あなた
「ねえねえ、聞いて聞いて!」
いつも元気なクラスの女の子。小学生の子は、みんなクイズを出すのが大好き。
「クイズです!このクラスで一番優しい人は誰でしょうか!」
簡単なクイズだな。クイズにもなっていないよ。その答えはあなたです。あなたはいつも、私に優しくしてくれる。教科書を忘れたら見せてくれるし、友達にいじめられたら守ってくれる。あなたはとっても優しい人。
でもそんなこと、本人には恥ずかしくて言えないよね。困っている私を見て、彼女は続けてヒントをくれた。
「じゃあ、ヒントを出すね!いつも勉強を頑張っている人です!」
僕にとっては大ヒント。あなたはいつも、私と一緒に勉強してくれる。私が終わらない宿題を休み時間でやっていると、一緒にやろうと言ってくる。宿題なんて、あなたはとっくに終わっているのに。それでも勉強しようとする、あなたは勉強を頑張っている。
「二つ目のヒントは、かけっこがとても速い人です!」
ああ、そうだよね。あなたは足がとっても速い。体育のときは、いつも私と競ってる。勝ったり負けたり、すごく楽しい。勝ったときは嬉しいし、負けたときは本当に悔しい。あなたはとてもかけっこが速い人。
「じゃあ、これが最後のヒントだよ。いつまでも、ずっと一緒に居たい人です。」
その通り。私はあなたといつまでも、居れることなら一緒に居たい。いつか別れがくるなんて、信じられないし、考えたくもないよ。どうにか、一緒に居られないかな。あなたは、いつまでも一緒に居たい人です。
「ねえ、答えは誰かわかった?」
ええ、もちろん。わかりましたとも。
「わからないの?じゃあ答えを言うね。
正解は……あなたです。」
ほうら、やっぱり。『あなた』だった。