた。

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